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第7話
自分がいやらしいと呼ばれるものだという事はよく知っている。
売られる前に店でも何度も言われた。
立場もよく分かっている。それこそ、いじめて“もらう”と無意識に思ってしまう位本能で自分の立場を分かっているつもりだ。
だから、ハイその通りです、とこたえるのが正しいのに上手く言葉が出てこない。
「なあ、那月」
静かな声だった。
興奮しているとは思えない声だ。
「名前……」
僕にも名前はある。
ただ、普段あまり呼ばれないだけで。
「書類にあったろ?」
そう言われてと宗吾さんの交わした書類に何が書かれていたのかは知らない。
知っても別に何も変わらないと思っている。
だけど、名前を呼ばれたことは少しうれしい。
思わず振り返って宗吾さんを見ると彼と目が合う。
思わず微笑んでしまうと宗吾さんがキスをしてくれた。
蠱惑的な笑みみたいなものを浮かべるのは正直苦手なのだ。
色気が無いと何人にも言われてきた。
だから、宗吾さんの琴線に何が触れたのかは分からない。
だけど、風呂どころじゃなくなってしまったのは確かだった。
ねっとりとしたキスをされてそれからまた、抱きかかえられる。
先ほどより大きくなっているものを尻に感じて喉が渇く。
「で、何が嫌だった?」
宗吾さんが聞く。
自分でもよく分からない。
しいて言うなら僕は別に淫らではないという事なのかもしれないけれど、実際僕は淫らなのだろう。
「僕は、多分それほど性行為に慣れていません」
だから、こうやってあなたを困惑させている。
そう何とか伝えると宗吾さんは困った様な顔をしている。
「それは、そういう風に言えと躾けられているのか?」
宗吾さんの返事で今度は僕の方が困惑してしまう。
「違います」
違うことを証明する方法は無い。
けれど、宗吾さんはそれ以上質問することなく「そうか」と答えただけだった。
その代わり、僕の事を抱き上げると洗い場の椅子まで運んで座らせてボディーソープで僕の事を洗い始めた。
「ちょっ……、待ってください。自分で洗えます」
食事にあまり関係ない事は恥ずかしい。
泡にまみれた手が、意地悪に乳首の周りを撫でる。
「んっ……、やぁっ……」
泡で滑る指の感触は先ほどまでとは、少し違っていてどちらも好きだ。
奉仕しなければならないのはむしろ僕の方なのに、宗吾さんに触れられる快楽に体が上手く動かない。
足先も脇も膝裏も泡まみれになる。
髪の毛も一緒に洗ってしまおうと言われて髪の毛も泡まみれだ。
だけど、すでに勃ちはじめている場所だけは絶対に触れてもらえず思わず太ももをこすり合わせた。
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