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第95話
それから。
おれは急病で仕事を休職した、という形で会社に行かなくなり、絢人がいない間は暇なので家事をして過ごした。
苦手な料理にも挑戦して、恐らく人並みには出来るようになり、絢人に食事だけでなく弁当も毎日用意出来るようになった。
ふたりで本家に報告しに行った時は当主に喜ばれ、支度金だと言って桁のおかしい多額の金を渡された。
母親にも報告すると、あたしもおばあちゃんになるのねと、嬉しそうに言ってくれた。
妊娠してしばらくは耳と尻尾の変化しか見られなかったおれだったが、やがて少しずつ腹が膨らんできて、寝る時は横向きにならないと苦しくなってきた。
それでも、おれも絢人も今までと変わらず週7でセックスしていた。
絢人はおれのカラダを気遣って妊娠中はしない事にしようと言って、1週間ほどオーラルセックスなど挿入しない行為で触れ合っていたのだが、おれが堪えられなかった。
「兄上様、ただいま帰り……っ」
日に日に夜行性になっていったおれは日中家事を済ませると後は寝ていて、絢人が帰る少し前に目が覚めて夕飯の支度をし、絢人の帰りを今か今かと待ちわびる。
玄関の扉が開いた音が聞こえると、急いでそっちに向かい、飛びつくようにキスをしていた。
「ンんッ、、、ふぅッ……」
「っ、兄上様、毎日熱いお迎えありがとうございます……」
「は……ッ、うるせぇ、いいから早くしろ……」
長く伸びた白い尻尾がおれの意思に関係なく左右に揺れている。
「兄上様、子供はお腹の中で両親の会話を聞いているといつも言っているじゃないですか。そんな乱暴な言葉遣いをしてはいけません……」
「ゔぁ……ッ……!!!」
そんなおれの白い尾を、絢人はニコニコとしながら握ってきた。
「はぁ、、、ッ、んぅ……ッ、、、」
尻尾を握られると、途端にカラダの力が抜けてしまう。
それを絢人の分厚いカラダが受け止めてくれて、放たれている匂いはおれをますます興奮させた。
こんなに匂いに反応してしまうのも、狼に近づいているからかもしれない。
「兄上様が積極的に俺を求めてくれるのはとても嬉しいのですが、お腹の子に障らないか心配です」
と、絢人はおれの膨らんできた腹を撫でる。
最近、たまにだが腹の中を動いているのが分かり、それを絢人にも教えると、絢人は嬉しそうに腹に耳や手を当てておれの腹を撫でた。
「違う孔に入れるんだから問題ない筈だ」
子供が出来て、その存在を大切に思っているのは絢人の方だと思う。
おれは自分のカラダが変わっていっているのに、抑えられない劣情をどうにかしたい事しか考えられない。
「は……ぁッ、いい……ッ、おく……ゔぅッ、、、」
腹が膨らんできてからは出来る体位が限られているものの、繋がれる悦びは変わらない。
今は絢人と抱き合うように繋がって、その広い背中にしがみつきながら腰を振ってしまっていた。
「ぅあッ、、、それ……あ゙ぁッ!!」
「……ッ、兄上様、こうされるのお好きでしょう?」
絢人の手がおれの乳首を摘む。
腹が目立ってきたのと同じ頃からカタチが変わり、一回りくらい大きくなって、最近は母乳まで漏れ出てくるようになった。
「や、ぁッ、でるの、やだ……んぁぁッ、、、」
「毎日マッサージ続けて良かったですね。産まれる前からこんなにたくさん出るんですから……っ……」
「あゔッ、うぁぁッ、あ゙あ゙ぁッ!!!」
絢人も限界が来たのか、乳首から手を離すとおれの腰を掴んで激しく突き上げ、おれのナカに精を吐き出してくれた。
おれもそれを感じながら、男女どちらの部分でもイッてしまう。
「兄上様……今日もとても良かったです……」
「ん……おれも……」
髪と一緒に長く伸びた耳も撫でながら、絢人はおれにキスをしてくれた。
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