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第8話
耐えきれなくて、思わず自分で手を伸ばす。
はしたない事だという事はきちんと理解できている。
けれどもどかしい刺激では我慢できなかった。
それを止められてしまい思わず宗吾さんの顔を見る。
笑顔を浮かべている彼の顔からは、咎めているのかどうかが分からない。
「誰かに教わったんじゃないなら、天然で煽ってるってことか。」
呟くように宗吾さんは言うけれど、意味を考えようとしたところで強い刺激に悲鳴を上げる。
「あっ、あんッ……やぁっ……」
興奮の兆しを見せていた部分をしごかれて、甘えた様な声が出てしまう。
きもちいい、きもちいい。もっと……。
そんな事しか考えられなくなって宗吾さんの僕に触れている腕に縋りついてしまう。
くちゅくちゅと恥ずかしい音と僕の嬌声しか聞えない浴室で人間に縋りつく。
これは食事ではないと分かっている筈なのに、与えられる感覚がたまらなくて、もっと、もっととねだる様に腰を宗吾さんのてに押し付けてしまう。
気持ちいいのがじわじわと広がっていって、下半身全体がもう性器の様だ。
「イクっ……出ちゃうっ」
ビクビクと震えながら達する。
達した直後の多幸感に思わず身を任せてしまいそうになる。
けれど、一回出したことでより空腹を認識してしまって、慌てる。
この人は、僕の所有者だ。
この人にいらないと言われたら僕はもう”終わり”なのだろう。
それなのに僕は、一体何をやらせてしまったのだろう。
オロオロと謝ろうとしていた僕を見て、宗吾さんは湯を僕と宗吾さん両方にかけた。
「ご、ごめんなさい……」
僕が謝ると宗吾さんは驚いた様にこちらを見る。
それから「いや、そういう事じゃない。」といって浴室のドアを乱暴に開けた。
僕の腕を引っ張るとバスタオルで二人の体を拭くもそこそこに、再び抱き上げられる。
「うぇっ!?」
「那月が、それほど慣れていない事も天然なことも分かったから」
もう、今日は任せてもらうから。
本当は、もっとスマートにしたかったけど。
宗吾さんはそう言ってもう一度ベッドルームに戻って僕を横たわらせた。
「すみません……」
性欲処理にしろ食欲にしろ、意味のない事ばかりさせてしまっている自覚はある。
そもそも風呂が本当に
「そうじゃない、んだけど今日は俺がもう我慢できないから」
そう言うと宗吾さんは僕の尻に手を伸ばす。
「濡れてるね」
そう言われて、かっと体が熱くなる。
多分顔が赤くなっているだろう。
淫魔の尻、というか直腸は排泄器官としてはほぼ使われない。
性器としての役割しかほぼ無いそこは、男の精液が欲しいと愛液を垂れ流す。
女性器に実際に触れたことは無いけれど、似ているらしい。
本能なのか僕がそうなのかは分からないけど、そこに手を入れられて撫でられると欲しいと思ってしまう。
疼きが大きくなってもっともっと虐めて欲しくなってしまう。
心底あさましい生き物なのだろうと思った。
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