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有罪 42
「 っ」
「今言いにくいのなら、いつでもいいんだ。いつか心の整理がついて俺に話してもいいって思えるくらいお互いの間に信頼が育って、それからでも」
指の腹がくるくると動いて落ちた涙を拭っていくのがくすぐったくて、オレははにかみながらその手を握り返した。
手を繋ぐと金属の感触を感じる。
冷たいはずのそれは体温を吸って暖かいと言うよりも熱いと思わせる温もりを纏って……隙間なく密着したお互いの体温をこれ以上ないくらいはっきりと感じさせた。
涼しい風が吹いてはいたがそれは人工で、部屋は薄暗い。
転がり込む先に決めたホテルとは言え、もう少し吟味するべきだったかとチーズケーキ味のキスを繰り返しながら見渡す。
とは言え……するだけなら十分な場所だった。
「ん……っスーツ皺になるから、先に脱いで」
「ああ」
仕事の合間に抜け出してきたのだと佐藤は言っていたから、本来ならこんなことをしている時間なんてないはずで……
なのにどうしてこんなことになっているのかって言うと、オレが離れがたくてつい意地悪をするように涙を拭ってくれていた佐藤の指を握り返して、ちょっとやらしく触れてしまったからだ。
運が良ければ、少しだけ会社に戻るのを送らせてくれるかな? って思っていただけの行為だったから、熱っぽく握り返された時は心臓が飛び出しそうなくらい跳ねた。
「ゆっくりは ……無理なんだよね?」
「っ……すまない」
心底苦痛そうに返されて、オレと一緒に居たいと思っているんだって気持ちが伝わってくる。
シャワーを浴びずにもつれるようにしてベッドに倒れ込むと、遠慮がちな指がそろりそろりと体の上を這っていく。
じっくり高め合ってからするセックスならそれでもよかったけれど、時間のない今じゃそんなことをしていたら前戯だけで終わってしまう。
くすぐったい、焦れるような感覚に急かされてはしたない行動だとはわかっていながら足を開いて佐藤を誘い、オレ好みの唇に吸いついて早く挿入してくれと強請る。
「ま 待って、せめて、解して 」
「痛くてもいいよ、佐藤を早く感じたいんだって」
とは言え、ここで乱暴にしないのが佐藤だ。
性急な手つきではあったけれど後孔にローションを流し込み、ゆっくりと指を差し入れてくる。
決して乱暴にしないとわかる手つきでオレのアナを広げて……
「 っ、も、恥ずかしいんだって」
丁寧に解される間、オレは何をすればいいんだろうか?
こんな丁寧に前戯なんてしてもらったことなんてなかったから、自分で準備をしない時間に何をすればいいのかさっぱりわからなかった。
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