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第17話 銀狐、熱い手に翻弄される 其の一※

 決定打のない吐き出せない熱が、ぐうるりと頭の中を掻き回していく。快楽が欲しくて堪らない。法悦を求める頭は煮え滾る様で、(こう)の理性を次第に奪っていく。  朦朧とする意識の中で、本能が勝ち始めたのか。先程まで感じることのなかった、白霆(はくてい)の香りを感じた。春の野原に咲く草花のようなそれが、懐かしくて堪らなくて。   「……ちび……」    気付けばそう口に出していた。  何やら寝台の縁で大きな物音がしたと思いきや、先程まで突っ伏して寝ていた白霆(はくてい)が、驚愕の顔で晧を見ている。  何故そんな顔をするのか分からなかった。  それ以上に目の前にいるのが誰なのか、晧にはもう分からない。  ただ懐かしくて堪らない香りに縋るように、陶然とした表情で白霆(はくてい)を見ているのみ。   「……ちび……、は、くて……っ!」    再び晧の腰がくいっくいっと動く。  何とか手を動かして、近くにあった白霆(はくてい)の衣着の袖を、晧は必死の思いで掴んだ。   「……た、すけ……さわっ……」    どうか触れて欲しい。  その懐かしい香りに包まれて達かされたい。  すっかり理性を失ってしまった頭で、そんなことを思う。  白霆(はくてい)が息を詰めたかと思うと、何かを堪えるかのように顔を顰めた。だが刹那の内にそれは嘘のように消える。  寝台に上がった白霆は、軽々と晧の上体を起こした。そして先程と同じように白霆(はくてい)の胸に、背中を預けるような体勢をとったのだ。   「……っ、あ……っ」    男の温もりを背中に感じ、身体は悦びに打ち震えた。決して明瞭でない意識の中で、この香りだけが頼りなのだと言わんばかりに晧が、白霆(はくてい)の胸元に顔を寄せる。   「……先程も説明しましたが、あの薬を飲んでも媚薬が抜けない場合、幾度か『激化状態』を繰り返すことになります。それは貴方の心の蔵へのかなりの負担になります。ですので……ある程度熱を発散させなくてはなりません。……貴方のここに触れます。どうか、ご容赦を」    白霆(はくてい)はそう言うと躊躇なく晧の腰紐に触れた。しゅるりという衣擦れの音を聞くだけで、期待で腰が跳ねる。片手で腰を押さえ付けながら、白霆(はくてい)が器用に下衣を少し下げた。  現れたのは薄桃色に色付いた、春華(しゅんか)の花芯のような形の良い綺麗な屹立だった。すでに天を向き、蜜をとろりと溢れさせながら解放を求めて、ふるりと震えている。   「はっ……」    空気に触れた刺激で、とぷりと花芯から蜜が流れ落ち、淫口に水玉の出来る様は、あまりにも淫靡だった。 

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