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第43話

「明日、兄上様のところにも連絡があると思うのですが、俺たちが取材を受ける事になりました」 「はぁ!?何でおれたちが?」 「今日、旅行会社から連絡があって、会社を支える若者たちという特集をするので俺たちに会社の魅力を紹介して欲しいとの事でした」 先に帰宅して準備を済ませてから絢人のアパートに向かったおれたち。 母親も店を開けないで父親と通夜に行く、というので向こうで合流しようという話になった。 それから取材の話になり、取材を受けると会社の利益が上がるから良いのだが、地元でしばらく騒がれるから面倒だという話をした。 「父上様とも一緒に写真を撮ったりするそうですよ。すごく楽しみです」 が、絢人は嬉しそうにこう言った。 「兄上様」 「ん……」 着替えが済むと、絢人が俺を抱き締めてくる。 「今日もお美しい、愛おしいです、兄上様」 「…………」 触れているところの全てが温かくて心地よく、ずっとこうしていたいと思ったが、通夜に遅れる訳にはいかない。 「絢人、そろそろ出ないと……」 「……分かりました」 そう言って、絢人はおれの額にキスをした。 「本当は兄上様の唇にしたいのですが、それでは離れ難くなってしまいますので」 笑顔を見せると、絢人は名残惜しそうにしながらおれから離れた。 本社前に着くとそこには既に音椰がいて、駐車場が狭いらしいから1台で行こうと言い、音椰が本社に車を停めておれの車で行く事になった。 「うちの親も行くって言ってたよ」 「そうか。同じだな」 父親と叔父、何も起こらなければいいが。

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