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第6話
他人と一緒に風呂に入ったことは無い。
仕方が無く風呂の隅っこにつかるが、これなら一人で入った方がよかったのかもしれない。
「君は本当にサキュバスっぽくないな。」
そう言うと宗吾さんは僕の腕を引く。
そのままあまりよく考えず反転して、宗吾さんの前に宗吾さんと同じ方向に座る。
すっぽりと後ろから抱きしめられる形で湯につかっていると落ち着かない。
宗吾さんが僕の首筋を舐める。
それから彼の手が僕の胸に回って、乳首をこねられる。
その感覚から逃げようと思わず軽くのけぞってしまう。
尻尾に宗吾さんの固くなったものが当たる。
水の中では体液が薄まってしまって、食事としては意味をなさない。
だから、風呂でする意味は僕には無いのだ。
「シャンプーの好みはあるか?」
特にない上に、指は相変わらず乳首をつまんだり爪を立てたりしているのだ。
「あっ、……あっ、やッ……」
もっとと指に胸を押し付けてしまいそうになって、耐える。
自分の体は性的な事が大好きだ。
そんなことは端から分かってる。
そういうものだという事も分かっている。
そして多分僕を買ったこの人も僕がそういう生き物だと知っている。
だから、気にせず強請ってしまえばいい。
そういう生き物なんだから。そういう生き物として頂戴ってお願いすればいい。
そういう生き物として開き直ってしまえばいいのだ。
けれど、僕はそれが上手くできない。
見た目が平凡より下だからなのか、それとも気持ち的にはセックスというやつとの折り合いがつけられてないからなのかはよく分からない。
そもそも主も言っていたが、性器を下に挿入された経験はないのだ。
だから、僕はサキュバスとして駄目なんだろう。
宗吾さんの言葉に応えられず、ただいやらしい声がもれてしまう。
ぱちゃぱちゃとお湯がはねる音が聞こえる。
無意識に尻を宗吾さんに押し付けてしまったみたいで、彼の高ぶりがゴリゴリと当たる。
それで、少しだけ安心した。
少なくとも、宗吾さんが僕に対して欲情していることは分かる。
それ以外の感情が分かる様な状況ではないけれど、今はそれだけ分かれば充分な気がした。
「前の主人に、こうやって煽れと教わったのか?」
宗吾さんが乳首に爪を立てながら聞く。
ピリピリとした刺激はそれも快楽に変換されて、甲高い声を上げてしまう。
乳首がじんじんする。
それに空腹も強く感じてしまう。
「ちがっ……、ん、あっ……」
そもそもこんな風に風呂に入ったこともないし、乳首をこんな風にいじめてもらえたことも無い。
煽るなんてことできる訳がない。
戯れに自慰行為を見せろと言われる程度が日常だった。
「違う?……こんなにいやらしい乳首してて?」
宗吾さんに言われて首を振る。
嫌らしいの意味がわからない。
そんなところほとんど触ったことさえない。
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