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とても警戒している。
姫宮の時とはまた違う、人のことを信用してないといった雰囲気だ。
それは仕方ないことだ。この子に何があったか分からないが、このような場所に連れてこられて、警戒しないはずがない。
「安野さん、めっちゃ嫌われているじゃないですか。姫宮さまの時もしつこいなとは思っていたのですが、やたら構うのもよくないですよ」
「しつこいって、人聞きの悪いことを⋯⋯! そんな構っているつもりはないです!」
「さっきも、私が止めないといつまでも語っていたではないですか」
「そ、それはつい⋯⋯」
「姫宮様のこと大好きなのは勝手ですが、語るのも大概にしてくださいよ」
「う、う⋯⋯ん⋯⋯」
今井と江藤に迫られて口ごもっている安野を見て、面白いなと密かに笑っていると、ぐいっと服が引っ張られる感覚があった。
何かに引っかけたかと見ると、なんと、男の子が小口の服を引っ張っていたのだ。
どうして、と口を動かそうとした時、誰にも目を合わせなかった男の子と目が合った瞬間、首を横に振ってきた。
どういうこと。
「え、と⋯⋯どうしたんですか」
そう訊ねるが、ゆるゆると首を振り続けるだけで何も答えない。
「どういうこと⋯⋯」
「小口。どうしたの」
「あ⋯⋯姫宮さまのお子さんが何か言いたげに首を振ってくるんですけど、わたしにはよく分からなくて」
「え、お子さん、小口にくっついているじゃないの! 羨ましすぎる!」
「安野さん、黙っててください。⋯⋯それにしても⋯⋯うーん、どういうことなのでしょう⋯⋯」
皆が皆考えている間、離れたくないと言わんばかりにもう片方もしっかりと掴んできて、どう対処すればいいのか困り果てていると、一連を静観していた上山が口を開いた。
「小口にだけ懐いているようですし、姫宮様が帰って来られるまでの間、小口にお世話をさせましょう」
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