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第148話

 アシェルにとっては恥ずかしい以外の何ものでもなかった口づけであったが、話を変えるには十分なほどの衝撃だったのだろう。すっかり別荘の話もダンスパーティーの話も遥か彼方に飛んでいき、メリッサは少々不満気味ではあったものの穏やかにお茶会は終了した。  遠ざかっていく馬車を見送り、アシェルは小さく息をつく。いくら身内だけのお茶会であったとしてもそれなりに疲れたのだろう身体を無意識のうちに摩っていれば、ルイは車椅子からアシェルを抱きあげると部屋へ足早に向かった。 「お疲れ様でした、アシェル。もう何もありませんから、ゆっくり休みましょう。少し寝ますか?」  寝ますか? と問いかけてはいるが、ルイはすでにアシェルを寝台に座らせ、髪を結んでいたリボンを引き抜いている。普段よりは少し堅苦しい服も手早く脱がされて、締め付けも何もないゆったりとした夜着を着せられてと、ボンヤリしているアシェルはされるがままだ。 (やっと終わった……)  上手くいったかわからないが、それでもとりあえず義理は果たした。フィアナは終始楽しそうだったし、ラージェンが気を悪くした様子も無かった。顔合わせは済んだのだからメリッサも――、と考えたところでアシェルはハッと顔を上げる。

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