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第7話 躾け R18/小大排泄披露

 たっぷりと朝一番のアーリスを堪能した後、僕は重い腰を上げて実験室へ赴いた。ヴィルの検査を済ませるためだ。  眠りの魔法を解き、話しかけると、やはりというか…ヴィルはあからさまに不機嫌だった。  これを鑑みて、検査は軽い健康診断と少しの質問のみにした。アーリスの時のように性的な接触はせず、命令も「じっとしてろ」程度のものだ。こういう手合は強引にねじ伏せるよりも、ある程度泳がせた方が楽しめる。  そんなわけで、その後はむすくれたままのヴィルをアーリスに任せ、僕は書斎で新たな資料を作成することにした。  事前に作成していたアーリスの資料を並べ、書式に従って作成できるように今一度読み直す。 [第一次 ニイドの実験 概要] ・自己統一性を維持した永続使役、性的接触への恒常的欲求付与、下腹部皮下組織第一層への目視可能な反応式紋章押印、以上を同時発動させる複合的特級幻惑魔法実験 ・本項では禁術ニイドと呼称 ・拘束指数設定値:最大(99.9998%) ・道具、助手:なし ・設備:大森林の塔 地下一階 実験室 [第一回] ・被検体001号  名前:アーリス  概略:人間種/雄/182cm/71kg/28歳/AB型/茶髪/茶色い瞳  実験時の状態:外傷なし、健康、非常に協力的  備考:非正規奴隷商より購入。元執事。童貞、処女。日常生活にメガネが必要。大人しく従順な性格。潜在的な淫乱で、マゾヒストの傾向あり。欲求不満傾向?几帳面で生真面目な性格。冷静で感情をあまり表に出さない。  実験結果:成功。命令には全て忠実に従い、簡単な接触でも発情を見せる。淫紋は予定通り下腹部へ発現。  実験直後の様子:大きな変化なし。記憶の混乱なし。  実験後の経過:  1日目。非常に順調、健康状態も問題なし。後遺症も見られないため、塔の管理を一任する。  1週間。健康状態良好。新しい生活に慣れた様子。非常に手際が良い。数度の接触で淫紋が蛍光色の発光反応を示す。  1ヶ月。射精命令、および射精禁止解除。激しい絶頂反応、意識の喪失を確認。恋愛感情のような発露を確認。3日後、ユルの実験を実行(詳細は別紙参照)。  2ヶ月。多重魔法付与による後遺症、悪影響等なし。  [特記] 初めて施術者への反抗を確認する。施術者が煙草を吸引しようとした際にマッチを奪ったため、返すよう説得したところ、これを拒否。再び強く命じたところ、強い拒絶反応(上半身可動部への微弱な痙攣)とともにようやく実行する。明確に嫌な行為を命じるには、明確な強制力を持った言葉で命じねばならないと予測。要検証。  …ここで資料は終わっている。今後も経過観察は続けるため、ページ数は増えていくだろう。続いて同じ書式でヴィルの資料作成に入る。 [第二回] ・被検体002号  名前:ヴィル  概略:人間種/雄/179cm/65kg/26歳/A型/黒髪/黒色の瞳  実験時の状態:頸部打撲傷、複数箇所に軽微裂傷、抵抗著しく睡眠魔法で鎮静化  備考:001号と同じ非正規奴隷商より購入。やや衝動的だが、平均的なヒトオスに近い性格。薬草家の家系出身の元庭師。施術者に対し強い拒絶反応を見せ、輸送中に逃亡を図った。捕縛後に強制執行。001号とは元同僚の間柄。  実験結果:成功。淫紋も問題なく発現。  実験直後の様子:記憶の混乱なし。反抗的ではあるものの、施術者の命令には逆らえない模様。  実験後の経過:  1日目。身体測定、健康診断の後、軽い問診を行う。窃盗が冤罪であるかを確認し、これを認める。001号の証言と一致。経過観察のため、001号の窃盗罪に関しては伏せる。施術者との行為以前は処女だったとも証言。不安定な様子を見せたため、問診を中断。  …今はこのくらいか。情報もあまり聞き出せていないので、すぐに終わってしまった。せめて解雇時の状況は聞いておきたい。誤解が解けたのか、はたまた悪化したのか、それくらいは知っておかねばなるまい。  ぼんやり考え事をしながら、席を立った。バルコニーへ通じる大きな窓を開け、外へ出る。  今は夏真っ盛りだ。鳥や虫の声がいつもより大きく聞こえ、強い日差しが庭へ照りつけている。  中央には小さな果樹園と花壇、それに白い石で作った屋根付きのベンチ。隣にある同じ建材を使用した噴水では、小鳥が水浴びをしていた。  白い石は僕の魔術で作り出したもので、古代人たちの技術を流用している。そのためか、アーリスは最初「古代遺跡を修復なさったのか」と思ったらしい。さすがに育ちがいいだけあって、教養のある感想だ。  今まで気が向いた時だけ触っていた隅の畑には、アーリスが手入れをしたであろう痕跡がいくつもあった。野菜やハーブが植わっていて、そろそろ収穫時といった様子だ。  いや、畑だけではない。よく見れば、果樹園も、花壇も、庭全体が瑞々しく息吹いているではないか。雑草を排除し、綺麗に剪定されたそこは、森の中だというのに異空間のように美しい。僕は思わずうっとりとそれらを眺めた。  アーリスが、ここまでなんでも器用にこなせるとは思わなかった。ただこの調子で僕の相手までしていては、いずれ過労で倒れていたかもしれない。  元々一人で暮らしていた身としては、適度に快適な空間を提供してくれるだけで、充分だったのだが。まぁ僕はあまりアーリスにあれこれ言わないし、それで余計に気を使わせていた可能性もある。  ヴィルが来たのは正解だった。これで少しはアーリスの負担を減らすことができる。身の回りの世話は手慣れたアーリスにさせ、庭全体の管理、その他の雑務はヴィルにさせたら良いだろう。おそらくアーリスも今頃、そのあたりの指導をしているはずだ。  いや、庭の手入れは指示していないかもしれない。  アーリスは、もうヴィルがどこへも逃げられず、僕に害をなすこともできなくなったことなど、知らないだろう。たとえば毒を盛るだとか。そうされたとしても僕は構わないが、アーリスが腹に据えかねてしまうのは想像に難くない。  賢いアーリスなら、ヴィルが僕へ向ける感情と、主人を守ることの務めを真っ先に考えるはずだ。加えて、僕はヴィルに何の『命令』も下していない。ただアーリスに「ヴィルにも執事をやってもらいたいから、屋敷管理について指導を頼む」と依頼しただけに過ぎないのだ。  配管設備のメンテナンス、灯り、水回りなど、中枢機能については説明すらしていないやもしれない。 「……、ふむ」  情報を補足してやる必要はある。しかし、ただ言葉で言い聞かせるのはつまらない。  ヴィルがもう僕を害するような行動は取れないと、アーリスにどう示すべきか。僕はバルコニーから庭へ向かって飛び降り、そのまま正面玄関に入った。  二人を探して低層階をうろつくと、すぐに彼らを発見することができた。二階の物置にある掃除道具を前に、事務的な会話をしている。おそろいの執事服をきっちり着込んで、背筋を伸ばし、必要な言葉だけを交わす二人の男。このあたりはさすがといったところだろうか。  会話が途切れるのを見計らい、僕は開いていたドアを軽く叩いた。 「これはご主人様」  アーリスはすぐに深々と頭を下げて、僕を出迎えた。次いで隣で棒立ちしている新米を睨みつけ、「ヴィル」と小声で叱りつける。後ろに流した前髪が、ぱらりと彼の額に落ちた。珍しくきつい目つきだ。僕への忠誠と、部下への厳格さを同時に表現していた。 「すでにヴィルへの引き継ぎは、9割方済んでおります。必要なことがございましたら、何なりとお申し付けください」  未だに頭を下げようともせず、むすっと横を向いてるヴィル。つやつやの黒い長髪をきっちり後ろで束ねているので、生白いうなじが丸見えだ。  アーリスは、相変わらず態度の悪い同僚をチラチラと横目で伺いつつ、申し訳無さそうに僕に用向きを聞いてきた。以前の屋敷でもヴィルはなつくまで時間がかかったと言うし、また同じことを繰り返しているのだろう。二度手間とはこのことだ、彼も苦労するな。 「ご苦労だったね、アーリス。気分転換に散歩はどう?そちらの新人君も連れて…」  僕は意味ありげに含み笑いをし、アーリスからヴィルへと視線を流した。 「喜んでお供します。しかし、よろしいのですか?わたしはともかくとしても、ヴィルは…」  アーリスは恥じらいと疑問を表情に出しながら、確認してくる。「ヴィルは従順ではないのに強く命令しなくていいのか」あるいは「危害を加えようとしたり、逃亡の危険性はないのか」というところか。  なぜなら散歩は、ただの散歩ではないのだからな。 「今日は天気も良いし、構わないよ。明るい内に行けば、はぐれて迷ってしまうこともないだろうし」  わざと質問の意図をはぐらかして、見当違いな答え方をする。アーリスは余計に混乱した様子で僕を伺っているが、ヴィルは好機と言わんばかりに乗ってきた。 「俺は構いませんよ、ご主人様。よかったら連れてってください」  薄ら笑い?いや、彼なりの引きつった笑顔だ。それを用いてヴィルは快諾を示す。  すっかり油断してると思いこんでいるな。面白い。僕は気づかぬふりで、二人についてくるよう促した。  玄関に到着し、僕は再び口を開く。そのまま出ようとするヴィルを軽く制しながら。 「身支度を」  短く命じる。当然、ヴィルは僕の命令の意味が分からない。なので意識とは無関係に動く、ということも出来ない。  対してアーリスは、無言で服を脱ぎ始めた。僕以外の前で脱ぐのはやはり抵抗があるらしく、蝶ネクタイやボタンを外していく手は、止まることこそないが震えている。  ぎょっとして硬直するヴィルを尻目に、僕は備え付けの棚から2つの首輪を取り出した。一つはアーリスの、もう一つは予備のだ。リードも二本、手に取った。  脱ぎ終わってその場に正座したアーリスの首に首輪をつけ、リードを結ぶ。そろそろ散歩の意味を理解したであろうヴィルは、小さく後ずさっていた。 「ヴィル、着ているものを全て脱いで正座しなさい。アーリスのように」  ここへきて、やっと僕は明確な命令を出した。 「いっ…嫌だ…!」  アーリスがマッチを奪った時と同じ反応。  反抗を口にして激しく躊躇し、時間をかけてヴィルは服を脱いでいった。待つこと数分、床を睨みつけて正座したヴィルにも、首輪を与えてリードを結んでやる。 「……変態」  ヴィルは僕を見上げ、ぎっと涙目で睨みつけて吐き捨てた。思わず口角を上げてしまう。 「…ッヴィル、無礼が過ぎるぞ!いい加減わきまえなさい!」  これはアーリスなりに、ヴィルをかばうつもりで出た言葉なのだろう。しかしそんなアーリスをも、ヴィルは汚いものを見るように睨みつけた。手は出ないながらも、お互い一触即発といった雰囲気だ。 「殴り合いたいなら、後で好きなだけやりなよ。でも、今はダメだ」  僕は二人分のリードを強く引き、彼らの体勢を崩させた。大柄な男二人が四つん這いの格好になる。 「準備も済んだし、行こうか」  ついてこい、とは命令せずに玄関を開けて歩き出した。アーリスは大人しく四つん這いで、ヴィルは引きずられるような形で僕の後ろを歩いてくる。  アーリスとヴィルに「術式を受けた者は逃げられず、僕に危害を加えられない」と理解させるため。  塔の周りを半周し、下生えのない小道へ入った。人の足で5分ほどかかる、小さな滝壺へ続く道だ。  いつもの散歩コースのため、アーリスは迷いなくついてくる。ヴィルは前傾姿勢で前を隠し、きょろきょろしながら二本足で歩く。僕が何も言わないので、四つん這いでいるアーリスもヴィルに指摘することはない。  道中無言のまま、きっかり5分後に滝壺へ到着した。日差しの暑さに、ほどよい水しぶきの清涼剤。咲き乱れる花々と、ちょうどよい大きさの腰掛け石。やはり良い場所だ。  二人を見れば、僕と同じくこの景色に見とれていた。しかし僕がリードを外せば、アーリスはこの先を想像して顔を赤らめている。ヴィルは僕の様子を伺っているだけだが、隙は見せない。 「休憩しよう。水を飲むなり腰を下ろすなり、楽にしていいよ。暑いだろうし、水浴びでもしたら?」  アーリスは言われた通り、四つん這いのまま這って滝壺に近づいていき、水を飲む。そう、いつもの食事中のように。僕はその愛らしい姿を、隣に腰掛けて眺めていた。  ヴィルはもう、あえて視界に入れていない。 「ではご主人様。お言葉に甘えて、少々失礼します」  水を飲み終わって顔を上げたアーリスは、静かに立ち上がって水中へ足を沈めた。やや離れた場所に到達すると、淑女のような所作で水浴びをし始める。神聖さを感じさせる厳かな水場と、美麗なアーリス。まるで一枚の絵画だ。 「ご主人様…あの~、」  眼福に浸りつつ濡れた白い尻を眺めていたら、後ろから声をかけられた。 「…俺、トイレに行きたいんですけど。ちょっとその辺でしてきてもいいですか?」  もじもじと体を揺すり、引きつった笑いでヴィルがそう問いかけてくる。常套手段だが、裸ならどこにも行けないだろうという思い込みの裏をついて、さっさとずらかる算段なのだろう。 「ああ、いいよ」  僕はにっこりほほえみ、ヴィルに許可を出した。アーリスは滝の音のせいか、会話の詳細まで聞き取れなかったようで、こちらに視線を送るだけで手は動かしている。 (面白いものが見れるよ、アーリス)  僕は心の中だけでそう言って、アーリスに目配せをした。 「あ、ありがとうございます…?」  少し意外だったのか、ヴィルは訝りながらも藪の中へ足を向けようとする。  しかし。 「ッ…!!!」  ぐるりと、アーリスの踵は一回転してしまった。 「どうかした?」 「……っ…い、いえ」  意図しない動きに混乱したヴィルは、もう一度この場から離れようと試みる。だが、何度やっても足が硬直したように前へ進まない。正しくは、僕と反対側の方向へ、進まない。 「ご、ご主人様…俺、ほんとに行っても、いいんですよね?」 「そう言ったじゃん。何してるの?」 「いや、……なんか、足が、……え、っと…」  動かない。そうだろう。逃亡の意志をもって足を動かしているのだから、そうなって当たり前だ。逃げる気がないなら足は動く。  たとえば僕が不在の間、アーリスを殴って縛り上げ、逃亡を図ろうとしても同じ結果になる。アーリスを殴ることさえ、そもそもできない。殺害の意図でも同じ結果だ。  おそらく頭に浮かんではいただろう、そしてその度に体が強ばることを経験したはずだ。 「ぐっ……!」  思い切り力を入れて踏み込んでいる。走り出すかのような姿勢になってもなお、ヴィルの足は地面に張り付いたように動かない。  実に滑稽で面白い見世物だ。下手な喜劇より笑える。 「ご主人様っ、俺になんかしましたね…!?この、首輪ですかっ?」  ハァハァと息を弾ませ、膝に手をついて僕を睨むヴィル。  異変を察知して僕の隣に来たアーリスの腰を抱き寄せ、僕は不敵に笑ってみせた。 「いや、それはただの首輪だよ」 「どういう、……」 「君も見たし聞いただろう。下腹部のソレは、君に対し絶対的な効力を発揮するものだ」 「は…?何が言いたいんですか」 「わかってて聞くのか。効力は絶対服従、どれだけ拒絶しようと逃げも隠れもできない。まして僕に危害を加えようなど…考えただけで、体は硬直する。君とアーリスにかかってるのは、そういう魔法」 「………」 「君、さっき逃げようとしてたでしょ?なのにまるで、外部から力を加えられたように動けなくなったんじゃない?」 「……そういうことか。どうりで…っ」  僕はアーリスに小声で耳打ちする。アーリスはすぐさま顔を真っ赤にして唇を戦慄かせたが、僕が命じた通り「…わん」と小さく鳴いて動き出した。  わなわなと崩れ落ちて尻もちをついた、ヴィルの方へ向かって、アーリスが這う。しかし近づいてきたアーリスに慄くヴィルを無視する形で、彼の横に流れる小川──僕の塔とは反対方向へ流れる──をまたぎ、チンチンの姿勢で僕を見て、言った。 「わん」 「よし。アーリス、排泄しろ」 「く、くぅ…ん……」  力なく首を振ってアーリスは何かを訴えていたが、やがてチョロチョロと小川に向かって小水を垂れ流し始めた。ヴィルは反射的に目をそらし、喉から小さく悲鳴をあげている。  途中、美しいアーリスから出ているとは思えないような、下品な空気音が鳴った。ややあって、今度は茶色い固形物もが、小水と一緒に尻から小川へ落ちていく。彼の排泄物は下流へ流れ、途中途中で川魚や虫の幼虫、バクテリアたちの養分となるだろう。 「ヴィル、しっかりアーリスを見ておくんだよ。大抵の散歩ではこうするから、ちゃんと先輩の様子を見て学ぶんだ」 「……っ…わん、わぅぅ、わぅ…っ」  真っ赤な頬に大粒の涙を次々零し、アーリスは懸命に首を振って僕に視線ですがりつく。泣き付いているが、残念ながらそれは可愛い鳴き声にしかなっていない。  見ないで、見せないで、もうやめて。  そう言っているのは手にとるようにわかった。 「や……ゃめろ…やめ…、いやだっ!見たくない…!」  抵抗しつつも、命令されたヴィルはアーリスを凝視し始める。アーリスは目を瞑り、余計に鳴いた。鳴いて、泣いて、それでも排泄し、全てを出し切ってしまう。  アーリスが排泄し終わる頃、僕の股間は痛みを感じるくらい固くなっていた。 「いい子だ、アーリス。後始末をして、いつもの言葉を言いなさい。人語を許可してあげる」  下を向いて唇を噛み締め、ちゃぱ…と、自らの股間を清める。そして再び僕を見上げ、口を開く。普段ならここまで具体的に命じずとも、自分から進んでできるようになっていたのだが。 「きょ…今日も、変態執事犬の排泄ショウを御覧いただき、ありがとうございました」 「フフ。かなり緊張したようだね、僕以外の観客は初めてだったからかな。でも君の変態ぶりを、そこの新人にも披露できてよかったじゃないか」 「………っ…ご主人様、わたしは…!」 「君は排泄しているところを見られて感じる変態だ。その粗末なチンポが証明してるじゃないか。みじめに勃起して、先端をぬるつかせるくらい先走りを垂らして、そんなに嬉しかったの?」 「あっ…これは!…ぃえ、あの。……っはい。…ぅ……嬉しい、です。ありがとうございます…、ご主人様……」  まだ潤んだ目で苦しそうに言いよどみ、アーリスは絞り出すように礼を言った。声を発するたびにビクンと跳ねる性器。とろけきれない、理性と屈辱でぐちゃぐちゃにされた泣き顔。とても新鮮で色っぽい。 「君のいやらしい姿に、僕も興奮しちゃったよ。…ほら、どうすればいいかわかるね」  前をくつろげて、太陽光の下に大きくなった自分の性器を晒す。アーリスはごくりと生唾を飲んで、僕の足元へ向かってきた。 「…じゃあヴィル、君もアーリスのように排泄しろ。今日は初めてだから、犬の鳴き真似はしなくていいよ」  遠慮がちに「失礼します」と呟いてから、僕のペニスへ舌を伸ばしたアーリスの頭を一撫でして、わざと冷たくヴィルへ命じた。  犬の鳴き真似をするなと言った理由は、言わずもがなだ。僕を詰り、叫び、悲鳴をあげて嫌がる、そのリアルな声を聞きたかった。犬語にしたらその楽しみが半減してしまう。 「クソッ、やめろ!俺はお前らみたいな変態じゃねぇ…ッ!!」  ついに堪忍袋の尾が切れたようだ。期待通り、ヴィルは本気で怒り、抵抗しようともがき出した。そんなことをしても、意味はない。僕の恐ろしさも身にしみてわかってるだろう。全てわかっているが、ヴィルは歯向かうのだ。  ワクワクしている僕と正反対なのは、足元で奉仕するアーリスだ。  『お前らみたいな変態』と一括りに罵倒された時、大げさに体をビクつかせていた。大声で怒鳴られるなんて経験も、数えるほどしかないだろうからな。口と手は止めないが、不安げに僕を見上げている。  そんなアーリスの頭をもう一度撫でて、「気持ちいいよ」と安心させるように話しかけてやった。たちまち『人間』の顔をしていたアーリスは、『変態』の顔に戻る。自らの唾液と一緒に僕の硬い肉棒をすすり、舐めしゃぶりだした。  全裸に首輪だけをつけて、屋外の地面に四つん這いになり、主人に口淫を強いられている、というのに。  勃起した性器と、禁欲で垂れ下がった陰嚢と、排泄したばかりの穴をしとどに濡らしている姿を、全て同僚に見られているというのに。  しかもさんざん恥ずかしい姿を披露させられた後で、だ。 「可愛いよ、アーリス。奉仕がとても上手になったね。君がいつでも僕の期待に応えようとしてくれることを、嬉しく思ってるよ。優秀な執事を持てて、僕は幸せ者だ」 「!!…んっ……光栄…れふ…っ…んちゅ、ご主人様……ん、…」  僕が話せば話すほど、アーリスは唾液を溢れさせ、色っぽい吐息で答えてくる。 「ヴィルも早く、君のようになるべきだ。自ら僕の足元にひれ伏した、君のように」 「……!」  そうだ、アーリス。僕の下僕は皆、君のように喜んで体を差し出し、淫らで従順な変態執事になるべきだ。  僕の意図がわかったのか、アーリスはゆっくりと瞬きをして、かすかに首を縦に振った。これは調教なのだと、そして僕の魔術がいかに強力なものなのか、披露している最中なのだと、彼も理解したようだった。 「ふざけんなよ…誰が、そこの尻軽なアホンダラみてぇに、言いなりになるか…ッ」  その『尻軽なアホンダラ』はもう、ヴィルの言葉など意に介さず奉仕に熱中している。僕が時々気持ちよさそうに吐息を漏らし、先走りを出すだけで、それらを逃すまいとするように必死に、股間へむしゃぶりついている。 「簡単に…お前の思い通りになんか!クソ…!やめろ、言う事きけよ、俺の体じゃねぇか!」  ヴィルは根気よく抵抗しながら、長い時間をかけて、小川をまたいだ所だった。アーリスがいた場所と同じ場所。アーリスが排泄した場所と同じ。  嫌でも想像するだろう、この先の地獄を。叫び声は徐々に弱々しくなり、恐怖の色をにじませ始めた。 「嫌だ、嫌だ…っやだやだやだやだぁあああ!」 「可愛い声も出せるじゃん。その調子で、早く僕の物だという自覚を持ちなよ、ヴィル」 「……俺は、違う。俺はお前の…お前みたいなジャリガキのモンじゃねぇ!」 「ジャリガキ?」 「どっからどう見てもガキだろ!そんな可愛らしい見た目しといて、チンコばっか大きくしやがって…っ!」  ああ。一瞬何のことかわからなかった。  そうか、ヴィルにとって僕は単なる子供に見えるのか。  過ぎた遊びには怒鳴って叱りつければ、反省するとか。  そっけない態度を取り続けたら、飽きてくれるとか。  なだめすかして言う通りにしておけば、いつか抜け出せるとか。  そういう風に考えていたのだろうか?  術後のヴィルが本気の抵抗を見せなかったのは、僕を強力な魔術師と認めたから、だと思っていたが。  どうやら僕は大きな勘違いをしていたようだ。これは単なる教養の差だろう、ヴィルは悪くない。 「僕がただの子供に見えていたとは。なるほどなぁ」 「んぅううっ……~~~っ」 「禁術師であることも、竜族であることも、伝わっていなかったのだな。では、僕にも非があったようだ」  めったにない高揚、これは僕が雄である証拠。衝動に任せ、アーリスの頭を根本に引き寄せて存分に喉を使う。 「そうか、そうか。ヴィル、悪かったな」 「!!……ひ…」  今をもって往生際悪く踏ん張り、排泄に抵抗していたヴィルを優しく見つめる。優しく…だったはずなのだが、ヴィルはさっと顔色を悪くして悲鳴をあげた。  同時に股の間で、べちゃりと音が鳴った。  アーリスの通った鼻筋が、僕の下腹部にめり込んでいる。いっぺんに喉奥まで引き寄せた衝撃で、鼻水やら涎やらが叩きつけられたらしい。  僕の乱暴さに、はたまた僕の表情に、少し気力を削がれたのか、ヴィルの垂れ下がったペニスから少量の液体が漏れる。 「そのまま漏らすがいい、ヴィル。今の君によく似合っている」 「は、はぁ!?ふぅ、ざけ…っ!ひぃ……い、いや…っ、ちょ、ちょっと顔がいいからって、調子に…っや、やだ…止めて…、ッ!!」  追い詰められたヴィルは、予想以上に可愛らしかった。どんどん化けの皮…ではなく、雄の皮が剥げていく。ペニスは綺麗に剥けてるのだがな。 「ひぐっ…、う、…もぅ……だめ…っ」  情けない声と一緒にあっけないほど自然と漏れ出す、液体と固形物。歯を食いしばって、泣くのをこらえている。 「嫌だ、見なぃで…見るなぁ、見ないでぇ…ッ!!おねが、お願いしますぅ…っふぐ、」  しゃくりあげながらジョロジョロドボドボと排泄するヴィルに、僕も煽られた。胸の近くで顔を覆うこともできず、ウロウロさせているチンチンもどきの両手まで、愛らしく思えてくる。 「ずいぶんしおらしい声を出すようになったね。それでいい。…ほら、上手くできた褒美だよ」  アーリスの顔に喉から引き抜いたペニスを擦りつけ、二重の意味で僕は言う。  出すものを全て出し終わったヴィルは、何のことかと不安げに僕を見ていた。 「射精しろ、アーリスとヴィル」 「ッ!!!…ぃ、ひぃあぁぁあッ、あっ、あぁッ!」 「あっ、うそ、やっ…あぁあ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」  気持ちよさそうに僕のペニスへ頬ずりしながら、イキ顔をさらけ出すアーリス。  初めての強烈すぎる射精に、頭をかき乱されて叫ぶヴィル。  どちらも充分に、僕の目を楽しませてくれた。  僕は軽く自分の物をしごいて、アーリスの開いた口めがけて射精する。舌を伸ばして受け止める余裕もないらしく、アーリスは顔中に精液を撒き散らされながら、イき続けている。  ふとヴィルの方を見れば、完璧なチンチンのポーズになり、泣きながら射精していた。抵抗力を失った彼は「ごめんなさい」「もう許して」とすすり泣く。  涎、鼻水、涙、汗、あるいは精液。体液でこれでもかと汚れた気の毒な二人の執事の顔が、真夏の太陽の下で煌めいている。 「二人共、満足したら滝壺で体を清めておきなさい。それで休憩は終わりにしよう」  すっかり上機嫌の僕は、くつろげていたズボンを直しながらそう命じた。すぐに手足を動かし滝壺へ向かうアーリスと、ヴィル。そう、二人共だ。二人共、四つん這いで這っている。  頭が空っぽになるまで辱めたことが、功を奏したのだろうか。  最初はそう思っていたが、すっかり頭が冷えたであろう帰り道も、ヴィルは口答えすることなくアーリスの横をリードに従って這っていた。  どういう心境の変化だ?まぁいい。  間接的な術式の説明と、自分の欲求を満たす、一石二鳥な散歩であった。 つづく

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