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第48話

それから半月くらいして、おれたちの写真とインタビューが載った雑誌は発売され、社員食堂にも閲覧出来るように置かれたのだが、女性社員のほとんどがその雑誌を購入したらしいというを部下の女性社員から聞いた。 「犬養親子の顔面偏差値高すぎる」 「親子全員美形過ぎる」 なんて言われているらしく、SNSでも話題になっていると音椰が言っていた。 そういえば最近、来年度の採用試験に関しての問い合わせが増えた様な気がしたが、これも影響しているのだろうか。 「再来週の桜まつり、雑誌のお陰で盛り上がりそうだね」 「あぁ、昨年取材に来ていたテレビ局がまた来るらしいしな」 「今年も盛り上がるといいよね」 「そうだな」 昼休憩中、食堂で音椰とそんな言葉を交わす。 地元で力を入れている祭りのひとつが桜まつりで、毎年地元民だけでなく、他所からも桜の美しさを見に多くの人が訪れるほどだった。 祭りの間、おれたちの会社は祭りの運営全般に関わり、今年のおれの役割は臨時に作る観光案内所のサポートと祭りの会場である公園の見廻りだった。 音椰の方は露店を出すお店のサポートをするらしく、お互いに頑張ろう、という話をした。 金曜の仕事の後は絢人と一緒に家に帰って母親の店を手伝い、それが終わると絢人はそのまま家に泊まっていき、土日は互いの家を行き来して過ごすようになっていた。 今日は店に来た客の中に死期が近い人間がいて、おれたちはふたりで仕事をした。 初めてのふたりでの仕事の失敗を踏まえ、おれは絢人の服を回収し、絢人が落ち着いた後すぐに服を着られるように備えていた。

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