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第131話

 リゼルに贈られたお土産はその量もさることながら、実に多種多様であった。いくつもいくつも、数えることが面倒に思えるほどの土産にルイは思わず遠い目をしたが、それでも一応は父の好意だからと受け取り、アシェルの髪を緩く編むと土産の中にあった、繊細な刺繍の施された紫のリボンで結んだ。羽の部分を整えれば、アシェルの髪にそのリボンはよく映える。 「よくお似合いです」  その、よく似合うリボンが父の土産であるという事実がルイには少々不満であるが、こればかりは仕方がない。土産を身につけて、一言「ありがとう」と言えばリゼルは満足するであろうから、この瞬間だけの我慢だと己に言い聞かせる。 「髪を結ったあなたも素敵ですね。今度、私からもリボンを贈らせてください」  これだけ長く美しければ、編むのも飾るのも映えるだろう。髪を結ぶ程度のリボンであればさほど長さは無いし、飾りも簪などの尖ったものにしなければいい。保管をアシェルの部屋ではなくルイの部屋か、あるいは衣裳部屋に置いて鍵をかけてしまえば問題も無いだろう。アシェルがロランヴィエルに来てから纏っている服は下着から靴にいたるまですべてルイが選び、用意したものだ。これに髪を飾るものもルイが用意すれば、アシェルの纏うものはすべてルイが選んだものになる。それはなんて魅力的なのだろう。

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