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第62話

首筋に絢人がつけた跡があるおれは毎週毎週幸せそうだなとからかわれ、恥ずかしい気持ちになっていたが、それを見ている絢人はすごく嬉しそうな顔をしていた。 「兄上様がお幸せで何よりです」 と皆の前で笑顔で言い出した絢人を音椰は冷たい目で見ていたが、他の連中は相変わらずおれたちの関係に気づいていないのか、絢人にブラコンが過ぎるだろとか言ったりしてからかっていた。 バレーが終わって、帰り道にあるスーパーで1週間分の食糧を買い込むとおれたちは帰宅し、絢人が食事の支度をしている間におれが風呂の準備と洗濯をした。 「兄上様、出来ました」 おれの方が先に終わってソファに座っていると、いい匂いと共に絢人が声を掛けてくる。 「今そっちに行く」 配膳を手伝うと、ふたりには少し狭いテーブルに食事を並べ、いただきますと手を合わせて食べ始めた。 「毎日兄上様とこうして一緒に食事が出来ると 思うと嬉しくて堪りません」 新しく購入した、揃いの食器。 絵に描いたような新婚の食卓を、絢人はとても喜んでいた。 「仕事の都合で時間が合わない時もあるかもしれませんが、可能な限り兄上様と一緒に食事がしたいです」 「分かった。おれの方が先に帰る事もあるだろうから、料理は出来ないが食べられるものを買って帰る事は出来るから何かしら用意する」 「ふふっ、兄上様は料理をする予定はないのですか?」 「お前やお母ちゃんみたいに上手くやれると思えねぇから」 「野菜の皮剥きが出来るのですから、その先も出来ます。今日、挽肉を買って来ましたし、明日は一緒にハンバーグを作りましょう」 食事をしながらそんな話をして、食後はふたりで皿を片付け、別々に風呂を済ませた後は今日はもう休みましょう、と絢人が言うので寝る事にした。 セックスとバレーボールで疲れていたのだろう、おれはすぐに寝てしまい、目が覚めたら外が明るくなっていた。

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