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第15話 クラゲ星人③ ※タコ小説の続き

カイとツバサが夜間のパトロールをしていると、湖に面した駐車場の真ん中にクラゲ星人が二体いるのを発見した。 「おい、お前ら何やってるんだ」 カイが懐中電灯を向けた。 『あ、どうも。僕たちは双子のクラゲ星人。電気クラゲのデンと、毒クラゲのドクです』 『どうも。僕の方がドクだよ』 全く見分けがつかない。 「なるほど。で? 何やってるの?」 カイは質問を続けた。 『僕たちは今、”準”友好型宇宙人じゃないですか。ちゃんと友好型に認定してほしくて、地球人のことをリサーチしてました』 「こんなところで、何をリサーチするの?」 ツバサが言った。 『車内でイチャつくカップルを観察します』 「ただの覗きじゃん!」 カイが言った。 『僕たち半透明なんで、車のガラスにピッタリくっつくくらい近づいて見ても、バレないんだよねー』 「ダメでしょ、人の情事を覗きみちゃ!」 『ただの覗きじゃありません! 学習のためです! わかりました、そんなに言うなら、僕たちの学びの成果を見せて差し上げましょう!』 電気クラゲのデンが、素早く触手を伸ばしてカイの腕を掴み、電気を流した。 「うわっ! 何す……っ!!」 カイは痺れて、動けなくなった。 倒れそうになったのを、デンの触手が優しく支えた。 『ではっ、我々の研究に研究を重ねた技の数々を、とくと味わいたまえ!』 「ツバサ……助けてよ……」 カイはダメ元で言ってみた。 「……ご好意だから、断れない」 やっぱりな!! ドクがカイの後ろに回って触手を地面に並べ、デンがカイをその上に寝かせた。 デンが、カイの服を脱がして、一本の触手をカイの目の前に差し出した。 『これまで、タコ星人もイカ星人も、カイ君の攻略に失敗しました……。それは、カイ君への歩み寄りがなかったからだと思うんですね』 「今も……無いよね……痺れさせてるし……」 『だから、やはり”触手なら手数とぬるぬるであへあへするだろう”という、傲慢な考えをやめるべきだと思うんです』 「人の話……聞けよ……」 『ですから、ここは、地球人にとって馴染みのある形にすべきだと思うのです』 デンは、そう言い切ると触手の先の形を、人間のような口にした。 口がパカッと開くと、歯も舌もある。 「怖いよっ!」 カイは力一杯叫んだ。 『キスしたり、舐めたり、甘噛みしたり、その他あらゆる口唇を使った行為に適しています』 「ひぃっ!」 カイは慄いた。 『ごめんね、ツバサ君、放置プレイで。まずはカイ君から』 「あ、僕はお構いなく。むしろ、カイがどうやったら気持ち良くなるか、僕も知りたいんで」 「なん……で、1対3なの……」 『なんと! そうでしたか、カイ君は”そんなちまちまとしたプレイやってられっか!4人で楽しもうぜ!”ってことなのですね?』 「ちがう! そういう……意味じゃない……」 『さすがカイ君……それじゃあタコとイカごときに満足しないはずだ……』 ドクがため息をつきながら言った。 『ドク、作戦変更だ! カイ先生に手加減など不要!』 『わかったよ、デン』 そう言ってドクは、カイにぶっすりと針を刺した。 「いってぇっ!!」 『この毒は、メスをその気にさせて、速やかに交尾をするために使います』 もう、ダメじゃん…… そもそも二体いた時点で敵わない。 デンの擬似口唇が動き始め、ドクの触手がカイの頭をなでなでする。 そして、それをジッと見るツバサ。 もう、何コレ。 ♢♢♢ カイは、くすんくすんと泣きながら、ドクの膝にすがって泣いていた。 ドクが、よしよし、と頭をなでる。 『いかがでしたか、ツバサ君』 「いや、もう最高でした。カイのあんな姿……。ありがとうございます、動画はバッチリ撮れました」 デンが、ふっふっふっ、と笑った。 『今回、ツバサ君は参加できませんでしたが、多数の異星人交遊の仕方も研究しておきますね』 「はい、よろしくお願いします」 ツバサはカイの元に行き、カイを優しく抱き起こした。 「カイ、一緒に帰ろう」 カイは涙を拭いながらこくん、と頷いた。

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