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Secret rites 秘儀2※

 話し合いの結果、施すことになった魔法陣は三つ。  ひとつは結界の魔法陣。何かあった時、すぐに身を守れるように。  ひとつは魔法無効化の魔法陣。相手が発動させた魔法にぶつけ、相殺させる。魔女の魔法は攻撃系の魔法が無い、ということになっているので、これが精一杯の反撃魔法となる。  そしてもうひとつは精の魔力変換の魔法陣。こいつは俺のリクエストだ。いつでもどこでも、即座に魔力供給できる。当然、ところかまわずエッチしたいという下心もある。「魔法陣があるからここでもできるだろ?」という論法が使用できる。俺は天才か。いや違う、もし万が一魔力が枯渇しそうになった場合でも、早急に魔力供給が出来るよう、すぐにヤれるようにするためだ。  あれ、一緒か?  そんなことはさて置き。自分が詠うと提案した時にはまさか、自分の下半身事情がこんなにヤバくなるとか想像もしてなかった。  ありがたいことに俺のチートスキル「魔女でもないのに魔法が使える」があれば、どうやら頭の中がエロモードに突入していてもきちんと魔法が行使できるらしい。焼きつけは順調に進んでいるように見える。 『この身は備えを求めん』 「うっ、ひっぐっ!」  いやいやマジで、おっそろしい取引だ。  俺が素知らぬ顔をして詠いを続けている間、直は涙を流してしゃくり上げ、真っ青な顔をして肩を震わせている。エロい。痛みだけでなく、寒さも感じているのだろうか。エロいなあ。温めてあげたい。てか、ヤりたい。ほんと、突っ込みたい。直だって、身体を動かせば……  閃いた。もしかして、痛みから意識を逸らした方が、楽にしてあげられるんじゃないだろうか?  俺は試しに、直の腰を俺の方に引き寄せてみた。 「はあっ……ん!?」  直が、俺の股間の状態に気づいた。俺のが直のものに当たるよう、更に深く引き寄せる。直は俺の意図をすぐに察して、自ら自分のものを俺のものに当てて、扱くように腰を揺らし始めた。  布越しで、俺の硬く膨らんだ股間と、直の白く可愛らしい性器が重ね合わされ、その性器もあっという間に硬く大きく育った。 『焼けろ焼けろ、竈の火』 「あ、あん、うっ」  捏ねるように擦りつけられる性器から、徐々に液体が染み出し始めた。  直の声も、甘い響きに変わる。身体全体の反応も、先ほどまでのびくつきとは明らかに違ってきた。頬にも少しずつ、血の気が戻ってきたようだ。 「あっ、あ、あ」 『……この身は守りを求めん』  直が上半身を摺り寄せ、少し開いた唇を近づけてきた。肉厚でぽってりと柔らかい唇、濡れた口の中の粘膜が、俺の目を捉える。 『っ! 王権の化身、高貴の女神』  俺はすんでのところで顔を背け、キスを回避した。はあっ、という甘い吐息が、俺の首にかかる。  あっぶなかった! 直に自覚は無いのだろうが、誘惑が強すぎる。危うく詠いを止めるところだった。  そりゃ俺だってキスしたい。しかし、衝動のままやってしまうと詠いが途切れる。焼き印の儀式のやり直しなんてしたくない。直の苦痛の時間が長引くだけだ。  俺は眼前に迫りくる直の唇から目を逸らし、焼きつけている箇所のみを見るように、必死に努めた。  なんとか詠いを終了させた瞬間、直が噛みつくようにキスをしてきた。しばらく舌を絡ませ唾液を啜り合う。  は、と息を吐いて、お互いに唇を離した。 「ふふ。新太、勃ってたんだね」 「ははは、すまん。直がさ、すっげーエロく見えちゃって。我慢できなかった」 「……もう、バカ」  直は、殴る代わりに、俺の頬に軽く口づけした。 「痛かった?」 「ん、途中まではかなり。でも、新太のお陰でエッチなことしか考えられなくなったから、痛みなんてどっか行っちゃった。  あー……でも思い出したらまた、痛くなってきた」    俺は、魔法陣が描かれていた不燃紙を外す。不燃紙から魔法陣は消え去り、代わりに直の腰に魔法陣が浮かび上がっていた。魔法陣と周辺の肌が、真っ赤に腫れ上がっている。  直は自ら指先で魔法陣をそっとなぞり、うううと呻いた。  なるほどなるほど。やっぱエロいことしとけば、まだ気は紛れるか。うんうん。 「なあ、直。次、ヤりながら焼きつけチャレンジしてみよっか?」 「えっ!? でも、エッチしながら詠える?」 「いま刻印したやつ、どう、成功してる?」  直は恐る恐る、掌を魔法陣に当て、目を閉じた。  やがてゆっくりと目を開け、 「うん、最終的にはダイアナに確認してもらうけど、確かに、成功してるみたいだ。  でも、魔法発動直前にセックスするとダメだ、って習ってたんだ。性魔術でもないのに詠いの最中でヤるなんて、もっとまずいような気が」 「セックス直後の詠いなんて、俺も直も、いつもやってんじゃん。最中だってそう変わらねえよ」 「えっ、や、たぶん、いつものとはちょっとというかだいぶ違っちゃうというか」  直が、顔を赤らめもじもじしている。恥じらいか。ほんっと可愛いなおい。 「だーいじょうぶだって、()()()()()と思ってるから! ほら、どうせ次の刻印、精を魔力に変換するやつだろ、中に出したの、すぐに確認に使えるぞ?  なあ、俺の、チャック下ろして出してくれ」  俺は、直のすべすべで小さく締りの良い尻を両手で掴み、揺さぶって誘う。 「今朝もヤったから直の入り口は柔らかいし、俺の、たぶん濡れてる。さっき、擦れ合ってる時にちょっと出しちゃったからさ、すぐに入るって」  もう、と言いつつ直は俺のパンツのボタンとチャックを下ろし、下着の中から俺の硬くなった肉棒を取り出した。先っぽから染み出したものを、直が指と掌を使って塗り広げていく。素っ裸の直が俺の膝の上に乗り俺のをぬるぬるにしていく光景は、ガチでエロい。  俺は近くのテーブルに準備していた魔法陣を手にとって、直の尻たぶに宛がった。  俺のものが、直の手で扱かれ粘液で濡れて音を立て始めた。  直が腰を上げ、唇を薄く開いた。舌を絡め、唾液を啜り合う。それから直は腰をゆっくりと落とし、俺のものを穴に咥え込んだ。  準備は万端だ。 「よし、始めよう」 『……この身は、備え、を求めんっ』 「んああああっ!」  直と一緒に声を上げそうになり、ぐっと堪える。  直の中が、凄まじいことになっている。いつもよりかなり熱い。  気持ち良さに対する身体の反応と、痛みに対する反応が相まって、直のお腹が不規則にひくつく。予測不可能な刺激に、俺の性器が翻弄される。  しかも、徐々に俺の身体全部がおかしくなってきていた。  昂ぶりが、下腹部から、太腿、ふくらはぎ、足先、胸、首、腕、指先、頭のてっぺんに至るまで、全身くまなく巡り渡る。俺の全てが性感帯にでもなったようだ、とにかくそこかしこ、全部が気持ち良よくて何度も出しそうになる。  恐らく魔法を使ってるせいだ。魔力を発動すると身体の中に魔力の流れが出来る、本来魔女はその流れをコントロールして魔法を扱う、という話はダイアナから聞いたことがあった。  俺は魔女でもないし正式に使い方を学んだこともないので、きちんと意識して魔法を行使したことはなかった。いまは快感が伴っているから、はっきりとその流れを捉えることができる。  つーか、魔力の流れに快感が一緒に乗っかって、全身廻るとか!  直がさっきもじもじしてたのは、これを言いたかったのだろうが、今更分かっても手遅れだ。  くそっ、全然余裕が無い!! 「ああっ、ああ、はあっ、んっ」 『焼けろ、焼けろっ』 「やあ、ああああんっ!!」  ひときわ高い声を出し、直が俺の上で達する。  耳から嬌声が流し込まれ、快感で俺も大量に吐精した。 「ふっ!」  強烈な甘い痺れが、衝撃となって襲い来る。目の前が真っ白になった。 「……らたっ、ああんっ、あら、たっ、はぁ、んっ!!」  直の声が耳朶を叩く。 『……っ、竈の火っ』  直が、俺の顔中に、キスの雨を降らせる。  やっべえ、直の声が無かったら、マジで意識飛ぶとこだった! 「んんんんんっ!」 『この身は、守りを、求めんっ』  くっそ、頑張れ俺!  直は、俺の首に抱きついたままグラインドを繰り返す。俺は直の尻から手を離さぬよう、そして意識を保って詠いを続けるよう懸命に自分を鼓舞する。  これは拷問か? それとも鍛錬? 修行僧にでもなった気分だ。いや、これだと破戒僧になるか?  思わず掌に力を込め、口調を早めてしまう。 『王権の化身、高貴の、女神っ』 「ひ、あっ、あああん、んあっ、はあっ、んっ!」  真っ赤に染まった肌、汗ばんで、恍惚とした表情で快楽に身体を委ねる直を眺める。  時折激しく震えたり、うっ、と顔を歪めたりもするが、気持ち良さで、少しでも痛みが和らいでいるなら良い。  ところで直は、気づいているだろうか。  つい先刻から、直の肌がうっすらと発光し始めていた。綺麗で美しくて、少し眩しい。  快感の渦と詠いの最中、俺は詠いを止めない程度に、直の頬へそっとキスを返した。  俺の直は、俺の手の中で光り輝く女神になる。

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