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第45話 おでこ

「あっ……」  自分の指で準備をしようとしたんだ。君と繋がるために、ここで受け入れられるようにって、そのためには女性じゃない僕の身体でも大丈夫なように準備をしないといけなくて。 「ぁっ……っ」  指を、入れてみた、ことがあった。  今から、またその準備をここで、今度は君に見られながらする。 「う……っ、ん、あっ」  寝転がって横向きになりながら背中をぎゅっと丸めて、どんぐりみたいになりながら、後ろに手を回した。ローションをつけて、指で。 「ひゃ……ぅ、ン」  それを君が見つめてる。 「あ、和磨、く……ぅ、ン」  僕に覆い被さるようにしながら、そこで見ていてって僕がお願いしたんだ。  上手に指、入れられなかったから。準備をしようとしても僕の指じゃ、僕の身体は受け入れてくれなくて、全然ダメだった。でも、初めての時、和磨くんの指なら入ったでしょう? だから、和磨くんが近くにいたら、僕の指も入るかなぁって思ったんだ。 「じゅ、ん、び……あ、あ、あっ……ぁ、うっ……ン」  濡れた音を立てて自分の指を自分の後ろに少しだけ。 「僕、不器用、でっ」 「?」 「だから、準備、自分で、けど、あっ、上手にできるように」  慣れたら、きっと和磨くんはしやすいよね。準備の手間が省けたら。 「上手になんなくていいよ」 「ひゃ、あっ」  ちょっとだけ入った指を優しく和磨くんの手が引き抜いて、その指にキスをした。 「さ、触ったら、汚い、よ」 「そんなわけないじゃん。それに準備して欲しかったんじゃないよ」 「? あっ」  でも。 「この前、言ってた、準備を、俺とするためにしてくれてたの、見てみたかっただけ」 「ぁ……」  今度は手の甲にキス。 「準備とか、上手になんなくていいし」 「っ」  次は手首にキス。 「俺がするから」 「……ン」  唇にキス。 「ひゃ、あっ、あ、あ、あっ、ひぅっ」  胸は、キスされると飛び上がってしまった。 「あ、あ、あ、やぁっ」  そんなところを唇でキュッと吸われて、飛び上がった。 「あ……や、ぁ」  そのまま、乳首、を舐められて、ゾクゾクって、背中を快感が走ってく。 「ふぅ……っ、ン」  びっくりするくらいに気持ち、いい。 「ここ」 「! や、和磨くんっ」 「準備も俺がする」 「あ、ダメ、そんなとこ」  僕の指じゃ頑なだったそこが和磨くんのキスにきゅぅってして、奥のところが切なくなった。 「あ、あ、っ」  ダメ、でしょ? 舐めたりしたら良くないのに、止めるための指先に力が入らないくらいに気持ちいい。溶けてしまいそう、お尻の、奥のところ。和磨くんと繋がった奥の、場所。 「指でしてる佑久さん、やばいくらいに可愛かった」 「そ、んなわけ」 「目に焼き付けた」 「ちょ! 焼き付けなくて、いいっ、よ」 「っぷは、無理、マジで可愛かったから」  そんなわけない。  絶対に、ただの不器用だった、でしょう? 「最高」  不思議だ。  あの時も、すごく悩んだのに。あの時も、こんなに、指先すら挿入にこんなに苦労するのなら、結ばれるのは難しいかもしれないと、すごく思ったのに。 「佑久さん」  今は、悩んでいたことがくすぐったくなるくらい、懐かしいなんて。 「……ン」  キスも、準備も。  首、くすぐったい。 「ひゃうっ、あ」  唇だけじゃなく、和磨くんのキスが首すじ、肩にも。そのキスに慌てていると、優しい手が僕の貧弱腰を撫でた。  くすぐったがりなんだ。  だから、触られると。 「佑久さん、ほっそ」 「ひゃっ、あ、あぁっ」 「腹もぺちゃんこ」 「っ」 「ちゃんと、食べてる?」 「う、ん」  鎖骨にキスをされて、うん食べてるよ、の返事の声が裏返ってしまった。  変な高い声。  ご飯ならちゃんと食べてるよ。今日だって、一緒に作ったハンバーグとても美味しくて、完食したでしょう?  一緒に、何度もご飯食べにいったでしょう?  僕もちゃんと食べるよ。 「あ、ひゃっ……ん、んんっ」  くすぐったがりだから、首とか脇とか、触られると大変なんだ。 「あ、やぁっ……」  でも、なぜか、和磨くんが触ると、くすぐったいのを通り越してしまう。通り越して、なんだか、とても。 「ひゃう……っ、ン」  ゾクゾクしてしまう。そして。 「あ……ン」  ゾクゾクも通り越して、気持ち良くなってしまう。 「ほぐれてると思うけど、痛かったら言って」 「あ……ぅ、ン」  そして、和磨くんが僕の、ぺちゃんこと言ったお腹にキスをした。ただ肌に唇が触れただけなのに、胸が苦しくなるくらいに和磨くんが恋しくて。 「こんなに薄くて細い佑久さんのここに、俺の」  あ。 「入れても、い?」  すご、い。 「ぅ……ん」  和磨くんの、すごい。 「い……よ」  硬く、なってる。 「……あっ」  ゴムをしているところを見つめながら、心臓が破裂しそうだった。そして目が合ったら和磨くんが笑って、えっち、って小さく呟きながら、また僕の額に額をくっつけた。 「佑久さん」  触れただけで、奥が、きゅってした。 「ぁ、あぁっ」 「っ、ヤバ」  少しだけ、ちょっと繋がっただけで、嬉しさで胸がいっぱいになる。 「っ、佑久さっ、ン」 「ん、ン、和磨、く……ン」 「この前より、やばい、かも」 「ぅ、ん」 「佑久さん」  もう、知ってるから。 「すげぇ、好き」  君と結ばれるこの行為はとても、とっても嬉しくて、幸せが溢れるくらいだって知ってるから。  初めてよりも、やばい、だった。 「和磨、く……ん、あ、あぁっ」  初めてよりも、君が好きでたまらなかった。  初めてよりも熱くて、僕は今、胸いっぱいに抱えた喜びをとても上手に伝えられそうになくて、額を君の額にくっつけた。そこから伝わリますようにって。  気持ちいいと。  嬉しくてたまらないと。  伝わりますようにって、僕を抱き締めてくれる君を抱き締めた。

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