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第43話

「あっ、あっ、あぁーーっ!」  ヒートで過敏になっている身体は、諒大に触れられただけでピクピク痙攣する。触れられただけで達するなんて恥ずかしいから颯は必死で(こら)えるのに、諒大は容赦なく颯を攻めたてる。 「うそっ……だめ、出ちゃう、出ちゃうっ」 「俺の手の中に出してください。我慢しないで、気持ちよくなって」  諒大に扱かれて、颯は「あぁんっ」とあられもない声をあげる。 「諒大さ、だめっ、あっ、イッ……あぁぁーっ!」  開始数分、ろくに触られてもないのに、颯は全身をわななかせ、あっという間に達してしまった。 (気持ちいい……)  達したくて、仕方がなくて、でもずっと我慢していた。その欲望を解放してもいいと知った身体は快感を求めていく。ヒートの身体は一度達しただけでは熱は収まらない。 「颯さん、キスは? キス、してもいい?」  諒大は身につけていたマスクを乱雑に取り去った。 「颯さん、今度こそエッチなキスしましょう」  諒大は颯の顔をくいっと自分のほうへと向けさせ、颯の唇へと迫ってくる。 「今度、こそ……?」 「ええ。ファーストキスのとき、颯さんは俺から逃げたでしょう?」 「ファースト……キス……」  颯が諒大と初めて唇を重ねたのは、諒大が酔って意識がうつろになっていたときだ。あのときの触れ合いは諒大は覚えていないと次の日言っていたのに。 「俺が覚えていないとでも? 颯さんから俺にキスしてくれたとき、俺はやっとあなたを捕まえることができたと嬉しかったのに」 「諒大さん、覚えてたの……?」 「はい。全部、鮮明に。でも俺は颯さんに覚えてないと嘘をつきました。理由はわかりませんが、あの夜、颯さんはキスしたことを俺に忘れてほしかったんでしょう? だから忘れたふりをしました」  あの日の夜、颯はたしかに「何も覚えていませんように」と呟いた。諒大はそれを聞いていて、颯の望みを叶えるために知らないふりをしたのか。 「颯さん……可愛い……」  諒大は唇を重ねてきた。諒大と唇が触れただけで、颯の身体がビクッと反応をみせる。 「はっ、あっ、りょうたさ……」  颯は抵抗なんてできない。この身体の隅々まで、何もかもを諒大に奪ってほしかった。 「颯さん……っ」  息を忘れるくらいの激しいキスだった。諒大は遠慮なしに颯の唇をこじ開け、情熱的な舌で颯の舌を絡みとる。 「んっ……ふっ、はぁっ……」  とろけるような諒大のキスに、頭がぼうっとしてきた。アルファの体液を求めるヒートの身体が諒大とのキスに敏感な反応をみせる。諒大の体液は甘くとろける媚薬のように魅力的で、おいしい。 「あっ、もっと……」  諒大がキスをやめようとするから思わず手が伸びる。懇願するように諒大の頬に触れると、「あんまり煽らないでください……」と言いながら諒大が()みつくようなキスを返してきた。 「あっ、んっ……はう……っん」  諒大からのキスと愛撫を受け、颯は何度も絶頂を迎えた。もう出るものなんかないんじゃないかと思うくらい達したのに、ヒートの身体はいくらでも射精を繰り返す。最後のほうは精子の薄い半透明な液を垂らしていた。 「はぁっ……颯さんっ、颯さん……!」  諒大は颯の胸に唇を這わせる。その舌で胸の突起を弄ばれると甘い電流のような刺激がはしり、颯は身をよじらせて快感に耐える。 「あっ、あっ、りょーたさ、そこ、気持ちいい……」  諒大の指が颯の下半身に及ぶ。颯の小ぶりの陰茎の裏筋を這い、そのまま後ろへと絶妙な指づかいで流れていく。性感帯を撫でられ、オメガの身体を呼び覚まされるみたいに颯の身体は熱くなる。 「触って、あっ……もっと……」  颯は諒大の指を引き寄せ自らの後孔に当てる。ぐっしょり濡れているそこを、諒大の長い指でかき乱してほしい。何も考えずに、ここに諒大のモノを迎えて、繋がってしまいたい。

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