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第11話 女人化3日目
寝支度をして、ベッドに入る。
すると、ラムズが覆い被さってきた。
こんな角度からラムズ理事を見る日が来るなんて、思っていなかった。
「おやすみ、ロキ。」
そう言ってラムズはさっきよりも激しいキスをしてきた。
いや、これじゃ寝れないよ!
キスが終わって、ロキはすっかり茹で上がった。
「じゃあ、また明日。」
そう言ってラムズは横にどいた。
……
…………
………………
え?終わりなの??
誰に聞くわけにもいかない気持ちと、悶々とした欲求がロキに残った。
♢♢♢
何事もなく、朝を迎えた。
それが普通なのだろうが、なんだろう、この納得いかないかんじ。
おはようのキスをして、いただきますのキスをして、戦闘値を測った。
通常まで回復している。
良かった、キスの効果はちゃんと出ている。
筋力は女の子のままだから武器はやはり銃のままにしておこう、と言われて作戦は変えないことにした。
いってきますのキスをして、車に乗り込み、学校に到着する。
「今日がパラサイトバットの襲撃予想日だから、油断しないように。」
そう言われたが、昨日今日のキスのことでパラサイトバットのことに頭が回らない。
一応、はい、と返事をした。
研究所へ向かうラムズの車を見送り、校門まで歩いていくと、フレムがいた。
「おはよう。」
フレムはなぜか固い表情で挨拶をしてきた。
「あ、うん。おはよう。」
こちらもちょっと緊張して答える。
「ターニャ先生とリュウレイは?」
「ああ、今日が襲撃の予想日だから、今は準備をしているよ。」
「そうなんだ。僕も気をつけないと…。あ!そうだ!短パン、返すね。ありがと。」
「ああ。」
フレムに短パンを渡した。
「あのさ、ちょっと話があるんだけど、いい?」
フレムがロキを真っ直ぐに見て言った。
「う、うん…。」
いつもと違うフレムの雰囲気に戸惑いながらも、フレムについて行った。
2人は倉庫に移動した。
先に倉庫に入ったフレムが振り返り、ロキと向き合った。
「俺、実はお前のことを好きになっちゃったんだ。付き合ってくれないかな…?」
フレムが真顔で言う。
「それは…僕が今女だからそう思うのであって、男に戻ったら違うんじゃ…。」
「そんなことは、ちゃんと考えたよ!でも、思い返すと、男の時から、ロキのことは…何かほっとけなくて、守ってあげたいと思ってたんだよ。小さいし、優しいし、可愛いし…。それがたまたま女の子になったから、自分のこの気持ちに気づいただけで…。それに…、こんな言い方アレだけど、女の子の時の見た目がすごく自分の好みだったんだ…。」
フレムは顔を赤らめながら言った。
「そうなんだ…。そう思ってくれてたなんて、知らなかったよ…。」
フレムはリーダータイプだ。
戦闘では果敢に攻めるし、話し合いでもどんどん自分の意見を言う。
強くて優しくて、でも戦闘においては野心家だ。
女の子からもモテていたけど、訓練に集中したいと言って彼女は作っていなかった。
フレムの家族は紛争で亡くなったけど、フレムはボロボロになった家族の写真を自室の机に飾っていて、家族の思い出話をよくしてくれた。
フレムは、自分の身近な人をちゃんと幸せにしようとする男だ。
フレムと付き合った女の子は、大切にしてもらえるだろう。
そう考えていると、ふと、ラムズのことが思い出された。
たった2日しか過ごしていないけど、一緒に買い物に行ったりごはんを食べたり話をして、やっぱり楽しかった。
不思議と、ラムズとは今までも一緒にいたような感覚があるのだ。
自分は…もうラムズ理事のことが、好きなんじゃないだろうか、と思った。
「フレム…気持ちは嬉しいよ。フレムは、いい奴だし、強くなるためにストイックで僕は尊敬してるんだ。でも、やっぱり友達がいいな。友達として、これからも付き合ってくれたら嬉しいんだけど…。」
フレムの表情を見た。
少し、悲しそうな顔をしているような気がした。
その時だった。
魔物の気配を感じた。
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