92 / 110
第五章 第一話
清蓮は光聖が御不浄から離れたのを確認すると、小さな声でぶつぶつ独り言を言いながら御不浄から出てきた。
このまま光聖のいる部屋に戻るわけにはいかない……!
落ち着いて……!
落ち着いて‼︎
清蓮は敢えて直視しなかったが、自分の《それ》が下衣の中でまだまだ充実した状態にあることを十分に自覚していた。
清蓮は部屋に通じる廊下に視線を移すと、ふぅと重いため息をついた。
清蓮が御不浄に駆け込んだ時、外はまだ薄明かりの中だった。
それも今は澄んだ空気を伴った柔らかい陽射しが清蓮の横顔を照らすほど明るくなっていた。
清蓮は優しく頬にかかる日差しの方へ視線を向けると、清く青い空がどこまでも広がっていた。
清蓮はなにを考えるでもなく空を見つめていると、心なしか体の火照りが少しずつ収まっていくのを感じた。
清蓮は天に向かって大きく背伸びをすると、深呼吸を一つ。
新鮮な空気は清蓮の体を駆け巡り、一日の始まりにふさわしい、新しい体を手に入れたような感覚になった。
清蓮は目を閉じて何度も何度も深呼吸を繰り返していくうちに、下衣の中で天に向かって反り立っていた《それ》も、《それ》の中で充満し、野に放たれるのをひたすら待ち続けていた熱いうねりも、潮が引いていくように徐々に勢いを失っていった。
ともだちにシェアしよう!