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第8話

「聞いてよ、晴臣。この子またラブレターもらってきたのよ」 「お前にそっくりだからモテるに決まってるだろ」 楽しそうに話す両親を見ると、おれは嬉しくなった。 「兼輔、人生何事も経験だから生理的に無理って思わない限り色んな子と付き合ってみろ」 「そうね、あたしもそれがいいと思う。晴臣みたいになったら困るけど、兼輔はそうはならなそうだし」 「そう言って、お前、そういう所も好きだって言ってたじゃねーか」 ガキの頃……アルバムに貼ってる写真で見る姿からほとんど変わらない両親。 当たり前だが、おれだけが変わっていってる。 絢人はどんな風に変わっているのだろうか。 また会える日が来るのだろうか。 そんな事を思いながら、おれは日々を過ごしていた。 両親からの、学校内だと別れた時が面倒だと思うから他校の女の子にした方がいいというアドバイス(?)から、他校の女の子と付き合ったりもした。 周りが異性に興味を持ち始める頃だったから、おれがそうしても何の問題もなかった。 ただ。 おれの場合、カラダがどっちつかずだからか、周りが言うような快感を感じた事はなかった。 女の子と付き合ってキスもしたが、それで思い出した。 あの時。 おれと絢人もキスをした事を。 しかも、舌を入れるキスだった事を。 知りもしない事をどうして出来たのか。 父親に聞いて確かめたい、と思ったが、言うのが恥ずかしくて言えなかった。 というのは、思い出した時におれは欲情してどうしようもなくなってしまうくらいになってしまったからだ。 そんな自分がどうかしてると思ってその事を忘れようとも思ったが、出来なかった。

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