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第3話

 混凝土の上に両膝を着いて、小さくて硬く成った君を抱き締める。  囂囂と燃える螺旋翼機の炎が建造物の屋上を明るく照らして、灰色の地面に水滴が雨の様にぽつぽつと落ちる。  其の場所は真夏みたいに熱くて、其れでも君はずっと硬い儘で、屹度此の場所は僕の――僕と君だけのアート《地獄》なのだろうね。  君が存在しない世界で自分を見失っても、何の意味も無かった。  ただ、此の氷の様に冷たく小さな君よりももっと――もっと大きな何かが僕の中からあっという間に失くなって了ったようだ。  

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