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第31話 魔王様は小悪魔です③ R18
浴槽の中でびくびくと体を震わせたルナトゥスは、自身が発した白い濁りが湯の中に広がるのを見ると、ジェイミーの胸に背中を預けて眠ってしまった。
(俺はなんてことを! しかも)
ジェイミーのジェイミーもしっかりと形を変えている。
(こ、これは自然の摂理だ。男なら誰だってこうなる。あんな顔であんな声を出されてしまったら……。うっ)
ルナトゥスの淫らな様子を思い出すと、ジェイミーの雄味がさらに増した。
放出したい欲が心と体を支配する。そういえばここ一年、家事育児に奔走していて自己処理もしていなかった。
「~~~~だめダメ駄目っ。とにかくルナをベッドに寝かせないと風邪をひかせてしまう」
心頭滅却、心頭滅却……と呟きながらぐったりしたルナトゥスの体を拭き、なんとか寝間着を着せて運ぶ。
悪いことをしているわけではないのに、友人との用事で不在のハンナにこの様子を見られずに済んで良かったと心底思った。
「もうこんなのはごめんだぞ。ルナもやり方はわかっただろうし、二度とはないからな!」
眠っているルナトゥスに向かって言って、毛布をかける。ジェイミーはひと仕事終えた疲労感でいっぱいだった。
しかし。
一週間後の今夜である。
ベッドに入るとルナトゥスが腕と脚を絡ませてくるのは毎度だが、今夜は下半身を擦りつけ、おねだりしてきたのである。
「ジェイミーィ、この間の、またしたいの」
あからさまに腰を振られ、甘い声で言われてしまったら、なんのことだかすぐにわかる。
「トイレに行って自分でしなさい!」
ジェイミーはルナトゥスを引き剥がそうとしたが、ルナトゥスはジェイミーの体の上に乗ってきた。
変化したルナトゥスのものが、布越しにジェイミーのものに重なる。
「……あ。ジェイミーもむくむくしてきた! お揃いだね」
ニコッ、じゃない。ニコッっじゃ! と心で突っ込むジェイミー。
「これは生理現象なの! とにかくやめなさい。普通親子とか兄弟は……というより、そもそも男同士ではこんなのしないんだから!」
ルナトゥスの下で体をよじる。
熱いものが触れて反応しただけであり、断じて感じているわけではないと意思表示もしたくて、強めの声と手でルナトゥスを制した。
しかしルナトゥスは負けていない。
「だからぁ~、前にも言ったけど、僕は男同士とか気にしないってば! それに、僕達は将来結婚するんだから親子でも兄弟でもないよ」
言葉の最後にハートマークでも付いてきそうに甘い声。
さらにルナトゥスは唇をジェイミーに寄せ、不意をついてちゅっと啄んだ。
「! お前、またっ……んんっ」
啄んだと思ったら深く唇が押し付けられ、歯列を割られる。
舌を挿しこまれ、柔らかいところを全て|舐《ねぶ》られる。
同時に、ルナトゥスは下半身をジェイミーの下半身に擦り付けてきた。
(嘘だろ。ルナのどこにこんな力が……テクニックが……)
情けないことに、性的な経験のないジェイミーはルナトゥスに懐柔されて行く。
抵抗して突っ張っていた腕の力は抜け、ルナトゥスにされるがままだ。
「んっ……ふぅ……ジェイミー、かわいい」
(かわいい? なにが? 誰が? 俺……? 目の前にいるのは誰だ?)
頭がぼうっとすると共に、視界がぼやける。唇が合わさったまま擦れているから、すぐ近くにルナトゥスの白い肌と黒く長い髪、そして黒い瞳があって、その全てが混ざっている。けれどなぜだろう。黒い瞳に赤い光が宿って見えて……。
「ま、まおう……?」
無意識に口から漏れた。
一年と少し前、魔の森の木の上に鎮座していた魔王の姿と今のルナトゥスの姿が重なって見える。
「違うよ」
ルナトゥスがちゅむ、と音を立ててジェイミーの舌を吸って、ようやく唇が離れた。
ふふっ、と軽快に笑って、ルナトゥスはジェイミーの耳元で囁く。
「ただのルナだよ」
「ルナ……?」
「ね、ジェイミー。一緒に触って。僕もジェイミーの、触るから」
ルナトゥスが寝間着の上からジェイミーの熱を撫でると、ジェイミーは小さな息を漏らした。頭の奥では駄目だと声を発しているのに、体がいうことを聞かない。
寝間着のボタンが開かれ、下着をずらされれば、すっかり変化した熱い塊が勢いを持って姿を現した。
先からは透明な先走りがとろりと滴っている。
「ジェイミーの、砂糖蜜みたいでおいしそう」
「あ……っ」
ルナトゥスの細い指で先走りを掬われ、鈴口を中心に撫でられる。
それだけでジェイミーの身体は快感に震えた。
(駄目、駄目だ……こんなこと、ルナと……)
快楽に流されそうになる脆弱な意思を、親心という堤防が堰き止めようと働く。ジェイミーは自分の昂ぶりを弄ぶルナトゥスの手を握り、動きを封じようとした。
だが……。
目が霞んでいるジェイミーにははっきりと見えなかったが、ルナトゥスは瞳に赤色を宿して妖艶に微笑み、反対の手でジェイミーの手を取る。
ルナトゥスは簡単にジェイミーの手を剥がし、自身の膨らみをじかに握らせた。
「ジェイミー、大好きだよ」
ルナトゥスが腰を上下し始め、ジェイミーの手の中で果実が熟れていく。
果実からはジェイミーのものと同じように蜜が垂れて、動きをより滑らかにした。
「ジェイミー……ジェイミー。好き……」
ルナトゥスの赤い唇から、感嘆まじりの甘い声が漏れる。
「ル、ルナ……」
甘えてきたことは何度もあるのに、その甘い吐息を聞くと胸が絞られ、焦がれるような気持ちが萌え出た。
そして、感じたことのない熱い欲が、鍋の中で沸騰する湯みたいにぐつぐつと湧いてくる。
──もっと触れたい。触れられたい……めちゃくちゃに……。
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