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第14話 イカ星人② ※タコ星人の続き
人気のない公園で、イカ星人がぬるっと地味に出てきた。
「うわ! びっくりした! なんで探索機が反応しないんだよ!」
カイが叫んだ。
「もう、友好型宇宙人が確定してるからじゃない?」
そういえば、そうだった。
国がさだめる宇宙人区分と、取り扱いが改訂されたばかりだった。
『コンバンハ、お二人とも。ワタシはタコ星人の友人デス。彼から、お二人に会ったらゼヒと、頼まれゴトをされていマス』
「頼まれごと?」
カイがそう言った瞬間に、イカ星人の触手が伸びて、カイが後ろ手に縛られる。
「ちょっと! どこが友好型だよ!」
『タコ星人から、”カイ君を気持ち良くさせられなくて、後悔している”と』
「いや! いいよ! 俺は!」
イカ星人の触手がスルスルと服の中に入ってくる。
「ツバサ! 助けて!」
「……カイにも……もっとタコさんとイカさんと、仲良くなってほしいな……」
ツバサはもじもじしながら言った。
「お前っ!!」
『アンマリ叫ぶと、ご近所さんが迷惑シマス』
イカ星人の触手で、口が塞がれる。
うにょうにょと触手は動くが、気持ち良くはない。
「……イカさん……カイは、意外とロマンチックなんで、触っただけだと気持ち良くならないんだと思います」
『そうなノカ。地球人ハ複雑ですネ』
ツバサがカイに近づいて、口元の触手を外した。
「ツバサ……わかってくれて良かったよ、俺こんな触手で勝手に体を触られるなんて嫌だ……」
カイは涙目で言った。
「……やっぱり……ハジメテは、地球人同士がいいよね……」
ツバサが潤んだ目で、上目遣いに言う。
「え? 言葉通りならそうだけど……」
ツバサがカイの頭に手を回して、唇に吸い付いた。
「んがっ! あ! ちょっ……!!」
そういう意味?!
『そうでしタカ。墨ません、地球人の気持ちガわかってナクテ。ア、よかったらラ、この”100%天然〜全ての生命は海から生まれた〜母なる海からの贈り物スーパーぬるぬるローション”使ってください。』
「……カイにとっては、僕じゃ物足りないかもしれないけど、がんばるね♡」
♢♢♢
カイはしくしくと泣きながら、公園の木の根本で体育座りをしていた。
「……やっぱり、僕なんかじゃダメだったんだ……」
ツバサはしょんぼりして言った。
『そんなコトありまセン。カイ君も気持ち良くアエイデマシタよ。まあ、ご近所迷惑にならないヨウニ、私の触手を口にツッコんでいましタが』
「でも……ほら、落ち込んでる……」
『初体験が、相手が親友デ、場所が野外デ、宇宙人同席だったノガ、ショックだったダケで、ツバサ君とは気持ち良かっタと思いますヨ。自分を責めナイデください』
イカ星人が触手でツバサの頭をなでた。
ツバサはカイのところに行った。
「ごめんね、カイ。心の準備が追いつかないままヤッちゃって……」
「いや……準備ができたらいいかっていうと、そんなんじゃなくて……」
『もしカシて! カイ君は、自分が攻めキャラだと思ってイタノデハ??』
「ああ! じゃあショックだね!」
「ちがう! そんな話じゃないよ!」
イカ星人はツバサの服を器用に脱がして半裸にすると、そこかしこに触手を這わせた。
「ふあっ♡ やだ、カイの前で……♡ 恥ずかしいよ……♡」
ツバサは触手の感触に身悶えしている。
『カイ君がイメージしてタ、ツバサ君は、こういう感じですよネ?』
「してないよ! イメージ! もう俺帰る!」
カイが立ち上がろうとすると、イカ星人の触手が足を掴む。
『ツバサ君が、一人ジャかわいそうデハありまセンカ』
「知らないよ! 二人で楽しくヤッてろよ!」
「僕もまだ、初体験は未経験なの……」
「え?! じゃあ、よくそんな状況で俺にはしたよね?! あのタコは??」
「タコさんの時は、先っちょだけだし、ヤッたうちには入らないよ……」
「知らないよ、そんなの! もう放して!」
『毒を喰わらバ皿マデ』
「僕だって、ハジメテは地球人……いや、カイがいいよ……」
「やだ! もう帰して! お願いだから!!」
♢♢♢
カイは、木にしがみついて、しくしくと泣いていた。
『”口では嫌と言っておきながら、体は正直よのぅ”プレイ……楽しいですね……』
「うん……カイが、そんな特殊プレイの達人だなんて知らなかった……」
「ちがっ……俺は……本当に嫌なのっ……」
カイはうえーん、と泣いた。
結局、なんだかんだで抵抗するカイに、「ほら、こうするだけだから」と、ツバサが再びしてあげることになったのだ。
「……泣いてるカイが可愛い……」
『カイ君は真性の受けデ、ツバサ君はSなんデス』
「泣いてるカイを見てると、慰めてあげなきゃ!と思って、ムラムラする……」
『Sは、サイコパスのSデスね』
徐々に夜が明けようとしていた。
(おわり)
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