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第九話
清蓮は光聖に止めるように言葉をかけようとしたその時、光聖は清蓮の足を軽く持ち上げ手前に引き寄せると、清蓮の足の親指から足底に向かってり流れ落ちる血を舌で拭った。
光聖はちらりと清蓮を見やると清蓮の顔は真っ赤に染まった。
光聖の黒曜石の瞳の奥底には、なにやらくゆる思いが見え隠れしている。
「こう……。あっ……‼︎」
清蓮は最後まで言葉を発することはできなかった。
なぜなら光聖が清蓮の足を両手で優しく包み込むと、そのまま怪我した清蓮の足の指を自らの口に含んだからだ。
「光聖!そんなことしなくていい!あ、あし……、きたない……。君の口が……、よごれて……」
清蓮は反射的に足を引っ込めようとしたが、光聖の腕の力は清蓮の比ではない。
光聖はびくともせず、清蓮の足をしかと掴んで離そうとしない。
怪我をした足の親指は光聖の口に咥えられると、清蓮はひりひりと焼けるような痛みから解放されていくの感じた。
それは傷が治ったと言うことを意味するのだが、そんなことよりも恥ずかしさと戸惑いで居ても立っても居られない。
清蓮は首にかかる水晶を握りしめると、呼応するかのようにほんのり温かくなり、体全体が熱くなっていくのを自覚した。
光聖が口に含んでいた清蓮の足の指を口から出すと、血はすでに止まり、傷もほとんど消えかかっていた。
清蓮はなんとから理性を保っていられたと、安堵のため息をついた。
「光聖、あの、ありがとう……。もう大丈夫だから」
光聖は徐に清蓮に言った。
「清蓮、君のどこが汚いんだ?」
「えっ⁈」
そう言い放つと光聖はまたもや清蓮の足の指を口に含み、、治りかけている傷口に舌をそわせながら、ゆっくり、ゆっくりと上下に動かし始めた。
規則的なその動きは、徐々に自由自在になっていく。
艶かしく動く光聖の舌が容赦なく清蓮の足の指に執拗に絡みつくと、清蓮は耐えきらなくなって「あっ!」と小さな声をあげた。
光聖は舌の動きと止め、口に清蓮の足の指を含んだまま清蓮を見上げると、清蓮は恍惚とした表情で遠く一点を見つめ、胸元の水晶を握りしめたまま、息も絶え絶えとばかりの姿になっていた。
光聖はその姿を見ると、ようやく清蓮を解放した。
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