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第5話

それからおれは3日間、熱を出して寝込んだ。 その間、絢人がずっとおれの傍にいてくれて、手を握っていてくれた。 「兄上さま、元気になったら一緒に花火をしましょうね」 「う……ん……」 握ってくれていた手の温もりが心地よくて、ずっと触れていて欲しくなった。 「あや……と……」 「はい、どうしましたか?」 「手……額に当てて……」 「はい、兄上さま」 あまりに心地がいいから、歳上なのに甘えてしまった。 絢人はおれの額にずっと手を当ててくれて、そのうちそのまま眠ってしまって、おれはそんな絢人に身体を近づけて寝てしまった。 熱が下がった日の夜、絢人と花火をする前に父親がおれに舌を見せろと言うので見せると、父親は嬉しそうに笑って、 「俺は絢人に跡を継いでもらう事にした。お前にはあいつを一生支えていって欲しい」 と言われた。 「分かった」 おれは、自分より絢人の方が優れたチカラを持っているのを理解していたからこう答えた。 それから一緒に花火をして楽しい時間を過ごしたが、この年に会ったのを最後に絢人と顔を合わせる事がなくなった。 そして。 この日を境に、おれの舌にはうちの家紋の様なな……狼の横顔をイラストにした様な形の痣が出来た。

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