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第151話
「……泣くようなことが? 悪いが、僕にはロランヴィエルに膝をついて地に額を擦りつけ謝罪をする理由ならすぐにでも思い浮かぶが、泣いてあなたに恨みや愚痴を聞いてもらう理由は思い浮かばない。だから、あなたが何を言いたいのか、生憎と僕にはわからない」
それはルイを信用していないとか、心を許していないという問題ですらない。本当にアシェルはわからないのだ。その事実が可哀想で、悲しい。
「思うままに振る舞ってくださいと、そう言いたいのです。どんなお話でも私は側で聞きましょう。我儘も叶えられる範囲でならお聞きします。……なにも、我慢しないで欲しいのです」
ここにはアシェルが護らなければならない者はいない。独りで戦う必要も無い。何度も何度も、アシェルの心に刻み込むように繰り返す。そんなルイをボンヤリと見つめていたアシェルは、無意識のうちに口を開いた。
「……なら、眠りたい。すごく……、疲れた」
ポツンと零されたそれにルイはひとつ頷く。ベルでエリクを呼び出し薬湯を用意させて、アシェルに飲ませてからモノクルを取った。
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