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第46話
翌日。
おれは出勤するなり社長室に行くように部長から言われ、すぐに向かうとそこには社長の他に絢人と取材班であろう4人の男女がいた。
「おはようございます」
「うん、おはよう、犬養君。今日は我が社の為に宜しく頼むよ」
「はい……」
社長はおれの一族とは無関係の人であり、5年に一度、一族以外の役員の中から投票で決められていた。
「兄上様、おはようございます」
「……おはよう」
朝から眩しいくらい目を輝かせている絢人。
女の取材班のふたりがそんな絢人に見蕩れているのがおれの視界に入ってくる。
「初めまして、本日取材をさせて頂きます、……」
男の取材班のひとりが社長に名刺を渡し、今日の取材内容を伝え、早速社長にもインタビューしたいという事でおれと絢人は社長と共に室内にあるソファに座って応える事になった。
「社長から見て犬養さんたちの印象はいかがでしょうか?」
「そうですね、兄の兼輔君は控えめな印象ですがとても器用な青年だと思っています。弟の絢人君は面接時の印象ですが、明るくて誠実な印象を受けたのでこれから我が社の為に活躍していって欲しいと思っています」
「ありがとうございます」
インタビューされながら写真も撮られ、最後は社長を真ん中にして3人並んだ写真も撮られる。
「兼輔さん、もう少し笑顔でお願いします」
「……はぁ……」
こういう時、笑顔を作るのが本当に苦手だ。
それでも何とかOKを貰えて、次は父親との写真撮影と親子3人でのインタビューを受ける事になっていた。
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