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第六話
光聖は片方の眉を軽く吊り上げ、清蓮を覗き込みながら問い返してくる。
「清蓮、今更そんなこと気にするの?」
清蓮は掴んだ光聖の両腕を咄嗟にで離すと、消え入る声で「ごめん」と誤った。
清蓮は聞いてはいけないことを聞いてしまったのではないかと思ったのだ。
「謝らないで、清蓮。ただね、君が知りたいように私も知りたいんだ。清蓮、私は一体いくつに見える?」
清蓮を試すかのような物言いはどこか楽しそうでもあり、少し意地悪にも聞こえる。
光聖は知ってか知らずかたまにそういう表情をするようだ。
清蓮もなんとなしにその表情の変化に気づいていたが、光聖はただ清蓮の反応を知りたい、ちょっとしたいたずら心がそうさせているのだと思うと、不思議と嫌な感じはしなかった。
だからこそ清蓮は光聖に今更と言われようとも、聞いておきたいと思ったのだ。
「初めて会った時、君は赤子だった。修練場で一緒だった時も君はまだいたけな子供だった。私より五つくらい年下で……。でも、再会した時の君は……、今の君は……、どうみたって……、私より年上に見える。不思議には思ったけど、私は自分のことで精一杯で考えている暇なんてなかったから……。そもそも君と昔会っていたことも忘れていたくらいなんだから……」
光聖は清蓮の言葉をいちいちもっともだと頷いて聞いていたが、最後の言葉を聞いた時、わずかな哀愁が頬に漂う。
だが光聖の発する言葉は努めて冷静だ。
「私たちが出会った時のことは君も思い出しただろう?私は君と出会うずっと前に生まれていだけど、ずっと眠っていた。君と出会って初めて目を覚ましたんだ。君の言う通り、私は目を覚ました時、君よりも年下だった。でもね、清蓮。私は……、私たちは人間とは時の流れが違うんだ。でも、そんなこと私は気にしない、大したことじゃないから……。君はどう思うかはわからないけど……。君は気にする?」
「確かに……。人間と神様じゃ時の流れが違うのだろうね。でも、私も正直気にならないな、君がいくつでも!年端のいかない子供でも!すごく歳をとったご老人でも‼︎」
清蓮はうんうんと大きく頷くと、光聖に柔らかな笑顔を向けた。
光聖は清蓮の笑顔を見ると、「良かった」と言って微笑み返した。
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