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第123話
「んぁッッ、……はぁ、は、ぁ……」
ようやくほんの僅かに唇が離されて、アシェルは胸を喘がせながら息を吸い込む。そんなアシェルの髪をかき上げるようにして撫でながら、ルイはその瞳を覗き込んだ。
「ルイって呼んでください」
この唇で、その声で、どうか呼んでください。そう願うルイにアシェルは瞳を潤ませながらも眉間に皺をよせた。
「なにを、そこまでッ……、んぅぅ――ッッ」
自分は無駄な意地を張っているのだと頭の隅にある冷静な部分で理解しているが、アシェルの言葉も身体もいうことを聞かない。もうここまで来てしまったのかと思ったのもつかの間、ルイがもう一度唇を塞いできて思考が真っ白に染まった。
「んん……、ぁぅ……、はァッ、ぁんんぅッ」
クチュ、チュ、と何度も何度も唇を啄まれては口内を舌で弄られ、アシェルは息継ぎも上手くできず翻弄されるしかない。いやいやと顔を背けて逃げようとするが、いつの間にかルイの手に両の頬を包まれており、顔を背けることもできなかった。アシェルの僅かな動きでズレていたモノクルが寝台の上に落ちる。狭くなった視界は見つめてくるルイの瞳で埋め尽くされた。
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