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第147話
「んぁッ……、まッ……、ィッ……ル、イッ、わかったからッ!」
これ以上されてはたまらないとばかりになんとか叫べば、ルイは満足したようにニコリと微笑み、ようやく唇を離した。息の上がったアシェルの頬を愛おしげに撫でるのも忘れない。
「はい、アシェル。どうしましたか?」
何をにこやかに〝どうしましたか〟などと言っているのか、とアシェルはカッと頭に血を上らせるが、そういえば発端はアシェルがルイの袖を引っ張って彼を呼んだからだったことに思い至る。〝公爵〟と呼んでしまったがために口づけられ、すっかり忘れていたが、ルイの〝どうしましたか?〟は、アシェルが何用でルイを呼んだのかということに対しての応えなのだろう。理解はした。理解はしたが、それとこれとは別だ。
「何もこんな場所でッ」
いくら身内の茶会とはいえ、このようなことは許されない。参加者が〝だれ〟であるかを忘れたのかと憤るアシェルであったが、そんな彼に首を傾げたのはフィアナだった。
「あら、何も気になさることはありませんわ。ふふふ、お兄さまったら照れていらっしゃるのね」
誰が照れているものか。顔が赤いのは怒りで血が上っているからだ、とアシェルは思わず口にしそうになるが、その前にルイがアシェルの頬をくすぐったことによって封じられる。くすぐったさに身を捩ってルイの手から離れれば、何が嬉しいのかフィアナが再び楽しそうに笑い声を零した。
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