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第2話
たこ焼きを一舟買った。
一緒に缶チューハイも一缶買って。
近くの堤防に場所を取った。
屋台でもらったプラスチックのコップに半分ずつ注ぎ。
「乾杯」
プラスチックのコップを打ち付ける。
でも当然、ガラスみたいな綺麗な音は鳴らず。
ぐにゃっと歪んだだけの間抜けな乾杯に。
二人して変な笑い声を立てた。
それからたこ焼きを摘まんだけど。
「あれ?」
数が足りない。
「もしかして、それ五個目?」
俺が彼の口を指差すと。
「え、嘘」
彼がもぐもぐしながら、俺と自身を交互に指さして。
「あ」
と、小さな声を上げた。
八個入りだから一人四個のはずなのに。
彼は気づかず一個多く食べてしまったのだ。
「ごめん」
彼が申し訳なさそうに手を合わせる。
けど、その表情はどこか悪戯っぽくて。
「いいよ」
俺は顔の筋肉を失った。
腹が少し膨れたところでまた散策した。
桜を楽しみつつ。
「あれ美味しそうじゃない?」
と、彼が言えば。
「食べる?」
と、俺が声をかける。
そんな感じで、良さげな屋台を見つけたらそこで食べ物を買って。
物によっては二人で分けて食べた。
そうすれば、色んなものを沢山食べられるから。
甘い心情は、……ない。
疲れたので、また堤防に腰を下ろして休憩した。
そうしながら、対岸の桜を眺める。
「ほんと、綺麗だね」
彼が笑みを浮かべた。
「うん」
俺も彼と同じ光景を見ようと先に目をやった。
それから少しライブの話なんかをしたけど。
彼は恥ずかしがって俺の話をあまり聞いてくれなくて。
その代わりに、俺のことを語りたがった。
俺だって恥ずかしいのは一緒なのに。
そうして俺たちは互いに。
隙あらば相手の話をして。
自分の話をさせまいとした。
そんな応酬が楽しくて。
追加で買ったチューハイの酔いも手伝って。
二人して沢山笑った。
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