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戀する痛み 7

* 「あぁふん・・・ゆうきさぁ・・・っっ!」 薫の女の子のような高い、澄んだ綺麗な声が、鼓膜を通って脳味噌を破壊する。 清純な処女(おとめ)のようで、こちらの理性を弄(もてあそ)んで、しまいには壊してしまうほどの、色香がたっぷりと含まれていて。 オレは何度も、この声に理性を失ってきた。 もちろん声だけじゃなく、オレに抱かれて真っ赤にしている顔も、快感に蕩(とろ)けている大きな瞳も、艶然(えんぜん)と揺れてくねる真っ白な細い身体も。 全部がオレの欲望を煽(あお)って、弄んで嬲(なぶ)って、最後には壊してしまう。 薫はオレの首に抱きついたまま、オレのをしっかりと咥(くわ)え込んだ状態で、何度も激しく喘(あえ)いでいる。 「ゆうきさっん・・・そこっそこダメ・・・きもちぃぃ・・・」 「薫ここ好きだもんね」 「ちがっ・・・ああんっやぁ・・・はげしく・・・しないでぇぇ!!」 ベッドの上で、薫を抱きしめて、薫の中に入って、可愛い可愛い薫を堪能する。 至福の時間。 何よりも、何よりも、愛おしい人。 今日は残っていた仕事を全部ほっぱりだして、帰ろうとしていた薫を捕まえて、連れ出していた。 駅前に新しくできた和食のお店に食事に行って、嬉しそうに笑ってくれる薫を眺めながら、一緒に美味しい食事を楽しんだ。 本当は明日までに片付けなきゃいけない書類もあったが、どうしても薫に会いたかった。 どうしても薫を抱きたかった。 この妙な焦燥感(しょうそうかん)はあいつのせいだって、わかっていた。 あいつがお見合いだの、医学界から追い出すだの、妙なことを言ってきたから。 どうしてもあいつに対して反発心が消えないことが、子供じみてて嫌だった。 嫌だったけれども、その感情が消えてくれるわけでもなく。 オレは、愛おしい薫を抱きしめたくて、一緒にいたくて堪(たま)らなくって、こうして無理に薫を誘って抱いていた。 薫も明日仕事なのに、嫌そうなそぶりは一切しないで、嬉しそうに本当に嬉しそうに微笑んで、オレと一緒にいてくれて、オレを受け入れてくれる。 薫を守りたい。 今までもずっとそう思っていたけど、今は更にその気持ちが強くなっている。 オレを心の底から受け入れて、包んで癒してくれるのは、薫しかいない。 薫がいなくなったら、オレがどうなるかわからない。 だから、あいつの妨害や策略から、薫を守りたい。 指一本でも、絶対に触れさせない。 薫に哀しい想いなんかさせない。 オレは腕の中で顔を真っ赤にして喘いで、とろとろに蕩(とろ)けた瞳で、全身を震わせている薫に、深く口吻(くちづ)けをする。 「薫・・・好きだよ。大好きだ」 「うん・・・ボクも好き。悠貴さん・・・好きっっ!!」 「っっっ・・・!!」 耳元で薫の掠(かす)れた声が響く。 聞き慣れた声なのに、久しぶりなせいか、妙に鼓膜に響いて、腰に響いた。 それは一気に腰から前のほうに移動してきて、まだ出すつもりはなかったのに、久しぶりなせいもあってか、射精感が一気に高まって。 我慢できずに薫の中で思いっきり出してしまっていた。 それと同時に薫の小さな体が大きく震えて、小さなものから白濁した液体が出されて、薫の白くて薄いお腹にかかった。 「はぁ・・・はぁ・・・ふあ・・・」 全身で呼吸を繰り返している薫を抱きしめて、そっと額に口吻けた。 薫が、嬉しそうに、ふんわりと微笑んだ。 ああ・・・可愛いな。 可愛くて愛おしくて、心も脳味噌もおかしくなる。 オレだけの薫。 誰にも譲らないし、手放さない。 こんなにも可愛い、可愛い人を、オレは他に知らない。 出し切っているけど、オレは薫の中に入ったまま、薫をぎゅっと抱きしめて、額に頬に耳に口唇に何度も何度も、しつこくキスをした。 「ゆ・・・悠貴さん・・・?」 薫が戸惑い気味に呟(つぶや)く。 こんな風にキスをしまくったことなんかあまりないから、薫が不思議に思うのもしょうがないか。 オレはキスをやめると、ゆっくりと薫の中から出て、自分のものと薫のお腹と入り口を丁寧にティッシュで拭いた。 そして裸のまま薫の横に寝て、布団をかぶって、薫の細い小さな体を抱き寄せた。 基礎体温が高い薫の体は、温かくて、本当に温かくて。 思わずぎゅっ・・・ときつく抱きしめた。 「悠貴さん・・・どうしたんですか?」 「何が?」 「今日なんか変ですよ?」 「・・・そんなことないよ」 胸の中に無理に抱きしめていた薫が、頑張って顔を上げて、オレを見上げた。 つぶらな大きな澄んだ黒い瞳が、真っ直ぐにオレを見ている。 「何かあったんですか?」 オレのことを本気で心配している瞳。 薄紅の口唇が泣きそうなくらい震えている。 オレはそんな薫の滑らかな、うっすらと汗をかいている額に口付けて、 「何もないよ。薫が可愛いから」 「な・・・すぐそうやってはぐらかして・・・」 「はぐらかしてなんかないよ。本当に何もないよ」 「なら・・・いいですけど・・・」 薫が不安そうな色を瞳ににじませて、そっと伏せる。 薫の不安や、心配や、哀しみ、淋しさ。 そういった負の要素は全部、全部オレが取り払う。 だから、お願いだから。 笑って。 ずっと、ずっとその可愛い笑顔を見せて。 「大丈夫だよ・・・薫、好きだよ。愛してる」 「はい・・・ボクも・・・愛してます」 伏せていた瞳をあげて、薫が、恥ずかしそうに頬を染めて、オレを見つめている。 その瞳が、綺麗で。 可愛くて愛おしくて。 オレは薫を抱きしめる。 きつく、きつく、抱きしめる。

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