82 / 107

第83話 銀狐、目合う 其の五 ※

「あ……」    何も隠すものが無くなった下肢が、白霆(はくてい)の眼下に広がる。ほどよく引き締まった形の良い足に、太腿、白くまろい(いざらい)。だが彼の視線は真摯にも(こう)の花芯に向けられる。   「……綺麗です、晧。ここも……愛らしい」 「変なこと……言うな……っ」 「とても白くて、綺麗な一本の筋が通っていて薄桃色の先端……まるで……」   「だから恥ずかしいこと、言うな……っ! ──っ、あっ、やぁ……ゃぁ……!」    まるで晧の文句など聞かないとばかりに、白霆の形のよい長い指が、勃ち上がった花芯をやんわりと捕らえた。そして揶揄(からか)うように、焦れったく指を滑らせる。根元から茎をゆっくりと撫でて、括れを(くすぐ)り、かたい爪の先に薄桃色をした先端を割られれば、更にとろりと溢れるのは先走りの蜜だ。   「ふっ……あ……」    白霆の手を掴んでいた筈の晧の手は、いつの間にか敷包布に落ちて敷物を力なく引っ掻いている。やがて花芯から湧き出てくるどうしようもない甘い疼きに、敷包布をぐっと掴んだ。きつく握り締めているそれが、深い快楽を与えてくる白霆に対する、唯一の抵抗といわんばかりに。  自分の口から漏れていく吐息の熱さが、居たたまれない。甘く濡れて啼く声も、居たたまれない。  だが彼の手管によって気持ち良くなる自分を、白霆には知ってほしい。   「はぁ……っ、はくて……」    透明な先端の滑りを幾度か指先で(すく)われて、茎に塗り込むようにして扱き上げられる。その度にぬちゃりぬちゃりと、卑猥で粘着質な音が室内に響き渡った。  あまりにも艶な粘りついた音に、掻き立てられるのは劣情だ。その音だけで身体は昂るのか、どぷりと先走りの蜜は溢れて白霆の手に滴る。  強弱を付けて茎を扱きながら、きれいな二本の指先が、輪を作った。(くび)れている敏感な部分に、先走りのぬめりを塗り付けて、くるりと指の輪を回されれば、無意識の内に晧の腰が軽く跳ねる。   「あぁ、ッ……やっ……は……っ」    二本の指は輪を作りながら、先端に合わせて柔軟に形を変える。上下しながらも、茎に戻る頃には全体に絡みつき、括れに辿り着くと輪を作っては、先端に向かって絞るような動きを繰り返す。  やがて。   「──ひ、ぁ」    滑りとした熱いものが裏筋を丁寧に辿る感触に、晧の腰が再び跳ね上がった。  白霆の舌だ。  そう認識した途端、背筋を駆け上がっていくのは、今まで感じたことのない恥ずかしさと、それを上回る悦楽だった。   「はくて……、んや、やぁ……っ!」 「あなたのここが、とても美味しそうでしたので。──味わわせて……晧」       

ともだちにシェアしよう!