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有罪 17

 佐藤に買ってもらったものを朝食……いや、昼食に回し、夜にバイトがあるからそこでまかないを食べれば明日一日の食費が浮くと言うものだ。  学費から生活費まで自分で賄っている身の上としては、一食浮くだけでも随分と懐が助かる。 「じゃあ行こうか、コンビニでいいかな? それともスーパーの方がいい? この時間営業してるところは……」  オレが喉をごくりと鳴らしたのを見て、佐藤は嬉しそうに笑って促す。 「好きなものを買ったらいいよ。弁当屋にしようか」 「あ、ありがとうございま   な、なにして  」  指の間に急に入り込んできたことに思わず声が裏返った。  さっと見下ろせば佐藤の左手の指がオレの指の間に絡まるように入っていて、交互に指を絡めた所謂……恋人繋ぎになっている。 「あ⁉ あのっここ! 外!」 「でも夜で、誰も見てないだろう」  誰も見ていないかもしれないけど誰もいないと言うわけではない。  すれ違う人が気づいて……  そうしたら?  奇異の目で見られることに、この男は耐えられるだろうか?   「だ……でも、やっぱり普通こんな繋ぎ方しないし」 「付き合うとこうやって繋ぐだろう?」  きょとんと返されて、ああそうか……と思いそうになったのをぎりぎりで踏みとどまった。 「は⁉」 「前の彼女はこうやって繋ぎたがったが」 「童貞じゃなかったの⁉」  今度は佐藤が「は?」と怪訝な声を出す。 「あ、そこじゃない! 付き合う⁉ 誰が誰と!」 「ケイ君と俺が」  どうしたんだと言う表情をされてしまうけれど、その顔をしたいのはこちらの方だ。  一体いつ、そんな話になったのかわからなくてぽかんと口を開いて佐藤を見上げる。  こいつ、もしや本気でやばいやつだったのか⁉ 「付き合うって言ってくれただろう?」  「あっ」と声を上げそうになったのを寸でで堪えた。  オレの不用意な一言が佐藤を逆上させてしまうんじゃないかと思って、思わずごくんと出かけた言葉を飲み込んだ。 「俺の不安に寄り添って、そう言ってくれたことが嬉しかった。君が言ったように今までの自分の足元が崩れ去るかのような出来事だっただけに不安で仕方がなかったのだけれど、ケイ君が励ましてくれて、力になると言ってくれてどれほど嬉しかったか。ありがとう」 「ぇ……あ」  それは相談事に付き合うと言う話で……と言う言葉がつっかえる。 「ケイ君に感謝をしているけれど、それ以上に困った人間に手を伸ばして力になろうとするその姿に惚れたんだ。恋人になってくれてありがとう、大切にする」 「いや……もっとよく考えてからの方がいいんじゃ……」 「うん、だから君と出会ってからずっと考えていた。先に言われたのは男として少し悔しいけれどね」

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