12 / 86
有罪 11
「ケイ君……っ」
「んっ! くる し 」
ジタバタと息を求めて暴れると、そこでやっと佐藤の腕の力が緩んで解放される。
息がさっと肺に入ってはくるけれど、二人の間にできた隙間にうら寂しさを覚えてつい引き留めてしまった。
縋りついたオレを見て、佐藤は一瞬驚いてから微笑んだ。
「なに、わら って」
からかいを含んだものではないとわかってはいたけれど、達した直後に微笑まれてしまうとどうしたらいいのか……
「触っても?」
問いかけられて「?」となった。
未だ体の中に佐藤を感じると言うのに、これ以上どこを触ると言うのか?
「唇に」
そう言うと問いかけてきたと言うのに佐藤の指はオレの唇の上を伝い始める。
強くない、柔らかくて、微かに表面を撫でるかのような動きのせいか、体中がそれに引きずられるようにぞわぞわと粟立つ。
「なに して ……っ」
ビクッとなる度に、ナカに深く埋まったままの佐藤のモノを締め付けてしまう。
それがなんだか居心地悪くて仕方がないのに、佐藤は指を止める気はなさそうだった。
「君に、キスをしたいと思ったんだけど、そうしたら……綺麗な目が見れなくなるから」
汗を伝わす頬を緩め、佐藤はどこか照れくさそうだ。
「猫の目のような……素敵な目だ」
そっと目の縁を撫でられる。
人によってはきついと言う印象を持たれてしまうアーモンド形のつり目。
強気そうとか、生意気そうと言われたことはあっても素敵とは言われない目だ。
「あんたは……さっきから可愛いとか素敵とか……っあ!」
キッと睨み返したはずなのに、どうしてだか佐藤のモノはこちらが驚いてしまうほど体内で復活を遂げて……
ずくりとした内側から内臓がお押し広げられる感覚にうろたえて首を振った。
「な、なんで、なんで大きくしてるんだ⁉」
「続けても構わない?」
「つづ や、そうじゃなくて、いやっ! 嫌じゃないんだけどっそうじゃなくて……」
取り乱したオレとは違って佐藤は平静そのものだ。
落ち着き払った態度でコンドームを付け直し、オレの横に身を横たえてくる。
「綺麗な体だ」
指先だけで肋骨を伝うように触れる。
そうすると自分のガリガリの体が浮き彫りになるようだった。
佐藤の体を比べると貧弱で、せめてもう少し肉がついていたら……とどうしようもないことを思う。
「相手に対してこんなに綺麗だと思うのは初めてだ」
佐藤の指先は肋骨を触っていたのに、いつの間にか胸へ移動してツンと尖ったそこに触れようとしていた。
「あ、……ぁっ!」
びくっと体が跳ねる。
ともだちにシェアしよう!