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第46話

「俺が抱いている感情が、恋愛感情に起因するものなのかは知らない」 多分、違うんだろうな。 そう言って、宗吾さんは僕の髪の毛を撫でた。 「心が通じ合って、満ち足りていれば淫魔は精液を飲まなくてもいい事は知っている」 宗吾さんの笑顔は悲し気でどうしたらいいのか分からなくなる。 「だから、きっとこれは愛ではないんだろう」 宗吾さんにも淫魔の知識はあるようだった。 自分の事なのに自分だけが分かっていない。 「君を買い取ったのは、君に執着したから。 君が死ねば、多分俺も死ぬよ」 当たり前の事の様に宗吾さんは言う。 それが一般的でない事くらい僕にも分かる。 だけど、彼は僕の事を好きではないと言っている。 僕も彼の事が好きなのかはよく分からない。 「僕に執着して、死んでほしくないからセックスしてくれているんですか?」 自分で言ってから、泣いてしまった二度目のセックスを思い出す。 食事の為ではない、セックスをしてみる予定だったのだ。 結局それは上手くいかなかったけれど、彼は僕の食事のために触れているのではないのかもしれない。 「君が他の人間のものになっているかもしれないと思ったときどうしても上書きしたかった」 だから、君と出会った日、君を抱いた。 君の事情なんて、何にも関係なく、ただ、自分のものに自分以外の痕跡があるのが許せなくて、だから抱いた。 「あの日から、君に欲情はするよ」 宗吾さんははっきりとそう言った。 欲情と恋と愛の違いはよく分からない。 お腹がすけば多分僕は愛していない人とでもセックスができる生き物だ。 だから、宗吾さんの言っていることはよく分からない。 だけど、ドクドクと体が熱い。 「でも、あなたのしたいセックスはできてない」 最初の日言われたことを思い出す。 彼のセックスの好みをポロリと呟いたのは多分本音だ。 そういうセックスが出来なくて、食事の為でも無い。 この人が僕に何を求めているのかが分からない。 教えてくれたら応えられるかもしれない。 だから、教えて欲しい。

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