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第79話
「ゔぅっ!!」
音椰、と呼びかけようとしてもやはり声は出ない。
「兼ちゃんに薬を飲んでもらったんだ。一時的だけどカラダが動かなくなっちゃう薬。父さんにはすぐに殺すように言われたけど、僕にはそんな事出来ない……」
悲しい瞳をしておれを見ている音椰。
「ねぇ、兼ちゃん。僕がどんな気持ちでずっと兼ちゃんの傍にいたのかなんて、兼ちゃんは考えた事なんかなかったよね?」
髪に触れた後、音椰の手が頬に触れる。
「僕、小さい頃からずっと兼ちゃんの事、好きだったのに。兼ちゃんしか見てなかったのに……」
「ン……っ、、、」
指先が唇に触れ、それから、音椰の顔が近づいて見えなくなる。
キスされてる、と気づくまでにそんなに時間はかからなかった。
「ぁ、ンんッ、んん”ん”ッ、、、」
口が開いていたのか、音椰の舌がおれの咥内を侵していく。
カラダが動かせないからされるがままだった。
「んぁぁ……ッ」
舌の痣に触れられたのか、カラダが一気に熱くなる。
これ、誰でもこうなっちまうのか。
恥ずかしいし、情けない。
「可愛い、兼ちゃん。昔からずっと思ってた。兼ちゃんがこの世界で一番綺麗で可愛いって。僕が世界で一番兼ちゃんの事が大好きで、兼ちゃんの事分かってあげられてるって思ってた……」
「く……ッ、ゔゔッ、、、」
再び舌に触れられ、今度は甘噛みされると、目の前が少し霞んだ。
「涙が出ちゃうくらい気持ちいいんだ、凄いね、兼ちゃんのカラダって……」
「ゔ、ゔゔゔッ!!」
着物の襟を掴まれると大きく開かされて、上半身は殆ど何も身につけていない状態にさせられる。
「兼ちゃんは何も知らなすぎるよ。自分のカラダの事なのに……」
「ひ……ッぁ、、、」
晒された首筋を音椰の舌が伝い、鎖骨を通って胸のところまで降りてくる。
舌先が乳首に触れると、変な声が出てしまった。
「あぁッ、ンんッ、ゔぁっ!!」
片方は指で、もう片方は唇で。
同時に乳首を弄られると、強烈な快感に襲われる。
「兼ちゃんの乳首、女の子みたいにぷっくり膨らんでて可愛い。でも……前はこんなに大きくなかったよね……」
前?
あぁそういや、前にもこんな……音椰とやらしい事してる夢を何度か見たような……。
「んひッ、あ、ぁ、ッ、、、」
思い出そうとしていると、音椰が乳首を攻め立ててくる。
「や、ぁ、あぁ、んぁッ」
マズイ。
このままじゃイッちまう。
着物着てるのに。
「ぁ、っあ、やぁッ、お、おぁ……ッ、、、」
音椰、やめてくれ。
そう言いたいのに言えなかった。
「あ"、あ"ぁッ、あぁ……っ!!!」
股間が濡れていくのが分かる。
我慢出来なくてイッてしまったおれの精液の所為だった。
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