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第26話 〜決意〜

 柏木の行為は意外とマニアックで、てつやの羞恥を煽るものが多い。  大人の男性2人目を、まさか同じ日に経験するとは思っていなかったが、柏木は男相手のベテランだ。なんとなく違う意味で怖くなってきた。  服を全て脱いだ柏木は、てつやに重なってきてそこは普通に首筋や頬などを唇や舌で徘徊し、手は乳首をずっと弄っている。  てつやはそれがたまらなくて、小さな声を断続的に漏らして耐えていたが、柏木の舌がそこに達した時に、軽くではあるが身体を跳ねらせた。  その反応を見て柏木は、執拗にそこを攻めだす。  舌で(ねぶ)って、もう片方は指でつまみあげ、吸い上げ噛んで、と様々な行為でてつやを苛んだ。 「…んんっ…そこ…だめだ…って…んっ」  柏木の髪を混ぜながら、てつやが身体をくねらせる。  刺激がたまらなくて、そこから広がる快感は足先まで行っていた。  柏木は起き上がって乳首を刺激しながらもてつやの横へ移動し、バックへ指を忍ばせていく。 「あ…」  入口に触れられ、再びてつやの体が揺れた。柏木の指が入ってくると、ゾクゾクした快感が背筋を走り、柏木の髪を少しだけ強く握ってしまった。  特に痛くはなかったが、柏木は乳首の刺激を止め てつやの足元へと移動する。  差し込んだ指があまりにスムースに出入りするので、首を傾げながらも指の先を曲げたりしててつやの中を抉ってきた。 「あっんんっは…あぁ…」  柏木の指は昨夜の誠一郎の指よりは細いが、今度は長かった。奥まで刺激してくるので、あまりそこまで指で擦れる人は少ないと思う場所まで刺激してきた。  確かに思い起こせば、帳簿のパソコンをいじってる時にいつも指が長くて綺麗だなとはみていた。  指が中を擦っていると、ふとした時にてつやの体が揺れる瞬間があった。 「あっ…やば…」  そのてつやの声に柏木は笑って、そのてつやが反応した辺りを執拗に擦り続けた。 「あっああぁっだ…め、そこだめだめだめっあっっ柏木さんこわい…なんかこわいあっあっ」  てつやの反応が激しくなると共に、柏木の指も強くなる。 「大丈夫だ、怖いことないから…そのまま…感じるままにいけよ…」  指で押す部位は変わらず、てつやの身体がビクビクと震え…と言うよりは痙攣のように揺れて、声も出せずに身体が大きくそり返った。  てつや自身からは透明な水状のものが迸り、やっと出せた声は 「っあっあっあ……あぁぁぁあ……」  というくぐもった声だった。  シーツを強く握り締め、痙攣をした後てつやはぐったりと布団へ落ちて動かなくなってしまった。  そんなてつやに柏木は冷静に指を抜き、顔の方へ這い上がって呼吸を確認すると 「どうだ?」  と頬にキスをし、首筋にキスをし、唇にちゅっと音を立ててキスをして、様子を伺う。  はぁはぁと荒い呼吸も次第にゆっくりになり、てつやは唇へのキスにちょっと自分の唇を尖らせて応えた。 「大丈夫か?」  こんな優しく微笑む柏木は見たことがない。 「……ぅん…でも…今の何…飛んだわ…」  横を向けていた顔のまま、目だけを柏木に向け歯を見せて笑うてつやをみて、柏木は何故かーちっーと舌打ちをして起き上がり、 「そう言う顔をする悪い子にはお仕置きだな…」  と、両足を膝を曲げて広げながら上げて、もう硬くなりきった自身をてつやのソコへと押し込んでいった。  横を向いたまま目だけで相手を見て笑う。これがてつやのキラー行為だと言うことは、てつや自身気づいていないし、てつやの相手をしてこの顔を確認したもの以外は絶対にわからないものだった。現在でも京介が何度かこれにやられている。 「はっ!きゅっ…うに…んっあぁ…ああ」  枕に頭頂部を擦るほどに顎をあげて、てつやは両手を柏木を求めるように彷徨わせた。  その手を取るべく、柏木はてつやの足を自分の腰へ巻き付かせ、てつやが伸ばした両手を左右ずつ握ってやると、そのまま腰を激しく突き立て始める。 「うあっあっあああっやっやだっ…あっあぁつっああっっくぅっああんっ」  手を引かれ上へ逃げるのも許されず、下から突き上げられたらそれはてつやの奥の方が強く押されることとなり、その衝撃にその動きを止めようと足で柏木を締めつけた。 「はっはっはぁっあっ…んっんっぁっあっあっ」  奥を抉られる感触にまた息を散らしながら、ちょっと強引で強い交接に感度を上げてゆく。  柏木は差し込んでは抜く時に、腰を上を擦るように抉り込んで引いてくる為、さっき意識が飛んだ場所も時折掠めるから、そのたびにてつやの身体がビクビクと反応し、それに満足そうに微笑んでいた。 「あっあっあぁっんんっ…エ…ロ…かしわぎさん…エロぃ…こんなんしらない…」  無意識にだろう、てつやの目に涙が溢れていて、怖いのか気持ちいいのかわからない感情がそれで表されている。 「そりゃ…知らねえだろうなぁ…若いのしか相手してねえのが…悪い…」  ククッと人の悪い声で笑って、柏木は仕上げとばかりにてつやの手を離すと、自分の腰からてつやの足を外しもっと開かせて羞恥を煽り、てつやに乗り掛かかって今まで以上に強い長いストロークを取った抽送を始めた。 「ああっああんっあっあああっそれやっやだっあっああああっんんっんんくっあっ」  激しく揺さぶられて、もうソコにしか意識が向かない。 「ああ…いい…いいぃきもちいい…あぁ…ああぁあ…」  漸くてつやから快感の声が漏れ始めた。 「来たな…お前もこうなれば淫乱なんだよな…いいぞ…もっと俺を煽ってくれ…」  激しく突きながら柏木がも息を荒げる。 「あっあっあっああ、も…イク…俺の…イクイクッ」  誰も触れていないてつや自身も、先ほど吹いた透明な液体とは違うねんちゃくしつな透明な液を垂れ流し、腹の上に落としていた。 「お前はイケ…いっていいぞ…」  柏木がソコに触れ、上下に擦り上げると 「ああっだっ!もうっあっああぁ…あうあ」  本当に3回ほど擦っただけだった。てつやは柏木の手によって精を吐き出したが、ぐったりもさせてもらえず、まだまだ突かれる腰を振って喘ぎ続ける。  てつやの精を手のひらでうけとめた柏木は、それを舐めて、 「おー、わっかい味すんな…」  まだまだ余裕そうに手のひらを舐め尽くし、綺麗にしてしまった。 「お前の味、知ってる?」  はぁはぁと喘ぐてつやに顔を近づけて、そう問うといきなりキスをして舌を絡ませていく。 「んっんんっ」  青臭いが、一般に言われるほど苦くはない自分の味を味合わされ、眉根が寄るが、それよりもまだ突かれている方が悩ましい。 「ひ…どいな…俺の味なんて…いらね…あっあああんっ」  何かを言おうとすれば強く突き上げられて、何も言えない。 「さて、そろそろ俺も…イかせて貰うか…」  暫く余裕でいた柏木も、そろそろ息が上がってきた。 「てつや、いくぜ」  柏木は身体を起こし、再びてつやの中の上の方を抉るような腰の動きで出し入れをはじめ、奥を突かれ、妙に感じるところを掠められ、てつやは激しく声をあげる。 「いいな、その声。お前としたかったんだよてつや…やっぱいいなお前…あぁ気持ちいい…おっクる…ああ…イク…」  腰を大きく振って、ぱんぱんと音を立て、てつやはもう無意識に声を上げ続けている 「ああっあああああっんんっいいっいいいっあっんっこすれて…あ…またへんな!あっああっいくっいっいくっ!」  てつやは再び痙攣を起こしてイキつき、柏木は 「いっ…く…」  と、いったん射精感をやり過ごし、てつやから抜け出るとてつやの頭を枕から起こして口に突っ込んだ 「んんんぅぅぅっ」  抗う間もなく喉の奥に、柏木の精が吐き出される。 「はぁあぁあ…」  初めて柏木の口から、快感の声が漏れた。  喉の奥まで入れきらなかったのか、てつやの口の端から柏木が出したものが溢れ出てくる。 「エロ…」  それでもてつやは大半を飲み干し、漏れないようにすすりあげたのが柏木に少し刺激になって、2.3回出し入れされて少しえづいてしまった。  「ああ、ごめんな」  謝りながら陰茎を抜き取り、てつやの脇にあぐらをかいて座る。  ティッシュを渡してやると、てつやはゆるゆると口元を拭っていたが、動きたくない快感でまたぐったりと横たわるのみ。 「いいなぁ、てつや(お ま え)最高だわ…」  ぐったりと寝そべるてつやの銀色の髪をわけて、ティッシュで汗を拭ってやる。 「柏木さん…」  喘ぎすぎたのか声が掠れていて、その声に自分で驚くてつやに 「なかなか色っぽい声だぞ」  と唇をぷるんと弾く。 「エロ親父だねえ…柏木さん…」  今までしたことのないセックスだった。誠一郎で大人のセックスを知り、柏木で大人のディープなセックスを知った。 「なんだと、このエロ小僧」  笑って今度は乳首を弾く。 「んっぁ…やめ…ろよもー…」  動きたくないので体はそのままだが、もう触んなと柏木の手を掴んで離さなくした。 「身体が…ジンジンしてる…これって気持ちよかったからかな…」 「かもな…」  枕元のピッチャーから水を汲んで 「飲むか?」  と聞いてくる。 「飲みたい…けど動きたくない…もう少し感じてたい…」 「じゃあ飲ませるか?」  てつやは柏木を見て、舌を突き出した。 「こんのクソエロがきめ」  そういって水を口に含むと、出された舌を口に差し入れて深く唇を合わせる。水が漏れるのは気にしない。  そのまま長いキスをして、離れた。 「ほんとに辞めるか…」  てつやが寝ている枕に柏木も自分の頭を乗せ、そんなことを言う。 「ん…決めたから」 「そうか」  それで終わった。  一緒に入るとキリがないから、と先に柏木にお風呂を譲り、てつやはバスローブを整えてとりあえず部屋をでた。 「確か…この辺が昨日のリビング…」  と、ドアを開けてみると目に富士山が飛び込んでくる。  そんなに大きくも見えないが、小さくもないいい感じの大きさで富士山が窓にはまっていた。 「お、お疲れ〜」  誠一郎が食事が終わったダイニングでコーヒーを飲んでいる。 「お疲れって…」  てつやは誠一郎に詰め寄って、 「言ってくれよ最初に!めっちゃびっくりしたんだからな!」 「それじゃサプライズにならんだろう」  可笑しさを堪えて、誠一郎はーまあ朝飯でも食え、とダイニングテーブルを勧める。  サプライズなんかいらなかったんだよ!と言いたかったが、言われてみればお腹はめっちゃ空いている。 「とりあえず食え」  と言われ、文句は食べてからにしよ…とダイニングにつくと、ほぼテーブル内ビュッフェのように色んなものが大皿で並んでいた。  焼き魚だけでも、さば、銀たら、鮭の3種。肉はベーコンとハムとサイコロ状のステーキやウインナー。他、煮物やオムレツ、卵焼き、ゆで卵、スープは後ろと言われ見てみるとデカいスープジャーが3つもあって、見にいくとミネストローネ、味噌汁、卵スープの3種だった。  もちろん炊飯器も用意されていて、テーブルの片隅にはバスケットに入ったクロワッサンとロールぱん、切れたバゲットが置かれている。 「なあ…こんなに誰が食うんだよ…」  お腹は空いてはいたが、この量を見てちょっとうっぷうっぷする。 「あ、俺たちもいただくんで」 「は?」  声のする富士山が見えるソファに目をやると、丈瑠とか稜とか奏とか店のスタッフが数人座っていた。 「気づかなかった…」  呆然とその方面をみつめ、流れで誠一郎を見る。 「いやぁ〜声かけたのは柏木だけだったんだけどな、ちょっと情報が漏れちまって」  中年のおっさんにあるまじき表情で面白そうに笑って、誠一郎はまあ食えよ、と料理を勧めた。 「なんなんよ!あっ!まさかっ!」  てつやな嫌な予感に丈瑠たちを見つめたが 「あーやんないやんない。俺らは誠一郎さんの別荘に来たかっただけ」  丈瑠が目の前で手のひらをひらひらさせる。 「ほんとうにか?」  じとっと誠一郎を見て、てつやはとりあえずハムを口に入れる。 「お前がやりたけりゃ俺は止めねえけどな」  へへっと笑って、今度はタバコを口に咥えた。すぐ横から出てきた火は金城だ 「金城さんまで…」  もうアングリとするしかない。 「んじゃ、てつやも来たんで一緒に朝飯にするかー」  ソファにいた若い子達が全員ダイニングへやってきて、席についた。  誠一郎は入れ替わりに向こうのソファへ移動し、その若い子の食事を面白そうに眺める。  給仕は金城がしてくれて、今しがたまで行われていた柏木とのことをちょっと揶揄われて、てつやがウガーッとなる場面もあったが、あんなにあった食事がほぼ空になるさまを見せつけられ、誠一郎は胃のあたりを抑えて苦笑いをした。  風呂から上がった柏木は、空のテーブルを見て富士山を見て楽しそうにしている若造たちを睨み、残り物でおにぎりとサンドイッチを作ってくれた金城に感謝しながらも、ソファを睨んでそれを口にした。  帰りは横浜中華街で中華のコースをご馳走してもらい、夜中12時。  店の前まで送ってもらい、全員で車を降りた。  みんな各々解散して行ったが、てつやだけ少し残り助手席に座る。 「誠一郎、ありがとう。すっげ楽しかった」 「それならよかった。無理させちまって悪かったな。その…俺がな」  照れているのか、声が萎む。 「あはは、ちょっとびっくりしたけど大人の人は誠一郎が初めてだったから…誠一郎でよかったって思う」 「俺が大人の男初めてなんだな。それはそれでなんか得した気分だ」  ははっと笑ってハンドルに両手を置いた。 「俺は、男はお前で最初で最後だ」  いいのか悪いのか…と苦笑するしかない。 「やっぱりこれがないとな」  自分の胸の辺りでおっぱいを揉む仕草をする。てつやはーだろうねーと笑ったが、ちょっと感傷的な気持ちになった。 「あと1週間ないな…お世話になりました」  急に敬語になって俯くてつやの頭を撫でた。 「こちらこそだ。泣くなよー?18は選挙権あんだろーが」  ここで選挙権かよ、とてつやは少し鼻を啜って笑い 「泣かねーよ。俺はあんたを目標にするって決めたんだ。笑うよ、いつだってあんたがそうしてるようにね」  誠一郎は目を見開いててつやを見返した。 「明るい場所で俺になれな。俺は見てるから」 「うん」  誠一郎はー最後にするーと言って唇を重ねてくる。  それをしっかり受けて、てつやも大きな舌に応えて長いキスを終えた。 「んじゃ、最終日には顔出すからな。あと1週間がんばれ」 「うん。じゃあ今回はほんとありがとう」  車を降りて、開いた窓に手を振って誠一郎と別れる。 「あと1週間か。よっし、がんばろう!」  1人呟いて店の裏手にバイクを取りに行こうと歩き出したらそこにいたのは丈瑠と稜。 「おいおいおいおいおい?お前まさかと思うけども…?」  丈瑠が嫌な絡み方をしてきた。  もしかしてさっきのキスを見られたか…と警戒するが、それはもちろん見られていたらしい。 「まったく…飲みに誘おうと思って待ってればさあ?もう、この色気ガキは誠一郎さんまで召し上がったのか!」  稜がてつやの首に飛びついてきた。 「あぶねっ」  と、稜を抱き止めたが、てつやは困惑した顔をしている。 「今夜も寝かせない感じで2人で攻めるか?それともこいつを酔い潰すか…どっちにしようかねえ稜さん」 「どっちもはどうかな」  キャルンと簡単に言ってくれたが、流石に今朝の柏木で身体がちょっとへろへろなので、 「飲みに行かせてください」  と45度の頭下げで、許してもらうことになった。 「い〜〜〜っぱい聞くことあるからね?てつや」  首に再びぶら下がって、稜がニヒニヒと嫌な笑いをする。その稜を抱えながら、隣の丈瑠も 「朝の話も聞きたいしな〜」  柏木との激しい行為はどこまで知られているのか…まして丈瑠だ…何言われるやら… 新市街は不夜城だ。朝まで飲み尽くせるところなんかいくらでもある。  3人はふざけ合って、通りを歩いて行った。

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