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第13話 〜目的〜
その日は結構賑やかで、2月いっぱいまで休むてつやに寂しいと言ってくれるお客さんも何人か来てくれたりで嬉しい日となった。
お客さんからも合格祈願のお守りをもらって、本当に感謝だ。
店が終わって事務所でも、こんなことはここであまりなかったからと柏木までもがお守りをくれた
【家内安全】
え〜と…
丈瑠 も気を遣ってやはりお守りをくれる
【交通安全】
「あの…あなたたち…わざと?」
ここまでされたらそう思っても仕方がない。口に出して言ってみると全員が全員
「え?なに?」
と真顔で返してくるので、もういいやとてつやは諦めた。
安産祈願は、俺の夢を産んでくれると変換。交通安全は、受験会場まで無事に着けるように!家内安全は…ん〜〜…ん〜〜〜店が安全でいられるように…?さすが柏木さんだ…心の中で拍手をして、その日てつやは休み前の1日を終わらせた。
てつやの仲間内では、まっさん、てつや、京介がM大受験で、銀次はパン屋を継ぐために、調理師専門学校の製パン科へ入学することが決まっていた。
まっさんが工業機械学科の機械科へ。京介は工業機械学科まではまっさんと一緒だが、工業生産科というあまりない科で、機械科みたいなこともやりつつマシン駆動のプログラミングや駆動経路の構築とかを学ぶ科へ。
てつやは経済学部経営学科を受験。それぞれの進路が見えてきた。
受験体勢に入ってからは、各母親たちはてつやの体調面を気にかけ、できる限り家に呼んで、食事や睡眠管理などを行なった。
色々無理な時は、各息子たちがてつやの部屋へ手料理を運びつつ、一緒に勉強をしたりもする。
そんな体制で、てつやの受験は進んで行った。
そうして、1月の中旬に第一関門のセンター試験が終了する。
この日は試験後てつやは部屋へ戻って、ひと時の休息を行うことにした。本番はこれからではあるが、とりあえず今日だけのんびりしようと部屋で寝転んで、とりあえず何も考えないでぼーっとした。
その時部屋をノックする音が聞こえる。
まだ昼間の4時頃なので、仲間の誰かかなと返事をして玄関に出るとそこに立っていたのは、丈瑠と稜だった。
「は?なに、どうした?」
とりあえず中に入れて、なになに?と聞くばかり
「中々味のある所に住んでるんだねえ」
キョロキョロとしながら稜が苦笑する。
「俺は結構好き、ここ」
と、丈瑠はちゃぶ台を前に座り込んだ。
「来たことあるんだ……?場所だけって聞いてたけどね…」
ーしまったーまた要らぬ墓穴を掘って、丈瑠は顔色を少しだけ悪くした。
「俺が1人で家賃払えるように、かーさん達が見つけてくれたとこだからな。俺には十分だしこれだって不相応だと思ってるよ。っていうか、水かアイスコーヒーしかないんだよな。なんか買ってこようか」
てつやが冷蔵庫を眺めていうが
「ううん、平気だよ。今日はセンター終了のお祝いにきたんだ。みてよこれ」
主に丈瑠が持ってきた袋は、デパ地下の惣菜たんまりと、飲み物たくさん。
「うわ、すげえ。さんきゅー」
てつやはちゃぶ台に戻って、出された惣菜に目を輝かせた。
「グラスだけ用意できる?」
稜の言葉に、う〜ん…コップ2個とあとはマグになっちゃうけど…俺がマグ使えばいっか」
と言いながら持ってきて、ちゃぶ台で大人2人はシャンパンをてつやはコーラで
「とりあえずセンター終了乙ー」
とグラス(とマグ)を合わせた。
「どうだったよ、出来は」
シャンパンをまず一回飲み干した丈瑠が、注ぎながら聞いてくる。
「まあまあかな。2次試験はいけると思うよ」
「7割いけそうなの?」
稜も、丈瑠からシャンパンを受け取って手酌で注いでいた。
「ギリ…かもだけど…まあ俺のいく学部は6.5でも平気だからな…」
「俺8割行ってたな。多分たまたま試験の内容が当たったんだと思うけどさ」
「8っ⁉︎」
「僕もそのくらいかな。猛勉強したし」
君らなんなん…とてつやは引き気味…
「経済だろ?俺と一緒じゃん。まあでも、自信があるなら大丈夫だな」
「あれ、稜はなんだっけ。あ、法学部か…」
てつやの言葉に、グラスの縁を舐めて、そうそう と頷く
「弁護士になるん?」
「うん。僕あの店行っててさ、結構大変な思いしてる子多いなって思ってね。あ、てつやもだしさ…そういう子見てあげたいなって思ったんだよ。最初は検事だったんだけどね」
案外ガチな夢持ってんだな…と2人は尊敬の眼差しで稜を見てしまった。
「なんだよ意外?」
「そりゃそうだろ、こんなエロ大魔神がさあ」
エロ大魔神にてつやは笑いかけたが
「エロ大魔神はどっちかな?ん〜〜?」
と、稜が丈瑠にのしかかっていってる。
「あんだけ言ったのに、てつやの部屋にまできて、なにしてたんだっつーのよ。言ってみろー」
そんなに酒弱くないでしょあなた。 などといいながら、まあまあと稜の肩を押さえて丈瑠は後退りした。
「ま、いっか。今日は目的あるし」
稜は丈瑠から離れて、テーブルの上の料理を食べ始める。
「まずは体力体力」
なんだかわからないことを1人で呟いて、稜は持ってきたものをモリモリと食べていた。
「目的?なに?」
てつやは不穏なものを感じて恐る恐る聞いてみるが、稜からは
「無くなっちゃうよ。僕まだ思春期終わっってないから」
としか返ってこない。丈瑠を見ると笑いを返してくるのみ。
「なに?何が目的なんよ」
「まあとにかく、2次試験は前期で決めてね、てつや。後期受けるなんてダメだからね」
ヒィ、答えてくれないし、後期受けさせてもらえないとかスパルタ過ぎる。
「わかりました!全力を尽くします…」
「もしも、はないから前期終わったらもう勉強するなよー」
やっぱ酔ってる?
「稜、お前そんなに酒弱くないだろ。酔ったふりはいいからちょっと来なさいよ」
丈瑠はデザート用のマカロンを、ハムスターみたいに食べながらシャンパンを飲んでいる稜を呼びつけた。
「なんだよなんか偉そぉ」
シャンパンをひっかけて、稜は丈瑠の元へはいはいして向かう。
「なあに?丈瑠ン」
猫みたいに柔らかい動作で丈瑠の膝へ座ると、丈瑠はその髪を撫でて
「あんまりてつやいじめちゃダメだろ。今日第一関門終わったばかりなんだぞ?」
甘い睦言のように話かけ、稜もその雰囲気に身を任せた。
「え〜?虐めてないよ?僕は発破かけてるだけ。だって早く終わってくれないと、店に戻るの遅くなっちゃうじゃん」
丈瑠の体を跨ぐように膝に座って、両手を首にかけ股間同士を押し付け合う。
「なあ…俺、ここいていいの?」
驚くのは当たり前のてつやで、2人の雰囲気に飲まれちょっと見学してしまったが、我に帰ってなんか申し訳ない気分になった。
2人が同時にてつやを見る。
逆光もあるが、振り向いた2人が夕日にシルエットとなっていて半分この道のプロみたいな2人から、なんとも言い難い妖艶な雰囲気がカゲロウのように揺らめいて見えた。
てつやは下半身に強い衝動を感じ、思わずパーカーの裾を伸ばして隠してしまう。
「あれ…勃っちゃった?」
稜がそう言って微笑んで丈瑠に向き合うと、
「ベッド 行こ」
と一度キスをして立ち上がる。
間続きの隣の部屋にベッドが置いて有るのは確認済み。
てつやのベッドは店に勤めてから買った贅沢品の一つで、体に合わせたセミオーダーのクイーンサイズ。8畳間の3分の2が占拠されていた。
「今日のために揃えたみたいなベッドだね」
歩きながら、ハイブランドであろう白のボトルネックのニットを脱ぎ捨て、そう言って喜びながらベッドへあがると、それを見つめていたてつやに向かいながら、履いていたタイトなパンツを目を合わせながら脱ぎ始める。
「目的って…これか?」
丈瑠をみて、てつやはスプレーで染めた前髪から、少し責めるような目をした。
稜とほぼ一緒にベッドへ向かっていた丈瑠は、その目を受けながら
「こらこら稜、ストリップして挑発しないの」
見た目に合わぬボクサーパンツを露出した稜は、これまた見た目を裏切る立派なものを半分ほど膨らませて、
「ストリップって言わないでよ、脱がないとできないでしょ」
ともう癖としか言いようのない唇を尖らせる顔をして、そのボクサーパンツまで脱ぎ、左足に引っ掛けてベッドの下へ落とした。
丈瑠もパーカーを脱ぎ捨て、上半身裸のままてつやの元へ歩き、少し欲情し始めている顔をしたてつやに
「行こ」
いつもの人好きのする笑みで誘う。
ークラクラする…ーとてつやは目を瞑った。
今までにないめまい。世界が回るとか目が回るとかそう言う類ではなく、頭の芯が痺れるような…身体全体にその甘美な痺れが少しずつ広がって、ウズウズと欲求が持ち上がってくる。
丈瑠は目を瞑ったてつやに唇を重ねると、もういきなり激しく舌を入れ、それを吸い、唇を貪った。それを真っ向から受けててつやも丈瑠に縋りつく。
「ね…そこで始めないでよ…はやくこっち…」
その光景を見ていた稜は、もう我慢できないように自分を擦り上げ喘ぐように、早く早くと声をあげている。
キスをしていた2人はそのまま立ち上がり、離れ難いそぶりでに舌を絡ませ唾液を啜り合いながら、ベッドサイドに立った。
「てつや制服じゃん…いいね…まじで高校生なんだ…高校生とやるの…ゾクゾクする…」
稜はてつやの制服のズボンのベルトを後ろから手を回して外し、ホックを解いてファスナーを下げる。
途端にトランクスの前が盛り上がり、もう完勃ちのてつや自身が露出された。
そのトランクスもズボンと一緒に下げて、稜がそこに手を添え擦りだす。
「意外と大きい…てつやの…熱くなってるね…気持ちいい…?」
上半身は唇を外すのも惜しむような短い時間でシャツとTシャツを脱がされており、稜が下げたズボンをてつや自身が足で脱ぎベッドへと座る。
足だけをベッドの下に下げた状態でベッドに横になったてつやを見て、丈瑠も下半身を脱ぎ捨てベッドへと上がった。
てつやを跨いで膝立ちになり、上向きのてつやの口に自分を当てがって、
「してくれる?」
と、先のぬるぬるを唇へ塗るように擦ると、てつやの口はすぐに開いてそれを咥えた。
稜はてつやのものを擦りながら舌を這わせ、滴る液体を舐めては全部を口に含み唇で摩擦を与えながら、また離して手で擦ると言うものを繰り返している。
「んっんっ…」
てつやの頭の上の方に手をついた丈瑠は、てつやの口を犯すように腰を振って口の中へ出し入れをしていた。
「は…上手くなったな…きもちいい…てつや…上手」
てつやは自分を加えられている快感と、人のものを咥えている高揚感を初めて味わっている。
この2人に同時にされるのは役得なのかもしれないが、でも少し怖さもあり…
なんだかもう思考が追いつかなくて、考えることはやめた。
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