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第14話
目が覚めると、おれは音椰の隣で昨日着ていた服のまま眠っていた。
「おはよ、兼ちゃん」
「う……ッ、頭痛ぇ……」
「二日酔いかな、今日休みだよね?うちで良かったらゆっくりしていきなよ」
音椰はグレーのスウェット姿で、二日酔いに効くらしいからとしじみの味噌汁を作って飲ませてくれた。
「お前、料理出来るんだな」
「少しだけだけどね」
それから音椰とは何度か酒を飲む事もあったが、おれが酒を飲みすぎないように気をつけるようになったからか、同じような夢を見る事はなかった。
仕事と、母親の手伝いと、音椰とたまに遊んだりするのと、死神の仕事と。
それらのどれかが必ず日々の暮らしの中にあって、その中でおれは父親と音椰の父親……おれから見たら叔父が対立している事を知った。
おれが聞いていると思っていなかったのか、掃除に来ているパートのおばちゃんたちがおれの母親に最初に惚れたのは叔父なのに、知らないうちに父親が手を出して妊娠させたのがきっかけで仲が悪くなり、同じ職場では働かないようにしていると言っていた。
有り得なくない話だと思ったが、叔父が父親やおれを嫌っているのはそれだけではないような気がした。
そんな中、おれは、本社に新卒で入ってくる人間の中に、絢人がいるのを知った。
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