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第7話
大浦さんはふふっと愛らしく笑うと、さらにギュウギュウと抱きしめてきた。
う…嬉しい……。
沸き立つ僕にさらなるサプライズが。
チュッ……。
ほんの一瞬、触れるだけのキスをされた。
「お…大浦さん???」
「ふふふふ……驚いてやんの」
いたずらが成功した子供みたいな大浦さんの口調に戸惑う。
はぁ……こんな風に翻弄されるたび、胸がキュンとしてしまって困る。
「もう……大浦さん、家に帰りますよ」
「やだ」
「……え……」
またぎゅうぎゅうと抱きしめられて嬉しくてたまらないけど、それ以上に早く帰ってイチャイチャしたくてしょうがない。
「もう、そんなこと言わないでください。僕は早く帰ってあなたにいやらしいことをしたいんですから」
「ん…そうだ、帰ってトイレだミズホくん。なんか知らんがやらしいこととやらはその後だ」
「っっっ………!いいんですか!? じゃ、早く帰りましょう」
引き離そうとしても離れてくれないので、抱きしめてくる腕の中で自分の体を反転させ、そのまま大浦さんを背負った。
大浦さんは僕の背中で妙に楽しそうに笑っている。
大浦さんのマンションまではすぐだ。背負って歩いてもそこまで大変ではない。
エントランスのオートロックはハンズフリーらしくスムーズに通過。
エレベーターも背負ったままで壁に大浦さんの体を押し当てれば少し楽をできる。
けど玄関ドアのキーを開けようとして困った。
鍵をくださいとお願いしてもどこにあるかわからないと言い、背中からおろそうとすると降りたくないとごねられてしまったのだ。
可愛い……可愛いです大浦さん。
鍵はポケットだというので、探すふりをして散々体を撫で回す。
やだやだというように体をよじりながらも、僕のいたずらに大浦さんも楽しそうに笑ってくれる。
それが嬉しくてポケットに手を突っ込んで、尻をまさぐり、スラックスの前ポケットに移動して、大浦さんのモノに触れる。
あ、しまった。
大浦さんに『さわって』とおねだりされるまでふれないつもりだったのに。
ポケットの薄い裏地越しに軽く握って擦り上げると大浦さんのモノはすぐにその形をしっかり主張し始めた。
「ぁ…ふはっ……どこさわってんだよ。もっと下だよ早く開けろよ」
え……それは……早く玄関ドアを開けて、中でイチャイチャしたいってことですか?それとももっと下の秘所をさわって、早くコチラの扉を開いて欲しいと……?
いや、どっちでもいい。
さっきから寝落ちしがちな大浦さんが本格的に眠ってしまうまでに少しでもエロエロしたい。
大浦さんを抱え直して鍵を開け、そのまま室内へ入る。
早くいやらしいことをしたいという集中力で超感覚が開花したのか、電気のスイッチもエアコンのリモコンも驚くほどスムーズに探し出せた。
その間、大浦さんは僕の首筋にスリスリと顔を擦り付けている。
なぜか子供のように甘えん坊になってしまった大浦さんがどうしようもなく愛おしい。
しがみついてくる大浦さんの体の熱と重みは神様が僕にくれたプレゼントのようにも感じられた。
慎重に優しくベッドに下ろし、靴を脱がそうと足を持つと、大浦さんはそのままバタンと後ろに倒れ込んでしまう。
靴を脱がし、靴下を抜き取る。
そして、筋張った足首にチュチュ…とキスを散らした。
「……可愛い。大浦さん男性の経験はありますか?実は僕は男同士の経験がまだなくて。満足はさせられないかもしれませんができる限り努力しますので、ご要望など遠慮なく……とは言え、その……マニアックな性癖もあまりなく、そちらもノリが悪いかもしれませんが、一度で見限らずできれば長い目で成長を見守っていただければと……」
「スゥ……」
ん……?寝息?
「……大浦さん、寝てます?」
「……一瞬、寝てた」
まずい。大浦さんが本格的に寝に入ろうとしている。
ベッドにおろしたのは失敗だったな。
「トイレにいきますか?」
「ん……朝、する」
「……そうですか。わかりました」
あんなにトイレに行きたいって言っていたのに……朝………。
やっぱり……このまま寝る気だ。
放尿プレイ無しってことはもちろん僕とのエッチも無しってことだよな。
は……はぁぁぁぁ……。
ここまできて……はぁぁぁぁ……。
涙が出そうだ。
いや、もうすでに涙目だ。
けど朝!
朝にするって……。
はぁ……朝から放尿プレイかぁ……さすが大浦さんは濃いな……。
飲めとか言われたらどうしよう。……そこまでは無理だ。
無理だけど………うん、正式に付き合ってくれるというなら……そう、付き合ってからだったら………自分的にアウトなことも頑張ろう。正式交際というラインだけは絶対譲れない。
……はぁ、このまま乱れたワイシャツ姿でベッドに寝転ぶセクシーな大浦さんを眺めていたら、ワイセツ行為への衝動が抑えられなくなってしまう。
けれど末長く大浦さんとお付き合いするためには酔姦魔にも、睡姦魔にもなるわけにはいかない。
耐えろ、僕。
今晩はあと着替えだけ楽しませてもらうことにしよう。
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