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第4話 奉仕欲、服従心、そして R18/小お漏らし

 ご主人様は、裸のままのわたしを優しくベッドに寝かせてくれた。  ここはすごく…緊張する。ご主人様の香りでいっぱいの、ご主人様の寝室。その中でも一番、ご主人様の香りがする特等席だ。まだ触れられてもいない内から、まるでご主人様に抱きしめられてるようで…安心するけど、それ以上にドキドキしてしまう。  わたしの体液で、この綺麗な寝床を汚してしまわなければいいが…どうあっても、それは難しいかもしれない。  先ほどは抱いてくれると、はっきり言ってくれた。  期待してもいいのだろうか?ご主人様はいつも通り優しげに微笑んで、わたしを見下ろしている。その涼し気な目元に、胸が高鳴った。  ご主人様は、まだローブを羽織ってらっしゃる。こうしてわたしだけが裸で、服を着たご主人様に組み伏せられていると、わたしがこの方の所有物で、とてつもなくちっぽけな存在だと思い知らされているようで…どうしようもなく、体の芯が疼いてくる。  荒くなってしまいそうな呼吸を紛らわせるために、わたしは首元のアクセサリーに触れた。初めてご主人様が与えてくれたもの。わたしの宝物の、首輪。  …気持ちを落ち着かせるためにとしたことだが、逆効果になってしまった。  ますます体は高ぶるばかりで、痛いくらいに中心が熱くなってくる。 (出したい…出したいです、ご主人様……っ)  しかし今のわたしに、それを懇願することはできない。ご主人様は「いつ射精させるかは僕が決める」と言った。だからわたしには、ご主人様のお許しを待つことしかできない。  昔からあまり自慰をする習慣はなかった。だからあの屋敷にいた頃は、1週間や10日ほどであれば、あまり苦にもならなかった。2週間ともなると、少し辛くなってしまっていたが。しかしやはり、業務が多忙な時期は、それくらい我慢することもそこそこあった。  夢精してしまうことも多く、恥ずかしい思いをしながら、人知れず下着を洗ったことを今でも覚えている。わたしはおかしいのだと、自己嫌悪でさらに自慰の回数は減っていった。  いや、夢精だけならまだ、そこまで思い詰めることはなかったかもしれない。ただわたしは、自慰をする時は必ずといっていいほど毎回、お尻の穴を触ってしまっていた。そうしないと射精できなかったのだ。だから我慢して、夢精して…また我慢して。たまに我慢できず触ってしまって……、また我慢して、夢精して。と、そんな日々を繰り返していた。  歳を重ね、執事になった頃には、わたしの男性的な欲求もようやく落ち着いてきていた。それからさらに、自慰の回数は減っていったと思う。  でも…それでも。わたしも男、なのだ。  28という年齢になってからでも、1ヶ月も我慢をしていれば、ふしだらになっていく体を見過ごすことはできない。  しかも今は絶えずご主人様と一緒で、なにかにつけてわたしの体は、ご主人様に弄ばれている。魔法の効果もあるだろう。初対面の時からたった数日で、重たくなった陰嚢が存在感を主張し始め、日に日に己を浅ましい欲求へと駆り立てていった。  平たく言えば、ご主人様の言った通り『毎日犯されることばかり頭に浮かんでしまう』。  でもわたしの体は、すべてご主人様のもの。望んでそうなったものの、ご主人様の命令というのは、魔法で強固に補強されたものでもあり、わたしに絶対の効力を発揮する。  だからご主人様が一言、「射精するな」と命じれば、たちまちわたしの体はその通りに、従うほかなくなってしまう。抗う手段はない。  本来なら、すでにわたしは何度も絶頂しているそうだ。  わたしの下腹部に刻印されたいやらしい紋章は、その証として、ピンク色に発光することがある。  ご主人様はこの現象を「メスイキ」と名付けて、大層お気に召したご様子だった。そしてこの「メスイキ」を体験するたびに、わたしの男性器は、どんどん我慢が効かなくなっていく。  ご主人様が触れてくれるたび、わたしは毎回そんな調子だった。だから1週間も経たない内に、わたしはまるで幼子のように、ご主人様に射精を懇願するようになっていた。今まではありえないことだ。  そんな浅ましいわたしを、ご主人様はいつも優しく受け入れてくれる。我慢ができなくなったわたしを、どこか嬉しそうに、好ましいものを見るように、笑って許してくださる。  だからどんなに恥ずかしくて、消え入りそうになってしまっても、わたしはこれで良いのだと、そう言ってもらえているような気がして…。  この方に拾ってもらえて良かったと、心から思える。どんなにつらくてもご主人様のために、明日からまた頑張ろうと、この恥ずかしい体でご奉仕しようと、前向きに生きられている。 「アーリスのオチンチン、とても辛そうだね。こんなに泣いて…」 「ぁひゃっ…!」  へ、変な声が出てしまった。  ご主人様がわたしを見下ろしながら、固くなっている男性器をちょんとつついた。ご気分を害されなければいいが。  わたしの男性器は、ご主人様の言う通り、恥ずかしい液体をどんどん垂れ流している。  ああ、どうかそんなに…まじまじと見ないでください……。 「そんな顔で見つめられたら、もっといじめたくなってしまうじゃないか」  ご主人様の手が、わたしの男性器を握り込む。 「ひぃっ……う、あっ…ご主人様ぁぁ…っ」  遠慮などしなくていいのに。  ここへ連れてこられた時も、実験台になった時も、一緒に過ごす毎日も…いつだってあなたはお優しい。  わたしは嬉しいんです。こんなに触れてもらえて、ご主人様のような優しい方に、ご奉仕させていただけて。もっとして欲しくなってしまっているんです。  わたしはご主人様のモノです。あなたの玩具でかまわない。いや、玩具にしてもらいたいんです。  わたしも、無邪気にわたしのことを弄んで、楽しそうにしているご主人様を、ずっと見ていたいのです。 「ご主人様ぁ…っ、き、きもち…いい、ですっ…あ、あぁッ……」 「はは、腰がへこついてるよ。僕はただ握ってるだけなのに」 「っ!!あ…っ、もうし、わけっ…ありません……っ、は…ぁ、はしたない、真似を…っ」  本当だ。ご主人様は全く動いていなかった。わたしだけが勝手に気持ちよくなっていたのだ。  なんとか上下に動いてしまう腰を止めようと、わたしは精一杯体に力を入れた。しかし、ご主人様の体温を感じるだけで、頭がぼうっとして、体中から力が抜けてしまう。これじゃまるで、ご主人様の手を使って自慰をしているようなものだ。 「お、おねがいです……ご主人様、手を…手を離してくださいっ…!こ、腰が、勝手に…っ!あぁう…、き、きもち…よすぎてッ…!も、申し訳ありま……っひぅぅ…」  言葉とは裏腹に止まれない体を、忌々しく思う。ご主人様は楽しそうにわたしを眺めている。それだけが、今は救いだ。  どれくらいそうしていたのか。やっと満足してくれたのか、ご主人様はわたしの性器から手を離してくれた。  ご主人様は身を引いてベッドから降り、服を脱いでいる。わたしはそれを手伝うこともできず、ぐったりとご主人様の匂いがするベッドに身を任せていた。  もう何時間も、ご主人様の前で淫らに腰を振ってたような気がする。  すでにわたしの下半身はひどい状態だ。恥ずかしい液体でびしょびしょになっている。お尻の穴からも沢山出てるようで、敷いているシーツが、ぐっしょり湿っているのがわかる。ああ、やはりご主人様のベッドを汚してしまった。  呼吸を整えながら、せめてご主人様の姿を目に焼き付けようと、半身を起こした。月明かりが差し込む寝室に、高貴な裸体が照らされている。  なんと形容すべきか…あまりの美しさに、うっとりと見惚れるほかない。  絹糸のような透き通った白髪が、真っ白なお体の上をサラサラと撫でている。竜族のお方特有の顔や背骨にある鱗は、黒曜石によく似ていた。それらを際立たせる、人ならざる者の真っ赤な瞳。  きっと何万年も生きたであろうお方なのに、ずっと年下であるはずのわたしよりも若々しく、みずみずしいお体。  あどけなさの残る少年のようなお顔なのに、妖艶に微笑む仕草は、まったくの大人そのもので…わたしはいつも、ご主人様に釘付けになってしまう。  そして、初めてお会いした時のことをいつでも思い出す。  ただならぬお方であることは、はじめから気づいていた。  あの時わたしはもう何もかも失っていたが、幸いにも執事として培った経験だけは、むき身の心身にも残っていた。だから一目でわかったのだ。高貴な方というのは、そこにいる気配だけで、理解できる『何か』をお持ちだから。  オーラや雰囲気と呼ばれる類の、厳かな覇気…とでも言えばいいだろうか。それを感じた。言語化しにくい抽象的な、わたしの執事としての第六感だ。  あの時は、これからどうなるのか、不安な気持ちで過酷な森林の山道を歩いていた。はした金で売られたわたしは、きっと使い捨てになるのだろう。最初はそんな風に、どこか諦めた気持ちでいたと思う。  しかしご主人様は違った。『はした金』の奴隷を気遣い、傷を癒やし、靴まで貸してくださった。直後はむしろ恐ろしくなって、つい『自分は殺されるのか』などと聞いてしまったが。  弱っていたわたしに気付いていたのか、ずっと歩幅を合わせて歩いて(浮いて?)くれていた。  塔に着いてからも、その優しさは変わらずのままで。  暗くて狭い場所に閉じ込められていた体を、温かいお湯で拭わせてくれた。清潔な部屋で、体を休めさせてくれた。温かいスープをくれた。奴隷の身に落ちてから、まさかもう一度洗いたてのシーツの感触を味わえるなんて。  何も働いていない内から、こんなに優しくしてもらったのは、両親と暮らしていた時以来だった。  最初の一夜が明けて、わたしの心は決まっていた。せっかく必要としてくださったのだから、どうにかお役に立ちたい。わたしの今ある全てで。そう、強く思っていた。  だから実験台として使うと言われた時も、受け入れることにためらいはなかった。  この方になら何をされてもいい。どんな結果になっても、もう充分に優しくしてもらえたから。むしろ強引に体を求められて、嬉しいとすら思ってしまっていた。長年夢見て、とっくに諦めていたことが、かなってしまったから。  ただ一つだけ、自分がどんな人間なのかを告白した時は、顔から火を吹いてしまいそうだったが。今ではあの懺悔も、良い思い出だ。それよりもこの方の役に立てるのだという、喜びの方が勝っていた気がする。  無意識に上半身が前へ進む。わたしは力の入らない体をどうにか動かして、ベッドから降りようとしていた。ご主人様にご奉仕すべきと思ったから、なのだろうか。ほとんど吸い寄せられるように動いていた。  ご主人様がわたしの方を振り返る。しかし、ちょうど間の悪いことに、わたしはベッドの縁を踏み外してしまった。 「おっ…と、危ないな。頭をぶつけるよ」  床に落ちる、すんでの所で、ご主人様の両腕に抱きとめらる。すらりとしたものであるはずの腕は、とても力強くわたしを支えてくれている。  ご主人様の、細くもたくましい両腕に身を任せていると、突然、体が宙に浮いた。 「…っ……あ、」  わたしの体は、いとも簡単にご主人様に持ち上げられてしまった。 「ご、ご主人様…いけません!」  とっさにそんな言葉が出てしまう。  驚き、慌てふためいているわたしを、ご主人様は優しく微笑んで見つめている。お、重くはないのだろうか…?しかしこんな、こんなことをさせてしまって良いはずがない。 「体に力が入らないんでしょ?なら大人しくしてて」  ああ、おっしゃる通りだ。なぜそんなことにも思い至らなかったのか。浅慮が招いた結果、ご主人様の手を煩わせてしまった。  ふわりと、再びわたしの体は、ご主人様の手によってベッドの真ん中に寝かされていた。キングサイズなので、男性二人分以上の広さは充分にある。 「腰が抜けるほど寸止めされて、僕が脱いでる間すら待てないくらい、射精したくなってしまったの?」  前髪をかきあげるようにして、ご主人様の手がわたしの額へ触れる。  たしかに射精したいのも本当だけど、さっきベッドから降りようとしたのは、きっと違う理由だと思う。自然と、光へ吸い寄せられていくような感覚だったのだから。  しかしご主人様にこれをどう伝えたらいいのかわからず、わたしはただ縋るように、ご主人様を見上げるしかできなかった。 「なのに君の目は、もっと虐めてと言ってるように見えるよ」 「……っ!!…」  そのお言葉に、はっとさせられた。  だから後先も考えず、ああして無様な真似を。たとえかりそめの羽が燃え尽きてしまっても、太陽を目指さずにはいられなかった、あの物語の男のように。わたしはようやく、自分の浅ましい欲望に気づくことができた。 「そ…その通りです、ご主人様。もっとわたしを、……いじめて、ほしかったのです…っ」  見透かされてしまったのなら、認めるほかなかった。 「ご奉仕しなければならない身で、不相応な思いを抱いてしまい…申し訳ありません」  恥ずかしさと、ふがいなさで、思わず前が霞む。 「そうか、なら少し躾けが必要かな。…お尻をこっちに向けろ、アーリス」  厳しい声で、ご主人様はお命じになった。  お仕置きを受けるのは当然だ。しかし、ご主人様にわたしの汚い部分をお見せしたくない、という気持ちが混じり、いつもよりほんの少しためらう気持ちが沸き起こった。  ところがご主人様の魔法は、わたしのそんな、ちょっとしたためらいすらも許さない。  なので、内心は恥ずかしい…と思っていても、体だけは操り人形のように、忠実に命令を実行しようとする。  わたしの体はすぐさま翻り、わたしが思っていたよりもずっとはしたなく、ご主人様にお尻を向ける格好になってしまった。  太ももは肩幅よりも広く開き、背中を反らし、両手と顔をシーツに埋めている。そしてわたしの臀部は、ご主人様のお顔の高さあたりにまで、掲げられてしまっていた。 「いい子だ。穴のシワまでよく見えるよ」 「……っう、み、みないで…、くださ……っ」  ああ、ご主人様の目を汚してしまう。いけないはずなのに、恥ずかしい格好なのに、わたしの穴から、また一滴、恥ずかしい液体が垂れて…。  パチン。  唐突に、乾いた音が一つ鳴った。続いて、お尻にじんじんとした痛みが広がっていく。何をされたのかはすぐにわかった。思わず呼吸を忘れて、わたしはシーツにしがみついた。 「ほら、どうしたの?虐めてほしかったんでしょ?」  パチン、バシ、バチッ…。 「……っ、あっ…うぅ、…ひぐぅ!あ、あっ…ありがとう、ございます…っ」  ご主人様はわたしに語りかけながらも、振り下ろす手を止めなかった。叩かれるたび、痛みが広がって、そこが徐々にじんわり熱くなっていく。 「腰を下げるな」  バシンッ。 「ひぃぃっ…!も、もうしわけ…あっ、ぁりが…ありがとうございます!ありがとうございますうっ!」  痛みと熱さで、頭がうまく働かない。ご主人様の手が当たるのを感じては、それがどんどん強くなっていって。いつの間にか、熱さは体の中心に集まっていく。 「穴がひくついてる、変態」 「ひぅ…っく、ふ…ぅ……ッあ゛ぁ!」  わけがわからなくなって、いつくるかわからない衝撃に怯えながら、お尻を差し出す。お仕置きなら、ちゃんと受けなければいけないのに、腰が勝手に揺れてしまう。  ぴしゃ。  頭が真っ白になっていたところへ、今までにない衝撃を感じた。 「……~~~っ!!」  ご主人様の手が……わたしの、わたしの陰嚢を…叩いていた。 「パンパンに溜め込んでるね。重みもしっかりあって、叩きやすいよ」 「ご、しゅじ…さまぁ、そ…そこはっ……ひぃ゛!」 「怖い?それともまさか、嬉しいの?」 「わっ、わかりませ…!いぃ゛…ッ!!」  お腹の下の方から、ガンガンと殴られるような痛みが広がって、思わず体を丸めたくなってしまう。でも、できない。お尻をご主人様に向けているよう、きつく命令されていたから。これを見越して、あらかじめ命令なさっていたのだろう。 「すごいな、まだ萎えないよ。それどころか、どんどん汁が垂れてくる」 「い゛ぃ゛ぃ゛ッ……、あぐぅぅ…っ…」  情け容赦のない平手打ちが繰り返される。あまりの痛みに、頭がついてこない。目の前にチカチカと星が散って、思考が途切れ途切れになって…。 「こら、まだ飛ぶな」 「くっ……~~~~ッ!!!」  叩かれすぎて前より余計に腫れてしまったそこを、ご主人様が掴み上げた。  陰嚢の皮に全体重がかかって、ベッドから浮いた膝が反射的に内股になり、わたしはさながら陸に打ち上げられた魚のように跳ねていた。  自分が目を瞑っているのか、目を開けているのかすらわからない。そこへ、ご主人様の押し殺すような笑い声が聞こえてくる。 「情けない格好だね、アーリス。マゾの君にはぴったりだ」 「ッ……おぉ……おゆ、おゆるひ…くだ…っ」 「なぜ?望み通りいじめてやってるのに」 「…もうひ…わけ、っ…ひぎぃぃ……!ゃ、…っ…とれ、ちゃ…取れてしま、まひゅっ…ご主人様ぁあっ…!」  今度は、わたしの陰嚢を掴み上げたまま、ぶらぶらと左右に揺すりだした。  思わず恐ろしくなり、必死で懇願してしまう。限界まで引き伸ばされているように感じる皮が、いまにも千切れてしまいそうで。  けれどご主人様はやめるどころか、一層強くそこを揺すり始めた。 「ひぃっ…、ひっ…い゛ッ!!いぃ…っいや、やめへ…ッやめてくださいご主人様っ…あ゛ぁ!とれ…取れりゅっ、取れりゅぅうううッッ…!!!」 「ハハ……おやおや」  恐怖と痛み、体の熱さで、最初は何もわからなかった。  再び全身がシーツに沈んで、ようやく離してもらえたのだと気づく。  そして、股のあたりのシーツが異様に湿っていること…尿道から熱いものがあふれていることを、やっとわたしは自覚した。 「出せたじゃん。どうやら別のモノだったみたいだけど」 「…ぁ……っ…~~~んぁ、…ゃ…あ……ッ」  止めようとしても止められず、四肢を投げ出した状態で、ただその事実を認識する。  ご主人様のベッドで、粗相をしてしまっている…。痛みで遠のきそうだった思考が、今は別の意味で熱く火照っていった。 「どうせ漏らしたんだ、最後まで出しておきなよ」 「っひぁ…!?あぅぅっ…~~!!」  体の中心をこじ開けられる感覚。  ぐったりした体は、ご主人様の指を難なく受け入れてしまう。音が立つくらい激しく、中から膀胱の裏側をかき回され、わたしはされるがまま、ご主人様の前で最後までお漏らししてしまった。 「漏らすほどタマをいじめ抜かれても、立ちっぱなし。濡れっぱなし。君はほんとに素晴らしいね、アーリス」  そう言われてしまうと…ご主人様に喜んでもらえるなら、どんなに恥ずかしくても、痛くても、全て受け入れられる気がする。まだ色々な場所がズクズクと痛むけれど、それすら嬉しいような。  執事時代には得られなかった幸せだ。ご主人様、ご主人様…。 「ねぇ、アーリス…」  ふいに、ご主人様の声がすぐ近くで聞こえた。暖かさを背中に感じて、ご主人様がわたしに覆いかぶさっているのがわかる。そして、ひときわ熱くて硬いものが、ついさっきまでご主人様の指を咥えていた場所に、当てられていた。 「自分でおねだりしてみてよ。そしたら、君が一番欲しいものをあげる」  あぁ…そのお言葉。ご主人様がわたしの手を後ろへ導き、先を促している。お望みなのだ。最初の懺悔のように、淫猥な言葉を並べるわたしを。  体が痺れて、ご主人様の言う通りにしか動かない。  わたしの両手は迷いなく穴の縁へ添えられ、ご主人様のお持ち物を迎え入れるように、穴を広げた。 「ご主人様…。どうかわたしの…っこ、この、ぐちょぐちょに濡れたお尻の穴に……っご、ご主人様のたくましい…おっ、おちんぽ様を、入れてくださいッ」  ご主人様がお好みの、しかしわたしにとってはとても恥ずかしい、上品とは言えない言葉を用いて、おねだりをした。  するとすぐに、ご主人様の熱い男性器が、わたしの開いたあそこへ当たり…中へ入ってきてくれた。 「っ、ぅあぁあ……っ」  ご主人様の大きくて硬くて、熱い…とても存在感のある、雄としての象徴が、わたしの体を貫き…わたしは、つい甘えるような声を出してしまう。 「アーリスの中、とろとろに溶けてるよ。わかる?簡単に飲み込んでくの」 「はぃっ……はひ、わかり、…ますっ」  うつぶせのまま、ご主人様を受け入れて、後ろから抱きすくめられて、ご主人様の香りに上からも下からも包まれて。  頭がぼぅっとする。お腹の中からすべてご主人様に書き換えられていくような、ご主人様の圧倒的な存在を感じる。 「アーリス。今、君を犯してるのは誰?」 「ご主人様っ…ごしゅじんさまです、ご主人様ですっ…!」  わたしが答えるタイミングに合わせるかのように、ご主人様が動き始めた。 「ごしゅじんさまぁ…ご主人様、ごしゅじんさまっ、ご主人様ぁあぁッ……」  ぱちゅ、ぱちゅ、と、淫猥な音が、わたしとご主人様の間で鳴っていて、閉じられなくなった穴の感覚と一緒に、ご主人様に犯していただいてる事実をわたしに届ける。 「君のお尻の穴をおまんこにしている、コレはなに?言って」 「あぁぁッ…!……ご、ごしゅじんさまぁっ…ご主人様のっ、おちんぽ…っ、おちんぽ様ですうぅッ…」  いつの間にか顔の横にあった両手は、ご主人様の両手できつくシーツへ縫い付けられてしまった。ご主人様はわたしの体へ叩きつけるように、深く激しく、動いている。  わたしはもう無我夢中で、命令された通りに答えることしかできなかった。 「そうだ、僕のチンポだよ。ほらどうした…?犯してやってるのに感謝の言葉が聞こえないぞ、変態執事!」 「はひぃぃ…っ!ありがとうございます、ありがと…っございますぅ!おちんぽ様、ありがとうございましゅっ…おちんぽ様ぁあっ、ありがとうございますぅうう~~~ッ!!」  体はもう、汗や恥ずかしい液体でぐちゃぐちゃだ。  揺さぶられて、ベッドの反動で体をしならせるたびに、さっき叩かれた場所や引っ張られた場所が、ひきつるような痛みを与えてわたしをさいなむ。  そして、それらで快感を得たことを知らしめるかのように、何度も何度も、わたしの濡れた場所を抉るご主人様。  目の前がまたチカチカして、お腹から頭の中にかけて何かが弾けるような感じが何度もした。  奥の奥までご主人様にこじ開けられて、ご主人様の形に中が広がって…。ごりごりした部分が気持ち良い場所に当たるだけで、はしたない声が次々と漏れていき、射精の欲求がどんどん溜まっていく。 「ご主人様っ…、もぅ、らめ…ダメですっ!も、おかしく……ぁひっ、おかひくなっ…あぁぁアっ」 「イイよ、僕もちょうど出そうだったんだ…っ、中に…出してあげる…ッ!」 「はいっ、はい……!…っなか、中に、出してっ…くださっ……ッア、あっ、」 「……く…、………っ―――!」  ピタリと、ご主人様が動くのを止め、中が一際大きく広がった。 「…ぁ、はぁ…あぁァ~~~…ぁ……あっ」 「は……すごいね。しぼり、取られてるみたい…っ」 「ごしゅ、じ…さまぁ……っ熱い、ですぅ…~~~っ」  どくん、どくん。と、たっぷり注ぎ込まれてるのがわかる。絶対に自分では届かないお腹の奥に、ご主人様の熱い精がたくさん放たれている。  ご主人様が満足してくださった証をもらえて、嬉しい。わたしを使ってくださって、わたしで気持ちよくなってくださって、本当に幸せだ…。 「ご主人様…ぁ……っ」  わたしの背中にもたれて、息を整えていたご主人様が、ふいに体を引いた。腕を引っ張られ、そのまま体が反転する。  その勢いで抜けていってしまったご主人様を名残惜しく思いながら、力の入らない体をご主人様に向けた。わたしの勃ちっぱなしの性器が丸見えになって、恥ずかしさで少しずつ、頭が冷静さを取り戻していく。 「…本当は、まだダメだと言いたい所だったけど。こうも愛らしく抱かれてくれたら、あげたくなっちゃうな」 「……、え…っ?」  ご主人様はわたしの下腹部、ピンク色に発光してしまっている部分を、人差し指で撫でながら言った。 「射精しろ、アーリス」 「…――!!、…~~~~~ッ!?」  何の前触れもなく、そう命じられただけで、わたしは精を放っていた。あまりに突然の快楽で、頭が追いつかず、声も出ない。  ずっと勃ちっぱなしで、汁を垂らすしかできなかった性器が、白い液体を吹き上げるたびに跳ね回る。どれだけ溜めていたのだろう。長い長い開放感で、終わりがない。 「ひっ…ごしゅ、ご主人様ぁあ…ッ!イって…もぅ、いっ…あひぃいいぃ~~~ッ!!っみ、みな…みないりぇ、あぅ、あっ、あぁッあぁあア~~~~ッ!!!」  イくのが止まらず、下半身に力が入らず、だらしなく足を広げて、わたしは噴水のように射精し続けた。 「あは、すごい量。お漏らしの跡が、精液で上書きできそうだよ」 「いっ…ひっ、あ、ご主人様っ…りゃめ、りゃめれすっ…!止まって、とまっ…へぇ……~~~ッ!」 「勢いがなくなってきたじゃん。だめだ、もっとイけ、もっと射精しろ!」 「ぉひぃいぃいイぃぃいィ~~~~ッ!!?待っ…だめぇぇッ!でりゅっ…またっ、あっ!出りゅぅうう!でちゃいますぅうううッ…!!」  ご主人様に命令されると、再びそこら中に飛び散るくらい勢いよく、精が噴射されていく。勢いがなくなってきても溢れるのは止まらなかったのに、また激しい絶頂がわたしを襲った。 「イけ、アーリス。射精しろ。もっとイけ。イけ、イけ、イけ!」 「あっあ゛っあぁあアあぁあぁぁアぁぁ゛~~~~ッ……」  完全に我を失ったわたしは、腰を突き出し、連続で射精する快楽に飲み込まれていた。いくらのけぞって頭をシーツに擦りつけても、強すぎる快感はどこへも逃げてくれない。  ご主人様からいただく、ご褒美のようなお仕置きと、お仕置きのようなご褒美。  せっかくご主人様に出していただいた精が、苦し紛れにお腹へ力を入れたことで漏れていってしまっているのを感じながら、わたしはただはしたなく、泣きわめき続けた。 「ご、しゅじ……っ…ひ…、…ぁ……、っ…ひ、…ひぃぃんっ……っ」  妖艶にほほえみ、わたしを見下ろすご主人様を瞳に焼き付けながら。  わたしが目を覚ましたのは、次の日の朝だった。  なんということか。汚れたベッドを綺麗にすることもできないまま、失神してしまっていたのだ。しかしそんな不甲斐ないわたしのことを、ご主人様は叱らなかった。  笑ってお許しになり、こうおっしゃった。「白目を剥いてアヘ顔晒しながらお漏らしして、僕の一声でイきまくる君は、最高に可愛かった」と……。  なんて心の広いお方なのか。ご主人様の前でした二度目の失態は、いともたやすく甘美な思い出にすりかわってしまった。  いたずらっぽく笑うそのお顔に、胸が高鳴った。  ずっと、この方のためだけに存在していたい。ご主人様のことだけを考え、ご主人様の手足となって、いつでもご主人様の期待に添えるような…そんな執事になりたい。 (そうだ…この感情は……)  わたしは、はたと気づく。  この強い思いこそ、わたしが長年求めていたもの。心の底から服従を誓える、たった一人の愛しい人へ向ける感情。  そうしてわたしは決意を新たに、今後ますますの精進を自らの心に誓ったのだった。

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