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第80話 幸せを結ぶ
僕の、です。
「っ、佑久、さん」
「ん、っあっ!」
僕のです。
一緒に突然の雨の中、女の子の傘に入れてもらっているのを見てしまった時も。
「っ」
「っ、ン、和磨くん、気持ち、ぃ?」
歌をせがまれてる時も。
「気持ち、いっ……よっ」
「あ、よかっ……あ、あっ、あぁっ」
気持ちの端っこにあったんだ。気持ちの奥の奥のほうに、ずっとあった。僕の。
「んっ、ン」
和磨くんへの独占欲。
「っ、佑久さん」
僕で気持ち良くなって欲しいんだ。辿々しいだろうけど身体を上下に揺らして、奥いっぱいまで彼のを深く突き立てみた。気持ち、いい、かな。和磨くん。あんまり上手に動けないけど、でも、和磨くんのこと、もっと、少しでも、良くしてあげたい。ぎゅって、締め付けて、それから、もっと、僕の中で君のことを――。
「和磨くん」
僕に、ちょっとでいいから夢中になって欲しい。
僕には女の子みたいな柔らかさも、何もないけど、でも――。
「和磨くん」
僕のことをもっと和磨くんに好きになってもらいたい。
「っ、も、マジで」
ぎゅぅぅぅって、お腹の奥のところで和磨くんのを締め付けた時だった。
「わっ、あっ」
突然起き上がった和磨くんが僕を抱き抱えたまま、体勢を入れ替えて、僕の上に覆い被さる。世界がぐるりとでんぐり返しをして、僕の視界が和磨くんでいっぱいになった。
「どうして、そう佑久さんって、ヤバいの?」
「?」
僕、ヤバい、人、ですか?
「可愛すぎるでしょ」
本当に?
「一生懸命に上に乗って、中、うねらせて」
「あっ、あぁ、そこ」
和磨くんのが僕の中を擦り上げてくれると、ゾクゾクって、気持ちいいが背中を撫でていく。お腹も、繋がってるところも、その気持ちいいに感じて、切なくなる。
「こんなにうっすいお腹に俺の受け入れて」
「あぁっ、そこ、ダメっ」
下腹部を撫でられながら、その掌の下に今、いる、和磨くんのを小刻みに揺らされて、存在感にクラクラしてしまう。
「案外、欲望に素直だし」
「あ、あ」
「本当、ヤバい」
「ん、ンンンンンっ」
腰をぎゅっと掴まれて、奥深くをゆっくりしっかり貫きながら、また和磨くんが僕の首筋にキスをしてくれた。吸って、いるのか、ちょっと抓られてるみたいな小さなチリチリとした刺激を首筋の辺りに感じて。
「これされるの好き? 中がすっごい締まる」
「あ、わかんな」
そっと手を伸ばして、その首にしがみついて。
「ずっと、気持ちいい、から」
「佑久さん」
「どれも好き……」
そっとキスをしながら、そう呟いた。
「あ、あ、あっ」
「中、キュンキュンしてる」
「あ、あ、あ、ダメ、あ、ひゃあっ……ン」
音、すごい。
「佑久さん」
「あ、あ、あ、そこ」
「ここ? 気持ちい?」
「あ、好き、気持ち、イ」
繋がってる音。
「あぁぁっ」
「中、うねってる」
「あ、あ」
ぐちゃぐちゃに絡まり合って、結ばれてる音。
「あ、っ、ダメ、そこ、されたら、イッちゃう」
「うん」
「あ、待って、和磨くんっ、あ、あ」
グチュグチュって、濡れて、絡まり合って、きっと解れないくらいに、身体の奥のところで君と結ばれてもう解けない音。
「あっ」
「佑久さん」
覆い被さりながら、僕の奥をたくさん和磨くんが突いてくれるのがたまらなくて、その首にしがみついた瞬間、低く掠れた声で名前を呼ばれて、奥がギュウウって。
「あ、ダメ、ぁ、あああああああっ」
「っ」
「あっ……あ」
「ヤバ……」
「あ、和磨くん、待っ」
「無理、止めらんない」
「あ、あ、あ」
「あとで、たくさん俺に怒って」
「あ、そんなっ」
「ごめんね。佑久さんの中、たまんない」
「あ、あ、違」
「佑久さん?」
もっとぐちゃぐちゃに絡まり合って結んで欲しいんだ。
「もっと、奥、に」
僕の、もの、ですって。
僕の奥の奥の方に、ずっとあった。
「奥に、来て欲し」
「っ」
僕の独占欲を。
「佑久さん」
「あ、あっ」
「好きだよ」
「ひゃあっ、うっ」
和磨くんので触れて、撫でて欲しい。
奥で、君のことを独り占めしたいって疼くそこを、もっと。
「すげぇ、好き」
「あ、あ、あ、奥、入っちゃう、来ちゃ、うっ」
「好き」
「あ、あ、和磨くんっ、和磨くんっ」
もっと、奥まで満たして。
「あ、あ、ダメっ、来ちゃう、っ」
「うん」
「あ、ああああああああっ」
奥のとこ、今までで一番深くて、一番狭いところまで和磨くんでいっぱいになった瞬間、頭の中が真っ白になった。あったのは、和磨くんの乱れた呼吸の音と、僕のなのか、和磨くんのなのか、わからないけれど、ものすごい速さで鼓動する心臓の音。それから。
「佑久さん」
低く掠れた、僕の世界を一変させた素敵な彼の声だけ。
「あっ……」
「すご……佑久さん」
「?」
いっぱい走った後みたいだ。身体まるごと心臓になったみたい。今、話したら、身体の中で大暴れしている心臓が飛び出てしまいそうなんだ。
「やっば……」
「?」
「潮吹くくらい気持ちよかった?」
「?」
目が合った。
僕は君の腕の中で大事に抱えられていて。
君は僕に覆い被さって、とても嬉そうに笑っていて。
「俺」
「?」
「やばい」
「?」
「すげぇ、幸せだ」
僕は。
僕らは。
結んだ身体をしばらくそのまま抱き締めていた。
ずっとこうしていたいって、キスをした。
幸せを生まれて初めて、手にとっているように感じられた。
僕はこの夜を、こんなに確かに幸せだと思える夜を、これからもずっと、ずっと覚えていたいと思ったんだ。
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