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第4話

サウナルーム内は大浦さん一人だった。 浴室に一人いた客は僕がサウナに入る前に出て行った……つまり今、濡れ濡れな裸体を晒した大浦さんと完全に二人きり。 ウキウキしながら大浦さんの隣にバスタオルを敷いて座った。 身じろぎをすれば肌の触れる距離だ。 ああ、気をつけなければ。 ただでさえ暑いサウナ内だ。頭も心もそして体の特に下半身も熱くなりすぎないようにしないと。 「大浦さんさっき脂肪がついてるって言ってましたけど、全然そんなことないじゃないですか」 「……見ろよこの腹。まんまるだろ?」 「あ……確かに。でも下っ腹じゃなく胃のあたりがポコンと出てるから、コレ今飲んだビールじゃないですか?ちょっとこの丸みは……子供みたいで可愛いっっ……です」 体型の話をしたら大浦さんから見ろよと催促。 ええ、見ますとも。赤く染まった艶肌に汗が伝い、幼児のように愛らしく膨らむお腹と適当にタオルが乗せられ見えそうで見えない股間……ああ……このゆるさが素敵だ。 調子に乗ってお腹をポンポンと叩いても大浦さんは逃げたり怒ったりしなかった。 「さわるなよ」 「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」 「むしろ減るんだったらさわっていいよ。けどダイエット効果なんかないだろ?」 「ええ……?じゃあ、僕マッサージしますから、お(なか)なでさせてくださいよ」 仕事では一定の距離感のようなものがあるのに、プライベートの大浦さんは距離ゼロのふれ合いを拒まない。 お腹をペタペタとさわっても、困った様子を見せるだけだ。 「腹のマッサージはいらないから。どうせなら肩と腕を揉んでくれよ」 まさかの、大浦さんからおねだり。 冗談めかした口調だけど、この機を逃す僕じゃない。 「いいですよ。じゃ、肩から揉みますね」 さっと背後に回って遠慮なく大浦さんの濡れた熱い肌にふれる。 舌先でツツツと首筋をなぞりたくなる。けど、まずは結構かたくなっている肩を揉んだ。 「いいよ。冗談だ。俺汗かいてるから気持ち悪いだろ?」 「全然?風呂の後のサウナの汗ですから気になりません」 むしろ流れる汗がローションのようでイイ。 肩や背中にはわす手のひらにズクンズクンと快感が走る。 愛撫…いや、マッサージするに従って、大浦さんの体からだんだん力が抜けてきた。 『はぁ……』柔らかなため息が大浦さんの満足を知らせてくれる。 このまま背後から抱きしめて、じっとりと濡れる胸をまさぐり、脇腹をなでて、首筋を舐め上げたい。 首筋を舐めさせてもらうことに関してはトイレで了解を得ている。けど、まだ早いかな……。 夢中で体を撫で回しているうちに大浦さんの体を足で挟み、内腿を擦りつけてしまっていた。 …って……あ…ぁ…ぁ…………ヤバい……。 モノの先端がチョンチョンと大浦さんの背中に。 く……意識すると……あ……ダメだ……。 大浦さん………僕の手筒花火は打ち上げ準備が完了してしまいました。 先端が大浦さんの背中をかすめるたび、ジュンジュンとした快感が全身を突き抜ける。 ふ…ふぁっっ……モノが当たると大浦さんもピクンと背筋を跳ねさせるから、それがまた僕のモノに甘い刺激を生んで……。 大浦さんの背中を伝うのは汗……だけど、僕の欲望の雫でぐっしょりと濡れているように見える。 ああ…このままヌチョヌチョと背中に擦り付けてしまいたい。 「もう、ミズホくんそんなソロソロなぞられたらくすぐったいって」 どんな表情をしているか確認しようと大浦さんの顔を覗くと文句を言われてしまった。 けど、ソロソロなぞられるのが嫌だということは……。 「もうちょっと強めに押した方がいいってことですか?」 ぐっと体を寄せ、腰を動かし先端を肩甲骨の窪みに添わせてクイッと擦り付けた。 ぁ…あふっっ……暖かくて汗でヌルヌルで……しかも、大浦さんにこんなことをしてしまっているという興奮も加わって……もう……はぁっ…。 「ぁ…ちょっっ……確かにそっちの方が気持ちいいけど、ツルンツルンとなぞられるとやっぱゾクゾクするって。もうちょっとしっかり、こう、グリグリ押すとかさ」 お…お…大浦さん……。 嫌がるどころか『ゾクゾクするからしっかりグリグリして……』なんて……そんな魅惑的な上司命令は即実行するしかないじゃないですか。 「……こう……ですか?」 根元をしっかり握り少し腰を浮かすと、大浦さんの無防備な背中にクリクリと押し付ける。 ズリュッズリュッと押し付けながらこするとすぐに頭が真っ白になった。 さっきと比べ物にならない刺激に内腿がブルブルと震え、それに伴い汗がタラリタラリと体をつたい落ちる。 口内をサウナの熱気に犯され、呼吸を抑えようとするとハヒッハヒッと情けない息が漏れた。 「ん…ああ、うん、さっきよりいい。それでさ、肩甲骨のあたりとか……うん、いいそうそう」 「…ここ?イイ……ですか?……はぁ……ぁつっ……」 はああ……こんな場所で大浦さんに指示されるまま背コキ……。 いや、そもそも背コキって……背中なんかで……ああ…汗と僕のモノの先端から流れ出た液体でヌメる熱い肌が気持ち良すぎる。 肩甲骨にクニュン、クニュンと先端が……ぁ…はぁっっ……どうしよう……イってしまいそうだ。 背中にかけたり……いいのかな……いや、ここじゃダメだよな。 目の前には大浦さんの耳が……ああ…かじりつきたい。 耳の軟骨に歯を当て、その弾力を楽しみながら背中に………。 「ミズホくん、気持ち良かったからもういいよ」 え……そんな………!!! 「ん…はぁ…もうちょっと……」 もうちょっとで……イキそうなんです……! 「無理するなって、一回出よう。水風呂入ってクールダウンな?」 「……ぁい……」 そう言われてしまえばこらえるしかない。 射精感を必死で我慢した。 ……大浦さんが僕を振り返って笑ってる。 もしかしたら、背中にナニを擦り付けてるということに気づいてないのではないかと思ってたけど、この表情はやっぱりわかってて遊ばせてたってことだよな……。 大浦さんに促され、水風呂に入ってクールダウン。 じらすだなんて意地悪だと思ったけど、甘いうずきを保ったまま体の熱が収まって行くのは気持ちが良かった。 すぐにでも爆発しそうだったモノがぎゅっと縮みあがり、ズクンズクンと快感の余波が脈のように襲って来る。 そんな僕を見つめる大浦さんの視線は優しくて……。 返す僕の視線は隠しようもないくらい甘くとろけているに違いない。 はぁ……体が冷えるに従って、大浦さんへと向かう心の熱を強く強く感じてしまう。 それにしても、トイレに呼び込んだり、背コキを許し、あっさり快感に溺れて少し気まずい思いをしている僕を楽しそうに眺めたり、大浦さんは少しマニアックな性癖があるのかもしれない。 まあ、十歳年上で色々経験しているんだろうから、僕が知らないディープな世界に足を踏み入れていて当然といえば当然か。 ……僕も大浦さんの期待に応えて……いや、それじゃダメだ。 一事が万事、ただ求められる事をするだけではなく、期待を超えてようやく一人前と言える。 仕事もそうやって頑張ってきたんだ。 僕は大浦さんの期待を上回りたい。 いやいや、焦るな。 大浦さんと僕とでは経験値が圧倒的に違うんだから、まずは自分のできる精一杯をヤってみせ、それから大浦さんの助言を参考に、さらなるスキルアップを目指すんだ。 それがどんなにマニアックなことだろうと僕は怯まない。 自分に限界を作れば成長の妨げとなる。 一歩づつ大浦さんの性癖の域に近づくんだ。

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