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第82話

「……あーあ、兼ちゃん、こんなにお漏らししちゃうなんて。でも、こんな恥ずかしいところ、絢人くんじゃなくて僕に見せちゃうくらい気持ちいいんだ、嬉しいなぁ」 「ひ、っ、ゔゔッ、、、」 「……最期にもう1回だけ抱かせてよ、兼ちゃん……」 「や……ッ、やめ……っァあああ……!!!」 膝から降ろしたおれにのしかかると、音椰がおれの孔を犯す。 「あ……ッ、すごい絡みついてきて気持ちいい、兼ちゃん、奥突かれるの好きなのかな。獣みたいな声出しちゃってるよ?」 「あ゙あ゙ぁっ、あひっ、ふあ゙ぁっ!!」 嫌だ。 いやだ。 こんなの、違う。 おれは、絢人のものなのに。 なのに何で、音椰に抱かれて悦んでるんだ? なんで……。 「兄上様……!!!」 そこに聞こえた澄み切った青空のような声は、一瞬で怒りに満ちた怒声に変わった。 「俺の兄上様に何をしている!?」 近づいてくる足音。 「この……ッ、兄上様から離れろ……!!!」 音椰に体当たりしてくる大きなカラダ。 「……っ……」 少しだけ動かせるようになったカラダをなんとか起こすと、少し離れた場所に絢人と音椰がいるのが見えた。 「貴方だけは許さない、俺の、俺の兄上様を……!!!」 「許さない?それはこっちの台詞だよ。僕の方が先に兼ちゃんに出会ってて好きだったのに、契約したからって兼ちゃんのコト自分だけのモノ扱いしちゃってさ。お前さえいなければ兼ちゃんは僕と結婚して、僕の子を産んでくれる筈だったんだ!!!」 「うわっ!!」 身なりを整えた音椰が絢人を投げ飛ばし、抑えつけているのが見えた。 音椰はポケットから刃物を取り出すと、絢人に刃先を向ける。 「やめ……ッ……!!!」 這ってしか動けなかったが、それでなんとかふたりの傍に向かおうとするおれ。 「許さないよ。綺麗な兼ちゃんのカラダを滅茶苦茶にしたお前を。……地獄でいつまでもいつまでも呪ってやるから……」 「!!!!」 そう言って音椰は……自分の首筋にナイフを当て掻き切り、倒れた。 勢いよく迸った血。 おれはそれを呆然と見ていた。

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