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第19話
「父上様は身内の誰か、若しくは同性の誰かと結婚しなければならなかったのに、それが嫌だったそうです」
「それでおれの母親やお前の母親に子供……おれたちを産ませたのか」
それはいくらチカラがあるとはいえ、一族から嫌われるな、と思った。
「そういう事かと思います。俺の母親はそれを知らずに父上様と結婚してしまったのですが、俺を育てていく中でそれを知ってしまって、耐えられなくなって父上様と離婚してしまいました」
「それで家に来なくなったのか」
「そうです。俺の親権を取った母親は俺を連れて母親の実家に戻ったので、俺はそこで高校を卒業するまで過ごしました。その間もずっと、兄上様の事を忘れた事はありませんでした」
そう言って、絢人はおれの頬を撫でる。
「兄上様、これからはずっと一緒です。俺はもうあなたから決して離れませんし、あなたを誰にも渡さない」
「絢人……」
きらきらの瞳にまっすぐに見つめられたおれの胸は高鳴って、今日何度目かもう分からない絢人からのキスを受け入れていた。
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