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第12話
二度目だというのに中に挿入されたものは、先ほどまでと硬さが変わらない。
見た目と違って、性欲が旺盛なタイプなのだろうかと考えてやめる。
性欲の無い人間はサキュバスを買わないし、見た目の話をすれば俺だって淫魔には到底見えない。
静的なことが嫌いで淫魔を買ったとしてらそれこそ滑稽な話だ。
吸収しきれない精液が中で撹拌されてグチュグチュと音を立てている。
キスをされて、飲み込みきれない唾液が口の端からだらだらとこぼれる。
頭の中は快楽を追う事でいっぱいで、分かるのは宗吾さんの陰茎の形と息遣い、それから彼の体臭の事くらいだ。そのはずだ。
一旦性器を引き抜かれたときも「あっ……」というもの欲しそうな声を上げてしまって恥ずかしい。
宗吾さんは僕の体をひっくり返すと後ろから陰茎を突き入れる。
「ふぁぁっ……」
鼻にかかる声は感じ入っているもので、自分の先端からとぷりと先走りが出るのが分かる。
深く貫かれて息が少し詰まる。
そのまま宗吾さんは僕の腰から尻尾にかけてを撫で上げる。
しっぽに触れられると甘くしびれたみたいになる。
背中を撫でられると肌が泡立つようだ。
声が止められない。
そんなところまで性感帯だったとは思わなかった。
「色が変わってる。精液が吸収されたからかな」
宗吾さんに言われて「色?」と聞き返す。
「ここの文様。さっきより赤いから」
そう言って宗吾さんは僕の腰にあるらしい文様をなぞる様に撫でる。
指先から響くみたいに快感を拾ってしまう。
「尻尾ぴくぴく震えてる」
普段はあることさえ忘れている部分を触られて、変な声が出る。
セックスの最中人間に無い器官を触られるのは、自分が淫魔だと確認させられている様だ。
確認なんてしなくても、僕は自分がそういう生き物だと知っている。
空腹が和らいでしまったのがいけないのだろうか。
体はちゃんと気持ちいい。宗吾さんは手ひどい事をしている訳じゃない。
気持ちだって、ちゃんと二回目の食事をしたいと思っているのだ。
「どうした? 何を考えている」
だから、宗吾さんにそう聞かれても上手く答えられなかった。
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