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有罪 23
佐藤が求めたのは自分のセクシャリティを確認するための相手であって、『オレ』ではない。
軽い関係を求めた佐藤にとって、誤解とは言え付き合うと言い出すようなオレはどう言う存在なんだろうか?
「 ────ケイ君?」
「あ、いや、 」
佐藤が全然連絡をくれないから……と言うのは、重すぎるのかもしれないと「何してるかと思って」と言葉を濁した。
「 ────実は転職をしたばかりで、少しバタついていたんだ」
「そう」
ぽつんと返して、佐藤のスーツ姿の馴染み具合を思い出して社会人なんだ と改めて思う。
オレよりも年上できちんと働いているのだから、忙しくて連絡できないこともあるのだろうと……理解はできる。
「い、忙しそうだし、もう切るよ」
「 ────待って!」
さっさと切ろうとしたオレを引き留める言葉に、つい操作を戸惑う。
「な……なに?」
「 ────連絡……その、メッセージすら送れなくてすまなかった。バタついていたなんてただの言い訳だ、それを理由に君をぞんざいにしていいわけじゃない」
理解はできても納得できていなかったところを言われてはっと肩が跳ねる。
「 ────確かに仕事が忙しいのではあるのだけれど、その……君のことを思うと、何とメールに打ち込めばわからなくなってしまうんだ。書いては消しを繰り返すうちに時間が無くなってしまって。申し訳なかった」
言葉としては、堅苦しくて……何言ってんだこいつ くらいの反省しているのかわからないくらい硬い言葉だった。
なのに、あの佐藤が……きっと頭を下げながら言っているんだろうなって思ったら、ちょっと吹き出してしまって……
もうそうなったら許す許さないとかそんな次元の話じゃなくなってしまっていた。
「最初にくれた『おはよう』くらいでいいの! 朝は何を食べてるー? とか、よく眠れたー? とか」
「 ────だが、君の好感度を上げる言葉を選びたい」
はっきりと返されてもう一度吹き出しそうだったものが喉につっかえた。
別にオレは恋愛シュミレーションゲームのキャラクターと言うわけではないのだから、そんなセリフ一つで好感度が目に見えるほど上がったり下がったりするわけがない。
なのにそれを気にして、少しでもオレに好かれたいと願って言葉を選びすぎていた佐藤が、愛おしいと思ってしまったのだからオレはやっぱりちょろいし重い男なんだろう。
「じゃあ、毎朝『愛してる』って一言でいいから送ってよ」
オレの胸は、どこからか考えてもいなかった方向から飛んできたキューピッドの矢が刺さっているからか、つい出た言葉は重くてしかたないものだった。
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