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有罪 10

   自ら披露したと言うのに内太腿に息がかかるほどの距離で見つめられると、どうしていいのかわからなくて顔がどんどん赤くなっていく。 「赤くなって、可愛いな」 「っ、え、……ぁ、……その  」  真っ直ぐに顔を覗かれながらそう言われたのは初めてだったように思う。  第一、男に可愛いは誉め言葉にならないだろうと思うのに、真摯な口調で告げられると嬉しくて堪らなくなる。  素直に嬉しいと言えればいいのだろうけれど、オレは何も言えないままぎゅっと唇を引き結ぶしかできなかった。  枕を抱え込んで「あー……」と細く長い声を漏らす。  丹念に解したためか相性のためか、大きくて入らないかも? と思っていた佐藤のソレはぴったりと隙間なくオレのナカを埋め、内壁をねっとりと擦り上げてくる。  それがまた、的確にイイところ過ぎて…… 「……ぁんっうあ……やっ! ん゛っ」 「……っ、苦しく、ないか?」  熱く絶え絶えの息の下から尋ねられて、喘ぎながら首を微かに上下させる。  大きな手に腰を抱えられて体内をかき回されて……  いつの間にか自らも腰を振ってよがり、固く反り上がって涎を垂らす自身をシーツに擦りつけて慰めていた。 「そこ……もっと! っ、はげし……ぃん!あ、あああっ」    体位を変えて前立腺を執拗に攻め立てられ、悲鳴のような声と共に堪えきれなかった白濁の液がぱたぱたと溢れ出る。  ぎゅうぎゅうと自分でもわかるくらいに体が勝手に喜んで佐藤を締め付けて、もっともっとと気持ちよさを求めて腹の中がきゅうと引き絞られていく。 「さと、 さと さ、っ  」  喉の奥から絞り出すように名前を呼ぶと、熱に浮かされた目がオレを見下ろして……  優しく柔らかく細められる。 「────ぁっ」  ぞわ と堪えきれない快感の波が背筋を駆け上がって、激しい呼吸と肌のぶつかり合う音だけを拾っていた耳が何も聞こえなくなった。  次の瞬間、縋るように佐藤が強く抱きしめてきて、胸に満ちる幸福さに震えが起こる。  全力で求められているんだとわかる息が、熱が、鼓動が、力強さが……  「重すぎ、飽きた」と切り捨てられた身にはこれ以上ないほど甘美で、毒のようだ。 「っ  ────ぅ」  堪えきれなかった佐藤の呻き声が聞こえて、どっと世界の音が戻ってくる。  空調と、絡み合った荒い息、それから壊れてしまうんじゃないかと思えるほどの鼓動の音。 「……っは」  酸素が足りないと大きく喘ぐオレの唇を追いかけるように佐藤が覆いかぶさってくる。  わずかの隙も厭うように押し付けられた唇は、苦しいのに受け入れたくて仕方がない。  

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