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Shape of the family 家族の形5※
ざっ、と大きな衣擦れの音と共に、あぐらをかいていた新太が立ち上がる。
そのままがばりと抱擁された。新太の、汗の匂いに包まれる。身体が熱い。
「あの、この間は本当にごめんなさい、あんなこと言って。恭一郎さんに聞いたんだ、新太がその、悩んでたって。久々にゲンコツもらって……って、新太?」
新太は何も答えない。
「ごめんね、辛かったよね」
「……ん」
弱々しい声。こんなに弱っている新太は、見たことがなかった。いつも、強くて逞しくいてくれるから。
そんなにショックだったんだ。
僕は改めて衝撃を受けた。僕の言葉が、こんなにも新太を傷つけてたなんて。
「ほんとにごめんなさい。ね、今日、この後からずっと一緒にいられるよ。荷物も運んでもらったん……だっ!?」
抱きついたまま持ち上げられ、あっという間に壁際へ連れて行かれる。
すうぅぅ、と首筋を思いっきり嗅がれた。
「んもう、犬みたい」
ふふっと笑っていたら、舐め上げられた。
「ひゃっ、んっ」
髪の中に五指を突っ込まれ襟足を掻き上げられ、そこも嗅がれて舐められ、吸われる。
鼻息が荒い。かなり必死だ。
「あ! ね、喉乾いてるでしょ、ハーブティー飲まない? いま入れさせてもらったばっかりで、氷は入れたんだけどまだぬる目で……」
「ハーブティーより、直を飲みたい」
言いながら、舐める先が唇へと移動した。必死に舐めてくる。
僕を飲みたい? どういうことだろう。暑さのせいで、思考回路がおかしくなってる?
新太の顔を伝う大粒の汗を、指で拭う。このままだと新太、水分不足で熱中症になってしまうかも。
そうだ。
僕は、唇を舐めてくる新太から無理やり顔を離して横に背け、手に持っていたグラスから、急いでハーブティーを口に含む。新太は、僕の唇からハーブティーを吸い取り始めた。
「んっ、ん。んんっ……んむ! ぷぁっ!」
ちょっと失敗。新太が舌をねじ込んで来たせいで、残っていたものが溢れてしまった。首元まで雫が垂れる。
新太の顔が常に目の前にあるから、拭きたいのに拭けない。新太の舌は、ここぞとばかりに口の隅々まで侵入してくる。
「……んんっ」
歯、歯と唇の間、口蓋、舌、舌の裏。順になぞって、音を立てて舌を吸う。ほんとに飲む勢いだ。
その間に新太の手が、背中から下の方へと下がり、お尻を強く、優しく揉みしだく。
「っん!」
太く硬く育ったものが、僕の太腿にごりごりと擦りつけられる。袴越しなのに、その存在をはっきりと感じ取れた。
「ん、はあっ、んっむ」
これ以上はダメだ、僕も興奮しちゃう。下が反応して、どんどん熱く硬くなっていく。も、どうしよう、ここ道場だよ? 斉藤家だよ!?
僕は、大きな欲望の波に呑み込まれまいと抗った。自分の掌を、がっつく新太の口に当てて、押し戻す。
「ねえ新太、ヤるにしてもここじゃダメだよ、場所移そう? ねえ聞いてる、ねえってば、新太! ちょっ」
新太は、押し当てられている僕の指をしゃぶり始め、目を覗き込む。僕しか見えていない、僕だけを求める、熱い瞳。
ううう、もう何なの、この格好可愛いの!?
『これはもう止められないと思いますよマスター。いまのうちに結界を』
セバスが足元に現れる。確かに止められそうに無い。僕まで我慢できなくなってきてるし。
「結界は無理だよ、魔法陣も何も準備もしてないんだから! セバスの、ほら、扉を開けられなくするまじないは?」
『鍵穴を錆びつかせる、あれですか……長く持たせるのは難しいと思いますが、ましろに人除けのまじないも発動してもらって、何とかしてみます』
うん、新太を落ち着かせるにしろ、最悪ぱぱっとここで抜いちゃうにしろ、これで少しは時間、稼げそうかな。
僕は自由なもう一方の手で、新太の肩をばしばしと叩いた。
「新太、新太! ましろを呼び戻して! セバスを手伝わせるから」
「……ましろ?」
新太が身を引き、離れてくれた。良かった、ちょっとは正気になったかな?
『来ましたわ』
足元にすい、と現れる真っ白い影。
「わ! すっごく早かったね? ありがと」
僕はしゃがみ込み、ましろを撫でた。
『アラタの頭の中がもうナオの色々でとんでもないことになったので、何かあったのだろうと思って引き返して来ましたの。
ナオ、以前から気になっていたのですけれど、やはりアラタには、使い魔との精神共有に関するコントロールを教えて頂いた方がよろしいですわ。控え目に申し上げて私、今後正気を保てるかどうか自信が持てませんの』
控え目に言ってそれって。申し訳ない!
精神共有のコントロール等は普通、カヴン内の先輩魔女が教えるものだけれど、新太は魔女ではないので、その辺りは誰も触れてこなかった。でも、新太は魔女と同じように使い魔と契約したのだ。カヴンに所属していなくとも、コントロールの仕方を学ぶ必要性は、当たり前にあったはずだった。
これまでは、恐らく相性の良さだけで上手くやれていたのだろう。
「ごめんね、配慮が足りなかった」
『いえ。この話はまた、帰国してからに致しましょう。まずは、この状況をどうにかしなくては。
セバスの加勢が必要なのでしょう、行って参りますわ……ナオもこの後、覚悟なさって』
来た時同様、すい、と消えるましろ。
覚悟? そっか、ましろ、この後新太がやりたいことを、先に見たのか。そういえば何だか、新太が大人しいような。
振り返ると、新太は着ていたはずの袴を畳んでいる最中だった。綺麗に畳むな、と思っていたら、今度は下に履いている道着を脱ぐ。
「えっ、ちょっと、新太?」
新太の足全体が露わになる。
大腿筋、というのだろうか。触れなくとも、筋肉がごつごつしているのが良く見て取れる。
道着を素早く畳み、先ほどの袴の上に重ね置く。更に、下着をさっと脱いだ。
「わ……」
めちゃくちゃ硬そうにそそり勃ったものが目に飛び込んで来た。先端がもう濡れて、てかっている。
何度も口の中に含んだことはあるけれど、いつも、触れることにばかり集中しているせいか、新太のものを、こんなに明るい場所でこんなにまじまじと見たことはなかった。目が離せない。
でっかい。ごくりと唾を飲み込む。
力強くて、でもとても綺麗で美しい。僕の欲目なのかな、好き過ぎて、そう見えるのかな。
あれが、いつも僕の中に入って、僕を気持ち良くさせてくれて、魔力まで与えてくれる。凄いな。
ぼう、と眺め過ぎていたようだ。
ふぅー、と、大きな溜め息、というか、上がった息を無理やり押さえつけえるような呼吸音で、僕は我に返った。下半身だけ裸になった新太が、壁際にいる僕の方へゆっくりと、歩いてくる。
「もう、我慢できない」
「あ、らた?」
僕の上半身は、新太の上半身と壁に挟まれてしまった。新太の手が、僕のジーンズのボタンを外し、ファスナーをさっと下ろす。
「直の中に、入りたい」
僕の耳元に、胸に響くような低音の声で、囁く。これだけで僕はもう、足の力が抜けてしまう。そのタイミングに合わせて、履いているものを丸ごと太腿までずり降ろされた。
薄々気づいていたけれど、色々分かられちゃってる。
「セバス!」
新太が横を向き、空中に右手を差し出した。
『もう! いつも思いますけど、新太様は使い魔を何だと思っていらっしゃるんですかね!?』
にゅるん、と透明なローションが、新太の掌に出現した。いや、言うことを聞いているセバスもセバスだと思う。
「も、ほんっと……!」
ダメだこれ、ほんともう、ヤるしかない。
「はぁっ、はむっ、ん」
舌を絡めたキスは、高い水音が立って、僕は否応無く興奮する。顔から伝う汗がたまに混じって、今日のキスは少ししょっぱい。
「ん!」
新太は、さっき手に受けたローションを、僕の入り口付近にさっと塗った。たまを手の付け根部分で刺激しながら、ぬるぬると入念に塗り込んでいく。
「んっ! んんっ」
僕の中に、新太の指が入った。今日は、最初から二本だ。
「あっ、やっ、はぁぁぁっ」
指は真っ直ぐに、僕の一番敏感なところを刺激してきた。そこを刺激すると、僕はすぐに達してしまうから、いつもならもっと準備してから触れてくるのに。
「喉が乾いたんだ……直の、飲ませてよ」
耳に、甘い甘い声が注がれる。
「やあっ、んん、は、うっ、ああああっ!」
やっぱり、あっという間だ。勢い良く出してしまった。
「うぅぅ……」
早い、早すぎる! いままでで一番早かった気がする。気持ち良いところを知られているとはいえ、これは恥ずかしい。
新太は自分の腕にかかった、僕の出した白濁の液体を、目の前で、舌で掬い取り音を立てて飲み込んだ。
わざとだ。わざと僕に見えるようにやっている。
「このっ、変態ぃっ!」
僕は真っ赤になるのを自覚して、顔を手で覆う。
しかも、新太のやってることは間違いなく変態なのに、それを格好良いとか思ってる僕もよっぽど変態だ。
「直、直」
呼ばれて新太を見ると、膝立ちになり、僕の太腿に顔を近づけているところだった。
「ちょっ、新太!?」
新太は、僕の太腿やお腹、あちこちに飛び散りとろりと垂れ下がる液体を、丹念に丹念に舐めていく。
「ふっ、うぅぅぅっ」
何なんだこの絵面。すっごくエッチい。
舌の感触が、ひとつひとつ快感を生み出す。出したばっかりなのに、むずむずしてまた勃ってきている。
「あっ!」
新太は口を大きく開けて、僕のものを咥えた。
「も、それ、やぁ、やめ、てっ! 新太っ、汚い、から!」
いつもこれはだけはやめてって言ってるのに! スイッチが入ると全然聞いてくれない。
喉の奥まで一気に咥えられる。新太は頭を前後に揺らし、少しずつ角度を変えながら、僕の棒全体に刺激を与えてくる。
「……んんっ!」
しかもまた、穴に指を突っ込んできた。次は三本。優しく優しく中を掻き回される。
「んあっ、はああああっ、や、やめ、てっ」
敏感な部分をこりこりと弄る。前からも後ろからも刺激を受けて、もう、気持ち良過ぎてめちゃくちゃだ。
「ふあっ、はあっ、あ……ん、はぅ」
頭がくらくらする。
手の置き場所に困った僕は、新太の髪を、引っ張らないように気をつけながら、両手でくしゃりと握るしかなかった。
すぽん、と新太の口が離れる。
「あんんっ!」
「直、直!」
新太が切なげな声を出して、こちらを見上げている。えっ、まさか髪を握ったので興奮したの? これ、興奮するところ!?
再び一気に奥まで咥え込まれる。喉の奥で先端を擦られながら、容赦のない吸引。
押し寄せる快感を全然抑えられない。腰が勝手に揺れる。
「んんんん、はっ、んああああああっ!」
僕はとうとう、新太の喉の奥に入れたまま、かなりの量を出してしまった。
新太は喉を鳴らしながら、全部飲み込む。
「ん、ふっ……あ、新太、ごめん……?」
新太は立ち上がり、口元を手の甲で拭いながら、
「くっ、ははははははっ」
「ちょっ……」
笑いが怖い!
文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、すぐに真顔に戻った新太に先を越された。
「まだまだ、全然足りない」
ジーンズもろもろを素早く剥ぎ取られ、結局僕も、下半身裸になってしまった。
僕は向かい合ったまま、壁に背を押しつけられる。新太は僕の両腕を掴み、自分の首に掛けた。
「落ちないようにちゃんと、しがみついてろ」
新太は自分の腕を僕の膝の下に内側から差し入れ、尻たぶを鷲掴みし、持ち上げる。
抱っこ状態だ。
「え、何これ、何するの?」
「勉強、したんだ」
穴に新太の熱いものが侵入してきた。散々弄られた分、もの凄くスムーズに入った。
「はっ……んんんっ。おも、くないの?」
ひええええ、何だこれ、何だこれ! と戸惑いつつも、どうなるんだろう、という好奇心の方が強まる。
「はっ……いいや全然。ちょうどいい、つか、この重さが、欲しい」
はあっ、と息を吐き、新太が舌を出し、キスをしてきた。そしてゆっくりと揺さぶる。
キスを続けながら、ねちっこく揺すられる。
背中を丸めれば、体重が載っている分、新太の根元と僕の穴の密着度が半端ないし、僕の根元と穴の間のところも押されて気持ち良い。
背中を反らせば、僕のが新太の道着と僕のシャツに擦られて、扱かれて気持ち良い。
新太は、時折連続して激しく腰を振り、またゆっくりと出し入れして。お尻は常に強く揉まれる。
「はぁん、ん、むっ」
僕はいろんな刺激に翻弄されて、目からは涙が溢れ、口からは涎が垂れ、身体全体から汗が噴き出す。
「あっ、あ、らたっ、ぼくっまた、イきそう……」
言った後、連続で激しく揺すられた。
「んん、んああああああんっ!」
背中がびくびくと震え、またイってしまった。震えは全身に行き渡り、放り出されそうな感覚があって、新太にぎゅうとしがみつく。
気持ち良いのが、なかなか治らない。お腹の中が、何度も繰り返し、波打っている感じがする。
「っん、はっ、ふっうっ」
新太も息を荒くして、堪えている。僕の中、新太のを搾り取ろうとしてるのかな?
ん? あ、あれ? そういえば僕の、あんまり精液、出てない気がする。お腹を覗くと、我慢汁みたいなのがちょっとずつ、ずっと染み出している。どうなっているのだろう。
「あ……ん、新太、なに、んんっ、はあっ、したの……?」
僕はもうとろとろで、力が入らなくなってきている。新太の後ろに回していた腕も、ずり落ちそうになった。
軽いキスと共に、強く抱き締められる。背中を擦られ、ゆっくりと、新太のものが取り出された。
僕の両足が、床に着く。もう、ふらふらだ。
僕は、壁に両手をつき、何とかへたり込まないように耐えた。
窄まりが、痙攣を繰り返す。
「……んっ、はあぁっ、んんんんんっ」
中で、快感がまた押し寄せてきた。びくびくびくっ、と背中が撓 る。全身がぶるぶる震え、軽く吐精した。ぱたたっ、と雫が床に零れ落ちる。
気持ち良過ぎる。
「直、直。そんなに俺で感じてくれてるのか。嬉しい」
背中を強く長く吸われた。
「ああんっ」
「はあっ、直、綺麗だ、ほんとに綺麗」
後ろから抱き締められ、また新太の濡れた先端が、お尻を分け入って、再度僕の穴の中へ。
えええええ、これ、まだ続くの!?
ましろの言葉を思い出した。覚悟って、どこまでなんだよましろ!
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